著者
砂川 賢二
出版者
日本循環制御医学会
雑誌
循環制御 (ISSN:03891844)
巻号頁・発行日
vol.37, no.3, pp.168-177, 2016 (Released:2017-01-06)
参考文献数
29
被引用文献数
1

昨今、ガイトンの循環生理学を医学部で教えるべきかどうかという議論が生理学専門誌においても取り上げられるようになってきた。ガイトンが行った実験結果の解釈が争点になっている。本総説では何が争点になっているかを明らかにし、その上で筆者の教えるべきであるという立場の根拠を説明したい。このような総説が読者の循環生理学の理解を深める一助になることを願っている。
著者
武田 宏太郎 竹本 真生 江島 健一 多田 英生 籾井 英利 砂川 賢二
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.8, pp.946-951, 2009 (Released:2013-06-12)
参考文献数
24

症例は32歳, 女性. 近医美容形成外科にて頭皮上眼瞼移植術, および大腿部と臀部の脂肪吸引術を施行された. 帰宅途中に気分不良, 呼吸困難となり総合病院に救急搬送された. 血圧70mmHgとショック状態で, 胸部X線写真にて肺血管陰影の増強を認め, 急性うっ血性心不全と診断された. 心筋逸脱酵素の上昇があり心筋障害の存在が示唆され, 心エコーでは心機能は左室駆出率20%と低下し, 左室中部から基部が全周性に無収縮で心尖部のみが収縮していた. 緊急冠動脈造影を施行されたが正常冠動脈であった. 精査加療目的で同日当科搬送となった. 来院時, 肺うっ血を認めるも循環動態は安定していた. その後心室壁運動異常は急速に改善し, 第6病日の心エコーでは壁運動は正常に回復していたため, 第8病日に軽快退院となった. 本例は美容形成外科術後に冠動脈支配では説明できない領域に左室壁運動異常が生じ, 数日で急速に改善したことより, たこつぼ心筋症と考えられた. 典型的には心尖部の動きが低下し, 心基部が過収縮するたこつぼ型を呈する. 本例のように逆たこつぼ型を呈するたこつぼ心筋症は比較的珍しいと考えられたため, 文献的考察を加えてここに報告する.
著者
横田 将生 吉武 春光 砂川 賢二 中村 元臣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.29, no.12, pp.1170-1179, 1988-12-15
被引用文献数
7

現在までに,医療を目的とした実用的患者情報システムが数多く開発されてきているその大部分は数値あるいは符号化されたデータを対象としており,自然言語で記述された文章データは取り扱っていない.しかしながら,文章データは患者情報のより大きな部分を占めており,治療や診断により重要と考えられている.最近,著者らは九州大学附属病院に保管されている退院サマリ(カルテの一種)中の自然言語文章データに関する自動理解処理の研究を開始した.本論文では,議論世界に関する知識に基づいたそれらのデータの体系的分析および自動処理の概要について述べる.