著者
百瀬 響 遠藤 匡俊
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

本研究は、平成25~28年度科研費(挑戦的萌芽研究)「北海道・東北を中心とする北方交易圏の理論的枠組み構築のための総合的研究」(研究代表者 百瀬響、課題番号25580150)での成果を発展させ、東北・北海道の日本海沿岸地域(石狩・余市地方)・樺太における「北方交易圏」の交流の実像を通時的に明らかにする。近世から近代を通じ、東北-樺太-北海道日本海沿岸地域に存在した交易圏と婚姻圏に関して、各地域の博物館・アイヌ系住民らと連携し、物質文化・古文書・オーラルヒストリー等の史資料から、地理学・歴史学・文化人類学等諸分野の手法を用い、かつてこれらの地域に存在した交易・婚姻圏の実態を探る。
著者
百瀬 響
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編 (ISSN:13442562)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.93-108, 2020-08

本稿は,近代以前にアイヌ-和人間に行われていた様々な物資の交換に関し,余市場所を例に検討したものである。資料は『余市町史』資料編1収録の「林家文書」の解読済み文書を用い,特に1857(安政4)年におけるアイヌ-和人間の交換レートについて分析した。さらに,アイヌによる漁場労働に対し,威信財を含む「物々交換」として支払われる対価を試算したほか,和人が和人に対し売却した価格と比較した。その結果,対アイヌ,対和人間の各交換レートには,大きな相違はほぼ見られなかったものの,アイヌ-和人間交易において,対価として支払われた食料(米)と嗜好品(煙草)との交換レートに,いわゆる二重レートが存在する可能性が判明した。この二重レートの存在と運用実態は今後解明する必要があるが,このような近世の商習慣を通して,近世末から近代初期にかけてアイヌ-和人間で行われた交換の実態とその関係性を明確化しようと試みた。
著者
百瀬 響
出版者
立教大学
雑誌
史苑 (ISSN:03869318)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.p64-86, 1994-10
被引用文献数
1
著者
百瀬 響
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集 日本文化人類学会第55回研究大会 (ISSN:21897964)
巻号頁・発行日
pp.H06, 2021 (Released:2021-10-01)

2017~2019年まで、百瀬(代表者)と岩澤らは、樺太アイヌ(エンチウ)協会員と共に、「失われた」樺太アイヌ文化を復元・継承するための活動を行ってきた。国内外の博物館等に所蔵されている資料を協会員と共に調査し、物質文化の複製や舞踊の3D映像化による教育資料作成を試みた。以上の活動を通して、樺太アイヌ文化継承のための協働の試みを発表する
著者
百瀬 響 モモセ ヒビキ Hibiki Momose
雑誌
史苑
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.102-105, 1996-10
著者
百瀬 響
出版者
北海道教育大学
雑誌
北海道教育大学紀要. 人文科学・社会科学編 (ISSN:13442562)
巻号頁・発行日
vol.71, no.1, pp.93-108, 2020-08

本稿は,近代以前にアイヌ-和人間に行われていた様々な物資の交換に関し,余市場所を例に検討したものである。資料は『余市町史』資料編1収録の「林家文書」の解読済み文書を用い,特に1857(安政4)年におけるアイヌ-和人間の交換レートについて分析した。さらに,アイヌによる漁場労働に対し,威信財を含む「物々交換」として支払われる対価を試算したほか,和人が和人に対し売却した価格と比較した。その結果,対アイヌ,対和人間の各交換レートには,大きな相違はほぼ見られなかったものの,アイヌ-和人間交易において,対価として支払われた食料(米)と嗜好品(煙草)との交換レートに,いわゆる二重レートが存在する可能性が判明した。この二重レートの存在と運用実態は今後解明する必要があるが,このような近世の商習慣を通して,近世末から近代初期にかけてアイヌ-和人間で行われた交換の実態とその関係性を明確化しようと試みた。
著者
百瀬 響
出版者
日本文化人類学会
雑誌
日本文化人類学会研究大会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2014, 2014

北海道教育大学では北海道出身者が多数を占め、学生は学校教育において副読本等からアイヌ文化・歴史を既習している。学生のアイヌイメージは、自然共生型の太古の文化、近世・近代における日本人による差別等に大分されるが、近年では縄文文化に比定される「孤立文化」「日本人による虐殺」が増加傾向にある。本発表ではこれらのイメージ形成の要因を分析し、アイヌ文化・歴史理解に必須と考えられる学習項目等について論じる。