著者
矢口 直道
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.63, no.511, pp.201-208, 1998
被引用文献数
1 1

This study aims to clarify the relations of the deities enshrined and their locations in the Hoysala temples. While the main deity is usually located at the west side of the navaranga to face the entrance at the east and other deities are located symmetrically at the sides of the navaranga, the deities are enshrined asymmetrically in some temples. It is conceived that the temple plan and the locations of the deities tend to be symmetrically composed in the Jain and the Vaisnava temples. Among the Saiva and the syncretic temples with Siva and Visnu, the main deity is located to the west and the entrance to the south.
著者
森 雅秀 永ノ尾 信悟 高島 淳 冨島 義幸 原田 正俊 山部 能宜 松本 郁代 鷹巣 純 矢口 直道 西本 陽一
出版者
金沢大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、アジアにおける仏教儀礼の形成と展開、変容をテーマに、さまざまな領域の研究者による共同研究の形式で進められた。参加した研究者はインド学、仏教学、歴史学、人類学、美術史、建築史、宗教学等の分野で、多角的な視点から研究をおこなった。そのための枠組みとして王権論、表象論、空間論、技術論、身体論という5つの研究領域を設定した。とくに顕著な研究成果として灌頂に関する論文集があげられる。代表的な仏教儀礼のひとつである灌頂を取り上げ、その全体像を示すことに成功し、儀礼研究の新たな水平を開いた。また研究の総括として、儀礼と視覚イメージとの関係についての国際シンポジウムを開催した。
著者
矢口 直道
出版者
岐阜市立女子短期大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2003

本年度は、調査データの整理と考察に努めた。成果の一部は、『ホイサラ多神格寺院の平面構成』と題した論文にまとめ、鈴木博之・石山修・伊藤毅・山岸常人編、「シリーズ都市・建築・歴史 第2巻 古代社会の崩壊」(東京大学出版会、2005年)の第4章(pp.237-308)として、発表した。ここでは、従前の研究成果に本研究費によって行った2度に渡る現地調査の知見を加えて、ホイサラ朝を中心としてデカン高原の諸ヒンドゥー王朝の寺院を構成する室の形状と配置に着目し、政治的、宗教的背景をふまえて寺院の平面構成を論じた。まず、寺院本殿を構成する各室の平面形態との関連をみることにより,複雑な平面類型の寺院内部の様相を理解することができることを述べた。これに加えて、本研究の課題である宗教建築の左右対称性に関して、寺院にまつられた神格と寺院の入口の位置に着目することによって、主祠堂にいたる軸線に対して対称、非対称を論ずることができると指摘した上で、複数の神格をまつる多神格寺院の平面は、同宗派の神格をまつる寺院では複数の祠堂が対称に配置され、異種の神格をまつる重層信仰寺院では非対称に配置される傾向にあると述べた。具体的には最も吉兆な西方にシヴァ神をまつり、それに準ずる入口正面にヴィシュヌ神をまつることが多く、当時の宗教的背景を勘案すると、シヴァ派の優位を確立しながらヴィシュヌ信仰を取込んだヒエラルキカルな建築表現であると結論づけた。これは成果の一部であるが、このような見地からインド寺院建築を勘案した研究はほとんどなく、複雑な平面形が特徴の一つである中世ヒンドゥー教寺院を理解するため一つの考え方であろうと考える。