著者
大桃 敏行 秋田 喜代美 村上 祐介 勝野 正章 牧野 篤 藤村 宣之 本田 由紀 浅井 幸子 北村 友人 小玉 重夫 恒吉 僚子 小国 喜弘 李 正連 植阪 友理 市川 伸一 福留 東土 新藤 浩伸 齋藤 兆史 藤江 康彦 両角 亜希子 高橋 史子 星野 崇宏 伊藤 秀樹 山本 清 吉良 直 星野 崇宏 伊藤 秀樹
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

日本を含めて多くの国で多様化や競争、成果に対するアカウンタビリティを重視するガバナンス改革が行われてきた。また同時に、単なる知識や技能の習得からそれらを活用する力や課題解決力、コミュニケーション能力などの育成に向けた教育の質の転換の必要性に関する議論が展開されてきた。本研究の目的はガバナンス改革と教育の質保証との関係を検討しようとするものであり、成果志向の改革では、広い能力概念に基づく教育において評価がどこまでまたどのように用いられるのかが重要な課題となってきていることなどを示した。
著者
斎藤 兆史 濱田 秀行 柾木 貴之 秋田 喜代美 藤江 康彦 藤森 千尋 三瓶 ゆき 王 林鋒
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.52, pp.467-478, 2013-03-10

This paper describes the theoretical basis of the research grant project which is designed to provide a set of methodologies to develop high school students’ meta-grammatical abilities. The paper begins by explaining the purpose of the project and the key concept ‘meta-grammatical abilities’, which are supposed to enable students to analyze any language in a structural way. It then goes on to make historical surveys, respectively from the viewpoints of Japanese education and English language teaching, of grammatical approaches to language teaching, and finally suggests the possibility of combining some of those different approaches into a methodology of interlanguage grammar teaching.
著者
藤江 康彦
出版者
一般社団法人 日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.125-135, 1999-11-15 (Released:2017-07-20)

本研究の目的は, 一斉授業において, 子どもが独自の発話スタイルをもつことを明らかにし, 独自の発話スタイルをもつことの意味を検討することである。小学5年生の社会科単元「日本の水産業」の一斉授業 (計7時間) に対し事例の解釈的分析とカテゴリーの数量的分析を併用し, 発話対象と発話内容の点から2名の対象児の発話スタイルを比較検討した。その結果, 対象児の発話スタイルは次の点で異なっていた。一人は学級全体, 教師, ひとりごとと, 発話対象を柔軟に切り替えていた。発話内容は学業的内容と「おかしみ」を混在させたり切り替えたりしていた。もう一人は教師を主たる発話対象とし, 課題解決の結果を直截的に表出していた。また, それぞれの発話スタイルには次のような意味があった。一人の, 発話対象や発話内容の柔軟な使い分けには, 自分の好きなように課題に敢り組むと同時に他者との関係性上の軋礫を回避し, 安定した授業参加を目指す意味があった。もう一人の, 教師との閉鎖的なやりとりには, ほかの子どもとの関係性が不安定であるため, 教師との相互作用によって心理的安定を求めるという意味があった。
著者
丹羽 さがの 酒井 朗 藤江 康彦
出版者
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター
雑誌
お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター紀要
巻号頁・発行日
no.2, pp.39-50, 2004

近年我が国では、子どもたちに「生きる力」をはぐくむ教育が重視されている。この流れのなかで求められているのは、教育の「長期的な視野からの一貫性」(秋田、2002)であり、特に、幼稚園・保育所と小学校の連携は、いわゆる「学級崩壊現象」との関連から語られるなど注目されている。本研究では、幼稚園、保育所、小学校の連携に向けて基本的に必要なものは、立場が違う者同士が理解し合い、協力し合う姿勢であると考え、連携に向けた基礎的資料の収集を目的として、幼稚園、保育所、小学校の教諭、保護者を対象とした、質問紙法による意識調査を行なった。現在の子どもたちの姿については「自主性・積極性」、日常生活、園・学校生活に必要な「基本的態度」のいずれとも、保護者の方が教諭に比べ、全般的に高く評価していた。育てたい子どもの姿については、「自主性・積極性」と「基本的態度」とも、小学校保護者、幼稚園・保育所保護者、小学校教諭、幼稚園教諭・保育所保育士の4調査対象者間で、重視する程度に違いがあった。学校不適応の背景要因の認識では、「家庭にある問題」「子どもの生活の変化」「小学生をめぐる問題」で、4調査対象者間に認識の違いが見られた。幼保小連携は、まだ始まったばかりの新しい取り組みである。本研究からは、これからのよりよい幼保小連携に向けた取り組みにおいて、連携関係者の互いの理解に資するような、基礎的資料が収集できたものと考える。
著者
秋田 喜代美 斎藤 兆史 藤江 康彦 藤森 千尋 柾木 貴之 王 林鋒 三瓶 ゆき 大井 和彦
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.355-388, 2014

This paper is a brief review of our meta-grammar project with special emphasis on the meta-grammatical activities conducted in Japanese classrooms. The first section describes the research questions and research procedures of the project; the second section reviews the recent history of language education in China with reference to grammar teaching; the third section is an analysis of secondary-school Japanese students' response to the meta-grammar classes as seen in the questionnaire survey; the fourth section considers how teachers found the project by analyzing their answers to the questionnaire and discussions at teachers' meetings; the fifth section presents the teaching materials we actually used in the experimental classes and describes how they were used; and the sixth and final section, based on the discussion up to this point, suggests the way this project can make a great contribution to the curriculum development of language teaching at the level of secondary education in Japan.
著者
藤江 康彦
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学雑誌 (ISSN:03855236)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.201-212, 2000
参考文献数
26
被引用文献数
4

本研究の目的は,教師による子どもの発話の「復唱」に,教授行為としてどのような意味があるのか,ということを明らかにすることである.小学5年の社会科単元「日本の水産業」の一斉授業(計7時間)を対象に,教師の復唱と後続する発話に着目し,カテゴリーの数量的分析と事例の解釈的分析を行った.その結果,次のことが明らかとなった.(1)教師は子どもの発話に対する応答として,復唱を多用していたが,復唱には,子どもの発話より教師の発話が後続する場合が多かった.(2)教師は教授意図に応じて復唱の機能と形状との組み合わせを使い分け,談話進行の円滑化や子どもの学習の進行に向けた教授行為として運用していた.(3)教師は,復唱を明示的評価の回避,授業進行の主導権の維持や授業進行のテンポの調整など,自らの教授行為の構成のために運用していた.よって,教師の復唱は発話内容としてではなく言語行為として,教授活動上の意味をもつといえる.
著者
藤江 康彦
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.21-31, 2000-03-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
14
被引用文献数
2 2

教室談話には, 課題解決においてフォーマルともインフォーマルともとれる, 「両義的」なタイプの発話をみいだすことができるだろう。本研究は, 一斉授業の話し合い場面において, 子どもの両義的な発話が, 教師にどのように対応され, 授業の展開にどのような意味をもつのかを明らかにした。小学5年の1学級 (24名) で行われた社会科単元「日本の水産業」の発話記録に対し, カテゴリーの数量的分析と発話事例の解釈的分析を行った。カテゴリーの数量的分析では, 教師は子どもの両義的な発話に選択的に対応しており, つぶやきやいいよどみであっても積極的に受容していることが明らかになった。発話事例の解釈的分析では, 次の点が明らかになった。1つには, 課題解決の活動において, 子どもの両義的な発話生成と教師のねらいとの間に論理展開上のズレが生じると, 教師は追究を行い, 教師のねらいに課題解決を方向づけていた。2つには, 教師の授業進行への戸惑いとして子どもの両義的な発話が生成されると, 教師は一度同調し, 話題を先取りすることで授業進行の主導権を維持していた。3つには, 抽象度が高い内容を扱ったため授業進行が停滞すると, 教師は自ら両義的な発話を導入することで, 子どもの両義的な発話を誘発し, 授業進行を活性化させていた。以上より, 子どもの両義的な発話は教師から対応されることで, 課題解決の促進や授業進行の円滑化に貢献することになるといえる。