- 著者
-
秋田 喜代美
- 出版者
- 一般社団法人 日本発達心理学会
- 雑誌
- 発達心理学研究 (ISSN:09159029)
- 巻号頁・発行日
- vol.3, no.2, pp.90-99, 1992-12-25 (Released:2017-07-20)
- 被引用文献数
-
2
本研究は, 子の読書への参加と熟達化に家庭が果たす役割という観点から, 読書に関する家庭環境を, (1) 家に本を置くという物理的環境準備者としての役割, (2) 親自身が読書を行い, 読書熟達者のモデルを子に示す役割, (3) 子に本を読むよう勧めたり, 本を買い与えたり, 本屋や図書館へ連れていくなど直接的な動機付けを行う役割, (4) 親が子どもに本を読んでやることによって直接読み方を教授したり, 子どもが本を理解できるよう援助したりする役割の4種類に整理し, 各役割が子の読書に与える影響を検討したものである。小3, 小5, 中2, 計506名を対象に質間紙調査を行った結果, 次の4点が明らかとなった。第1に, 親が読書好きであることが, 子に対する様々な行動の量に影響を与えること, 第2に親が読み聞かせをしたり図書館や本屋に連れて行くなど, 読書に関して子どもと直接関わることの方が蔵書量や親自身の行動よりも子の感情に与える影響が大きいこと, 第3に親の役割内容には子の感情と関連のある役割と読書量と関連のある役割があること, 第4に役割には子の学年と共に影響が弱くなる役割と学年によらず影響を与える役割があることである。