著者
神原 歩
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.92.20014, (Released:2021-01-31)
参考文献数
32
被引用文献数
1

It has been shown that people tend to view opponents as biased. Recent theoretical studies showed that this tendency occurs due to naïve realism. People tend to be overconfident about their objectivity ─ they believe they see the world as it really is (Naïve realism: Ross & Ward, 1995) ─ hence, they assume that people who have a different view must be biased (Pronin et al., 2004). This study examines the effect of encountering clear demonstrations that personal sensory perceptions are not necessarily accurate on the perception of opponents’ bias in their social judgment through exposure to visual illusions. A total of 87 participants were grouped by whether or not they experienced visual illusions. Participants who experienced visual illusions rated opponents as having fewer biases in their social judgments than participants who did not experience visual illusions. This suggested that a person’s overconfidence in their own perception ─ “I see the world as it really is” ─ might be one of the causes of people’s negative perception of opponents.
著者
神原 歩
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.92, no.1, pp.12-20, 2021 (Released:2021-04-25)
参考文献数
32
被引用文献数
1

It has been shown that people tend to view opponents as biased. Recent theoretical studies showed that this tendency occurs due to naïve realism. People tend to be overconfident about their objectivity ─ they believe they see the world as it really is (Naïve realism: Ross & Ward, 1995) ─ hence, they assume that people who have a different view must be biased (Pronin et al., 2004). This study examines the effect of encountering clear demonstrations that personal sensory perceptions are not necessarily accurate on the perception of opponents’ bias in their social judgment through exposure to visual illusions. A total of 87 participants were grouped by whether or not they experienced visual illusions. Participants who experienced visual illusions rated opponents as having fewer biases in their social judgments than participants who did not experience visual illusions. This suggested that a person’s overconfidence in their own perception ─ “I see the world as it really is” ─ might be one of the causes of people’s negative perception of opponents.
著者
神原 歩 遠藤 由美
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.91-103, 2013 (Released:2013-03-09)
参考文献数
59
被引用文献数
1 1

自己判断の合意性を自ら高く推測することが,脅威に晒された自己肯定感を修復する効果について検討した。自己脅威として架空の施策について反態度意見の表明を促した(強制承諾)後,自己判断についての合意性を推測させた。実験前後にその施策への態度を測定し,態度の変化量を従属変数とした。認知的不協和に陥った人は表明した意見に合わせて態度を変化させるが,自己肯定感が修復すると態度を変化させる程度が縮小することが知られている。そこで,自己判断の高合意性推測が自己肯定感を修復するなら,合意性を高く推測すると態度変化量が縮小すると予測された。また,高自尊心者は脅威に対して直接的,低自尊心者は間接的自己防衛方略を採ることから,自己肯定感修復に用いる合意性と脅威との関連度合いは自尊心の高さによって異なると考えられた。結果はこれを支持し,脅威と関連する判断の合意性の場合(実験1)には高自尊心者で,脅威と関連しない判断の合意性の場合(実験2)には低自尊心者で,合意性を高く推測すると態度変化量が縮小する傾向がみられた。自尊心の高さによって修復に用いる合意性と脅威との関連は異なるが,合意性を高く推測すると自己肯定感が修復されることが示唆された。
著者
神原 歩 遠藤 由美
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.116-124, 2013 (Released:2013-03-09)
参考文献数
40

自己判断の高合意性認知が自己肯定感を維持する可能性を,高合意性情報が強制承諾 による態度変化に与える影響を調べることによって検討した。認知的不協和に直面した人は自身の態度を変化させるが,自己肯定化や自己評価維持システムなど,他の自己肯定感維持方略によって自己肯定感を修復すると態度を変化させる度合いが縮小することが明らかになっている。そこで,強制承諾場面での態度変化の程度を自己肯定感修復の指標とした。初めに強制承諾の手続きとして反態度意見の作成を求めた後,高合意性情報の有無によって合意性認知の程度の操作を行った。参加者の態度は,実験の最初と最後に測定した。その結果,高合意性情報を与えられた人は,そうでない人に比べて態度変化が小さかった。また,この効果は高合意性情報が不協和と関連が無い場合には,関連が有る場合ほど顕著にはみられなかった。以上から,脅威との関連の有無によって効果に違いはみられるが,自己脅威状況において合意性を高く認知すると自己肯定感が維持されることが示唆された。
著者
神原 歩 満石 寿 原田 祐規
出版者
日本認知心理学会
雑誌
日本認知心理学会発表論文集 日本認知心理学会第20回大会
巻号頁・発行日
pp.7-8, 2022 (Released:2022-11-24)

コロナ禍になり,親しい人とオンライン上で時間を過ごす人が増えた。本研究は,親密な他者とオンライン上で会うことが,直接会うことと同様の身体的・心理的効果をもたらすのかを検討した。参加者は22組の友人ペアで,独り群(個室に1人),対面群(友人と同じ個室),オンライン群(zoomを介した画面越しに友人が居るが個室に1人)の3群に割り振られた。参加者は個室でストレス課題が与えられ,課題前,課題中,課題後の3時点の心理指標(肯定的感情,覚醒度)と身体指標(血圧,心拍)が測定された。その結果,課題後の身体指標に群間の差が認められ,オンライン群と対面群は,独り群に比べてストレス後の回復が早かった。一方,心理指標には群間の差は認められなかった。従って,親密な他者の存在の効果は,オンラインと対面の両方で認められることが判明した。そして,その効果は認知的プロセスを経ずに身体に直接影響を与えている可能性が示された。