著者
須見 洋行 馬場 健史 岸本 憲明
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1124-1127, 1996-10-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
9
被引用文献数
3 6

納豆抽出液中に従来のナットウキナーゼでは説明できない強力なプロウロキナーゼアクチベーター活性を確認した.6種の市販納豆の活性はヒトプラズミンを標準として21.8±5.5CU/g湿重量であった.同酵素はゲル濾過法で分子量2.7万以上に3つ以上の活性ピークを示し,またDFPあるいはNPGBで阻害されるセリン酵素と思われた.この酵素を高力価含む乾燥粉末30gを5人の健常成人ボランティア(51~86歳,男女)に経口投与した結果,4~8時間目にわたるEFAの上昇あるいはFDPの増加から持続的な血中線溶亢進と血栓溶解の起こることが確認された.
著者
秋山 豊和 寺西 裕一 岡村 真吾 坂根 栄作 長谷川 剛 馬場 健一 中野 博隆 下條 真司 長岡 亨 アキヤマ トヨカズ テラニシ ユウイチ オカムラ シンゴ サカネ エイサク ハセガワ ゴウ ババ ケンイチ ナカノ ヒロタカ シモジョウ シンジ ナガオカ トオル Akiyama Toyokazu Teranishi Yuuichi Okamura Shingo Sakane Eisaku Hasegawa Go Baba Ken-ichi Nakano Hirotaka Shimojo Shinji Nagaoka Toru
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:03875806)
巻号頁・発行日
vol.49, no.3, pp.1249-1264, 2008-03-15

大阪大学では,高いセキュリティレベルと標準的なインタフェースを兼ね備えた認証技術として注目されている公開鍵基盤(PKI: Public Key Infrastructure)に基づく全学IT 認証基盤を導入した.本学で導入した全学IT 認証基盤システムでは,署名・暗号化,学内認証,グリッドシステム認証,という異なるポリシに対応する複数のCA を導入・共存させている.これら複数のCA 向けの証明書発行を自動化することにより,安全性と利便性を両立した証明書発行サービスを実現している.また,PKI に対応したシングルサインオン(SSO)機能を導入し,学内ユーザが各システム間で統一的なインタフェースにより認証を行えるようにした.アプリケーションWeb サーバに認証機能を組み込むエージェント型のSSO 機能の導入により,1 度アプリケーションをSSO 対応させてしまえば,アプリケーションを変更することなくシームレスにパスワード認証からPKI 認証へ移行・共存することが可能となった.さらに,ユーザID 体系として,公開用に変更を許容するユーザID と,システム間連携用に1 人に1 つ決まる不変のユーザID とを設け,それらの対応付けを内部的に行うことにより,安全性・柔軟性ある運用を可能とした.本稿では,本認証基盤の設計と実装について述べるとともに,システムの導入により得られた技術的ノウハウや今後の展開についても述べる. # In Osaka University, a campus-wide IT authentication infrastructure based on Public Key Infrastructure (PKI), which is regarded as a technology providing high security and standard interface to many applications, has been adopted. In this authentication infrastructure, multiple CAs for the different purposes such as signing and encryption, intra-campus authentication and grid system authentication coexist. To realize security and convenience, we developed an online certificate issuance service for those multiple CAs. We also introduced PKI enabled Single Sign-On (SSO) system to provide unified authentication interface. Since the SSO system supports ‘SSO agent’, which provides SSO functionality for web applications by installing a web server module, it is possible to migrate from password authentication to PKI authentication without modifying applications. Furthermore, we established secure and flexible identity management by separating changeable, public user ID and static, internal system ID. Internal system ID is used for managing and federating user profiles among the systems. The mapping between those two IDs is done by the SSO system. In this paper, we describe design and implementation of our authentication infrastructure, know-how of system establishment and future works.
著者
下山 萌子 後藤 春彦 馬場 健誠
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.1074-1080, 2017-10-25 (Released:2017-10-25)
参考文献数
21

バラック飲み屋街の大部分は、近年において開発の危機や店主の引退により減少傾向にある。しかし同時に、地域資源として積極的にその価値を評価する立場も存在している。そのような中で新宿ゴールデン街は観光地化や若い世代からの出店の増加が近年進んでおり、新旧の店舗が併存し地域全体が転換期にあると言える。以上より、新宿ゴールデン街における店舗の更新実態を、地域社会を活かし共有されてきた店主間のアドバイスとともに記録し、地域の共有財として継承する必要性を再認識することは、今後地域の都市更新を考える上で重要である。本研究では、新宿ゴールデン街の更新過程において新旧の店舗の混在という点に着目し、その更新の様相を詳細に捉える。またそのために、更新過程において店主間で交わされたアドバイスの内容とその機会を把握する。より具体的には以下の3点を明らかにする。1)店舗数の増減から見た歴史的特徴(第2章),2)新旧店舗の混在とその更新の実態(第3章),3)店舗更新時における店主間のアドバイスとその継承の機会(第4章)以上より新宿ゴールデン街の更新とそれに伴う店主間のアドバイスを把握し、今後の課題について論じる。
著者
馬場 健司 木村 宰 鈴木 達治郎
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.68-77, 2004
被引用文献数
4

近年急速に導入が拡大している風力発電の立地, 大規模ウィンドファームの開発については, いくつかの公益を巡ってコンフリクトが発生するケースがしばしばみられる. 立地プロセスにおけるアクターの参加の場や意思決定手続きについて, 文献調査とヒアリング調査により日米のケースを比較した結果, 以下が明らかとなった. 日本では自然公園での立地ケースについては公式プロセスの中で景観に限定したアジェンダが設定されるのみであるのに対して, 制度要求に基づく環境影響評価が適用された米国の洋上立地ケースでは, 第三者的専門家による非公式プロセスが補完しながら, そこで得たインプットが公式プロセスへとフィードバックされるなど, 事業の早い段階から幅広い参加の場とアジェンダが設定されている.
著者
馬場 健一
出版者
東京大学
雑誌
社會科學研究 (ISSN:03873307)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.5-38, 2007-02-20

近年連続的に実施された, 戦後初めての日本の裁判官報酬の減額は, デフレ状況下における国家公務員給与の引き下げに連動した施策であった.憲法は在任中の裁判官の報酬の減額を無条件に禁じており, 憲法違反の可能性があったにもかかわらず, この減額措置はそれほど大きな抵抗を受けることなく実現し, この問題に対する社会的関心も低い.しかし, 明白な禁止規定をもちながら裁判官報酬の引き下げが簡単に認められる, 日本の法律解釈と実務は, 比較法的にみてかなり特異なものである.またこうした現実の背景には, 最高法規として英米法型の憲法を戴きつつ, 現実の司法機構においては憲法の理念とは必ずしも一致しない大陸法型の運用が続いているという統治体制のねじれの問題がある.この事件は, 日本における裁判官制度や司法のかかえる課題や, 法の支配の脆弱さを示す事例であるといえる.しかしそこからは逆に, 改革の時代における可能性の萌芽や長期的展望をも見いだすことができるように思われる.
著者
名部 正彦 馬場 健一 村田 正幸 宮原 秀夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. B-1, 通信1-情報通信システム・理論 (ISSN:09151877)
巻号頁・発行日
vol.80, no.6, pp.pp.428-437, 1997-06-25
参考文献数
12
被引用文献数
107

インターネット・インフラの高品質化を目指すためには, インターネット・トラヒックの特性を考慮した容量設計が重要であるにもかかわらず, 十分に明らかにされていなかったのが現状である. 本論文では, インターネット・アクセスネットワークにおけるWWWトラヒックの分析とモデル化を行い, アクセスネットワークの遅延特性について検討している. まず複数の組織のサーバの利用記録を分析し, モデルの作成に必要となるWWWのトラヒック特性を明らかにしている. 次いで分析結果に基づき, アクセスネットワークをM/G/1/PS (プロセッサシェアリング) システムでモデル化しネットワーク設計に必要な遅延時間特性について検討している.
著者
馬場 健司 田頭 直人
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.77-92, 2009 (Released:2010-05-14)
参考文献数
26

再生可能エネルギー技術の導入に係る社会的意思決定プロセスのデザインについて参考となる知見を得るため,風力発電の立地を題材として,全国的な環境論争とそれに対する地方自治体の環境規制の動向と立地地域住民の態度形成を分析した.その結果,第1に,自治体が第三者としてどのように調整介入するかは意思決定プロセス全体に及ぼす影響が大きい可能性があり,調整介入の1つの形態として,環境規制の上乗せ・横出し規制のボトムアップ的な中央地方関係と政策波及が観察された.第2に,意思決定プロセスにおいて約40%を占める観察層(総論としては関与意向を持つにも拘らず各論としては関与意向を持たない)は,地域環境に配慮しない技術導入に反対する傾向があり,論点設定などに留意する必要がある.
著者
立丸 允啓 大峯 三郎 馬場 健太郎 福井 貴暁 緒方 宏武 和田 菜摘 長野 友彦 小泉 幸毅
出版者
一般社団法人日本理学療法学会連合
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.33-41, 2023-04-20 (Released:2023-04-20)
参考文献数
27

【目的】本研究の目的は,脳卒中患者における歩行自立判定指標として杖把持片脚立位時間が妥当性を認めるか検証することであった。【方法】脳卒中患者103名を解析対象とし相関分析,退院時病棟内歩行能力での2群間比較,多重ロジスティック回帰分析を行った。【結果】杖把持麻痺側・非麻痺側片脚立位時間ともに相関係数はBerg Balance Scaleが最高値で,歩行自立群と見守り群との比較でも有意差が認められた。多重ロジスティック回帰分析では,杖把持麻痺側片脚立位時間と認知関連行動アセスメント(Cognitive-related Behavioral Assessment:以下,CBA)が選択された。【結論】脳卒中患者の歩行自立判定指標として,杖把持麻痺側・非麻痺側片脚立位時間ともに妥当な評価方法であることが確認された。また,杖把持麻痺側片脚立位時間とCBAとの組み合わせが高精度な歩行自立判定指標になることが示唆された。
著者
鳥越 大平 髙橋 政友 中尾 素直 相馬 悠希 池田 和輝 中谷 航太 馬場 健史 和泉 自泰
出版者
一般社団法人 日本質量分析学会
雑誌
Journal of the Mass Spectrometry Society of Japan (ISSN:13408097)
巻号頁・発行日
vol.70, no.4, pp.245-247, 2022-12-01 (Released:2022-12-15)
参考文献数
4

Epimetabolite is defined as analogues of known metabolites with different substructures. The rapid development of high-resolution mass spectrometry (HRMS) and some data mining tools has contributed to detecting and identifying a few epimetabolites that could play an important role as biological functions. However, almost all epimetabolites have not been identified because a generally applicable method for the comprehensive annotation of epimetabolites had not been developed. In the present study, we have proposed an advanced methodology for comprehensive structural elucidation of unidentified hydrophilic metabolites by a combination of stable isotope labeling, unified-HILIC/AEX/HRMS/MS analysis, data mining techniques, and metabolite annotation using in silico epimetabolite database (IEMDB). In fact, we successfully annotated 444 novel epimetabolite candidates in E. coli. Our method has several advantages over conventional techniques and represents a potentially useful tool for structural elucidation of comprehensive epimetabolites.
著者
小杉 素子 馬場 健司
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.227-236, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
26

本研究では,人々の気候変動リスクに対する認知や態度,対策行動への取り組みについて現状を把握するとともに,今後対策行動を促進するための示唆を得るためにオンラインでの質問紙調査を実施した。調査結果から,73.8%が地球温暖化は主に人間の活動によると考えており,世代や国・地域を超えた課題であり,影響を防ぐための対策を行う必要があると考える傾向が強いことが示された。対策行動としては,省エネ(64.0%)や熱中症予防のための水分補給(57.5%)などの実施率が高い。対策行動を緩和策と適応策とに区別して実施数を比較すると,緩和策の方が実施されている行動数が多かった。人々の対策の実施数を規定している要因を重回帰分析で調べたところ,緩和策に対しては地球温暖化の影響実感,将来の影響予測,地球温暖化に対する懸念,多少のコストを払ってでも積極的に取り組むべきという姿勢が有意な効果を持っていた。適応策では影響実感と将来予測,地球温暖化に対する疑念や個人の対策行動の無力さの認知,問題の身近さの認知が有意な効果を持つことが示された。つまり,影響実感や将来の影響予測に働きかけることで,緩和策および適応策の対策行動が増える可能性が示唆されるとともに,緩和策は地球温暖化を自分が取り組むべき問題として認識する中で実施され,適応策はむしろ地球温暖化問題への対策としてではなく個別影響への対応として実施されている可能性が示された。
著者
木村 道徳 河瀬 玲奈 金 再奎 岩見 麻子 馬場 健司
出版者
社団法人 環境科学会
雑誌
環境科学会誌 (ISSN:09150048)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.213-226, 2022-07-31 (Released:2022-07-31)
参考文献数
29

本研究では,行政によるヒアリングやワークショップなどの質的調査を通じて蓄積されている,気候変動に対する影響の実感や不安に関するテキストデータを対象に,市民およびステークホルダーの影響認識を構造的に把握するための手法を検討するとともに,滋賀県を対象に実践を行った。気候変動適応策の推進には,市民と地域のステークホルダーの関与が重要であり,行政によるこれら主体の気候変動影響の認識の把握が必要になると考えられる。しかし,行政により蓄積が進められている気候変動影響の認識に関する情報は,自然言語で記述されているテキストデータが多く,これまで研究対象として分析が進められてはこなかった。本研究では,行政による質的調査を通じて,滋賀県内の市民および農林水産業,産業分野の主体から得られた気候変動影響の認識に関するテキストデータを対象に,テキストマイニング手法を適用した。その結果,「琵琶湖と自然生態系への影響」と「台風被害と獣害,水稲」,「降雨降雪の極端化による災害および森林と林業への影響」,「夏と冬における気温上昇の影響」,「季節の変化」の5つの話題を特定することができた。また,対象者属性とのクロス集計の結果,市民は幅広い分野に言及しているのに対して,農林水産業の主体は各分野の具体的な気候変動影響の因果連鎖についての情報を補完していた。各主体のテキストを組み合わせることで,地域で顕在化しつつある気候の変化とそれに伴う影響の因果連鎖を市民およびステークホルダーがどのように認識しているのか,詳細に把握することが可能になることがわかった。
著者
小杉 素子 馬場 健司 田中 充
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.76, no.5, pp.I_167-I_176, 2020 (Released:2021-01-18)
参考文献数
19
被引用文献数
1

2017年と2020年のオンライン質問紙調査データを用いて,地球温暖化に対する態度の特徴により回答者を細分化し,人々の関心の程度や態度,対策行動の実施等についてどのような変化があるかを調べた.その結果,危機感が強く対策行動に積極的に取り組む人々(警戒派: 20%),関心が低く明確な意見を持たない人々(無関心派: 33%),懐疑的で対策の必要性を感じない人々(懐疑派: 6%),内容によらず質問全般に同意する傾向の強い人々(肯定派: 10%)は割合に増減があるが3年前と変わらず存在することが示された.他方,質問全般に否定的に回答する傾向の強い人々はまとまりとして抽出されず,警戒派と近い認知や態度を持つが対策行動を伴わない人々(用心派: 30%)が新しく抽出された.最大のボリュームである無関心派は依然として情報提供の重要な対象であると同時に,新しく出現した用心派は回答者の3割を占めており既に関心もリスク認知も高いことから,この人々に対して行動を促すアプローチの検討が重要と考えられる.
著者
土屋 依子 伊藤 史子 田頭 直人 池谷 知彦 馬場 健司
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.46-57, 2016-04-25 (Released:2016-04-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1 4

本研究の目的は、電気自動車の地域別の普及可能性を明らかにすることである。まず、2011年1月に実施したアンケート調査により収集した自家用車の利用データにより、自家用車の利用実態と、それらを規定する要因を特定した。次に、関東圏を対象に作成した地域類型を用いて、地域類型別の自家用車利用の比較分析を行った。自家用車利用の規定要因では、自家用車の保有台数や年間走行距離、1日当たりの最長走行距離は、世帯・個人属性と居住地特性や車両属性などの影響をうけ、利用頻度は、長距離では年齢と鉄道の利便性、短距離では世帯属性よりも居住地特性・車両属性による影響をうけることがわかった。また、人口や住宅等の居住状況による「居住類型」を用いて、EVの走行可能距離や経済的な優位性、充電利便性の条件を総合的に分析した結果、EV適合車両の比率は、近郊外・外郊外と都心から外縁部にいくほど高まる傾向があることが明らかとなった。
著者
坂口 翔一 岡田 雅也 庄嶋 貴之 馬場 健司 宮沢 孝幸
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.70, no.8, pp.785-790, 2008-08-25
参考文献数
19
被引用文献数
2 32

すべてのネコはRD114ウイルスという感染性の内在性レトロウイルスをもっている。ネコの細胞を製造に用いた弱毒生ワクチンには、RD114ウイルスが迷入する可能性がある。ネコ用ワクチンにおけるRD114ウイルスの迷入を調べるために、今回我々はLacZ遺伝子をマーカーとしたマーカーレスキューアッセイを開発した。調べた4種類のヒト由来株化細胞(TE671細胞、HeLa細胞、293T細胞、HT1080細胞)のうち、TE671細胞(ヒト横紋筋肉腫由来細胞)がRD114ウイルスにもっとも感受性が高く、また同細胞においてウイルスが効率よく増殖した。RD114ウイルスの感染は、ウイルス吸着時にpolybreneを2μg/mlから8μg/ml添加することにより約5倍増大した。最大のウイルス力価を得るためのウイルス吸着時間は4時間で十分であった。LacZ遺伝子を導入したTE671細胞に階段希釈したRD114ウイルスを接種したところ、限界希釈したサンプル(すなわち10感染ユニット未満)において、ウイルス接種後12日後にLacZマーカーレスキューアッセイによりウイルスの検出ができた。今回得られた結果をもとに、感染性のRD114ウイルスを検出するLacZマーカーレスキューアッセイの標準法を提唱する。
著者
小杉 素子 馬場 健司 田中 充
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.I_41-I_52, 2018 (Released:2019-03-01)
参考文献数
30
被引用文献数
1

気候変動リスクに対する理解と対処行動を促進するための情報提供方策を検討するため,ターゲットの特徴の明確化とそのボリュームを把握することを目的として質問紙調査を行った.その結果,地球温暖化(気候変動)に関心が乏しく明確な意見を持たないクラスターが回答者の4割以上であること,リスク認知や不安感が高く施策に肯定的な態度を持つクラスターや,地球温暖化に対して懐疑的で対策の必要性を感じていないクラスターの存在を明らかにした.人数の多い無関心なクラスターへの対応が特に重要と考え,地球温暖化に対する理解や対処行動を促進するための情報内容について考察した。地球温暖化について異なる考えを持つ人々に対し,それぞれに適した情報提供活動を行うことで,理解の深まりや緩和・適応策への肯定的評価や協力が期待できるだろう.
著者
馬場 健司 鬼頭 未沙子 高津 宏明 松浦 正浩
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集G(環境) (ISSN:21856648)
巻号頁・発行日
vol.71, no.5, pp.I_235-I_246, 2015 (Released:2016-02-23)
参考文献数
15
被引用文献数
1

本研究では,インターネットを用いたオンライン実験により,木質バイオマスの利活用について,上流(供給)から下流(需要)までのステークホルダー34人が,3回の専門知の提供を受けながら2週間をかけて熟議を行った.得られた知見は以下のとおりである.1) 総論としての木質バイオマス利活用に対する賛否については,熟議を経て賛成が若干増加した.2) 今後の関与意向については,中間・需要側では,現在以上の負担や手間をかけてもよいという層と協力できないと回答した層に分かれ,供給側では,コストが増えることは許容できないが採算がとれるなら協力するという姿勢が増えている.3) 本実験の効果については,多数の参加者が意見をうまく表明できたと考え,自主的な情報収集や参加者間での相互作用が起きている.
著者
須美 洋行 馬場 健史 岸本 憲明
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1124-1127, 1996-10-15
参考文献数
9
被引用文献数
2 6

納豆抽出液中に従来のナットウキナーゼでは説明できない強力なプロウロキナーゼアクチベーター活性を確認した.6種の市販納豆の活性はヒトプラズミンを標準として21.8±5.5CU/g湿重量であった.同酵素はゲル濾過法で分子量2.7万以上に3つ以上の活性ピークを示し,またDFPあるいはNPGBで阻害されるセリン酵素と思われた.<BR>この酵素を高力価含む乾燥粉末30gを5人の健常成人ボランティア(51~86歳,男女)に経口投与した結果,4~8時間目にわたるEFAの上昇あるいはFDPの増加から持続的な血中線溶亢進と血栓溶解の起こることが確認された.