著者
数土 直紀 赤川 学 富山 慶典 盛山 和夫 金井 雅之 伊藤 賢一 樽本 英樹
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

本プロジェクトは、期間中に合計12回の研究会を学習院大学において開催した。また、研究会での成果を、海外を含む各種学会・会議において発表報告をした。研究会での報告内容は、次の通りである。(1)「ウォルト・ディズニーの思想」、(2)"Evolution of Social Influence Networks in Unanimous Opinion Formation"、(3)「Social Capital概念の適用可能性」、(4)「階層意識上の性-権力」、(5)「Dunkan WattsのSmall Worldシミュレーションを応用して」、(6)"Independence of Protestantism and Capitalism"、(7)「規範性のメタ理論的考察」、(8)「『社会構造のモデル樽築』」、(9)"Evolution of Distributive Justice in Social Influence Networks"、(10)「政治的権力の正当性からの独立性」、(11)「後期ハーバーマスの展開の体系的分析」、(12)「都市型公共空間における不関与の規範の形成」、(13)「損害賠償額が上昇するメカニズム」、(14)「シミュレーションということ:く社会>の理解/記述/創出」、(15)「構成主義と構成されざる現実」、(16)「利他的な行為者はゲームをどうみているか」、(17)"Escape from Free-riders"、(18)「倫理的判断の不偏性」、(19)「ロマンティック・ラブの日本的受容〜『主婦の友』に見る「愛」と「恋愛」の変遷〜」、(20)「社会移動表における非対角セルの分析」、(21)「社会運動への動員における紐帯の効果」、(22)「メディアと「信頼」」。最終年度は、プロジェクト期間中に参加者が議論を基にした論文を収録し、計13本、約280ページの報告書を作成した。
著者
盛山 和夫
出版者
数理社会学会
雑誌
理論と方法 (ISSN:09131442)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.2_1-2_23, 1992-11-01 (Released:2009-03-31)
参考文献数
48
被引用文献数
2

近年の合理的選択理論の隆盛は、それらが制度や秩序を説明しうる可能性に動機づけられている。合理的選択理論に対しては従来から種々の本質的ではない批判が加えられているが、制度や秩序の説明に関してはそれらとは異なる観点から合理的選択理論の意義と限界が画定されなければならない。 合理性の概念には、選好の合理性、強い合理性、弱い合理性、および創造的合理性という4種類のものがあるが、合理的選択理論において意味を有するのは弱い合理性だけである。合理的選択理論は、行為者の抱く主観的選好と主観的知識とから彼の行為を理論的に導出することによってそれを説明するが、これらの主観的なものは理論家によって推測的に仮定されるのである。行為者の主観的知識はそれを対象として位置づける理論家の理論と区別して「一次理論」と呼ばれる。 一方、制度と秩序は、単なる行為の集積ではなく、人々の主観的知識=一次理論に基礎をおいている。ところが、行為とちがって知識は合理的に選択されるものではない。したがって、制度と秩序は、究極的なところでは、合理的選択理論によっては説明されざるものとして残らざるをえないのである。