著者
福井 章仁 八木 康史 谷内田 正彦
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.6, pp.53-58, 2004-01-23
被引用文献数
4

双曲面ミラーなどを用いた全方位視覚センサは、周囲360度の視野映像が実時間で撮影できることから、実写映像に基づく空間モデリングのためのセンシング手段として有望視されている。しかし、360度の視野を単一の撮像素子で撮影しているため、入力画像の解像度が低いという問題があった。一方、カメラを回転する方法は、高解像度の画像が得られる反面、1枚のパノラマ画像の取得に時間がかかってしまうという問題がある。本研究では、両タイプのセンサを同軸上に上下配置することで、全方位画像が実時間観測できるとともに高精細のテクスチャーが獲得でき、また本センサシステムを電動カートへ搭載することで高解像度のテクスチャーを持つ広域な都市空間の3次元モデリングが可能なパノラマ画像入力システムを提案する。An catadioptric omnidirectional image sensors using convex mirrors have a useful advantage for modeling. These sensors can capture omnidirectional information simultaneously and can continuously observe the object. The image resolution of the observed surface texture is low. On the other hand, an advantage of rotating camera around with constant angular velocity is that we can acquire a high-resolution omnidirectional image. However, it has a disadvantage that it requires a rather long time. In this paper, we propose the high-resolution panoramic imaging system by combining the real-time omnidirectional image sensor HyperOmni Vision and line-scan camera system.
著者
脇本 康夫 高村 昭生 常盤 肇 鶴田 正彦 福井 只美 村田 邦弘 桑原 洋助
出版者
日本顎口腔機能学会
雑誌
日本顎口腔機能学会雑誌 (ISSN:13409085)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.1-11, 2001-01-31
被引用文献数
1

顎口腔機能を正確に把握するため種々の検査機器が開発されているが, 顎運動時の咬合状態を生体から直接観察することは難しい.そこで, 下顎運動を忠実に再現できる機構を開発し, 生体から得られた6自由度顎運動データによって, 下顎歯列模型を実運動として再現させるロボットを試作した.本システムは, 下顎模型設置部, 駆動装置およびこれらの連結部からなり, 回転入力型パラレル機構によって6自由度の動作が可能である.6自由度顎運動測定器(ナソヘキサグラフ, JM-1000T, 小野測器)によって採得した頭部に対する下顎運動の3次元座標データを制御用パーソナルコンピュータでロボット座標データに変換させ, これをロボットに転送した.歯列模型の設置位置は, 計測時に用いたフェースボウを介して, 3次元座標指示器によって機械的に決定した.3次元測定器(UMC850S, Zeiss)を用いた動作試験をX, Y, Z軸方向へ±14mmの範囲で行った.さらにロボットで再現させた運動をJM-1000Tによって再測定し, 比較検討した.ロボットによる再現速度は, 生体の約1/1.6であった.動作試験の結果, 移動方向と移動量によって誤差の発生が異なり, 最大誤差は約1mm認められた.JM-1000Tにより記録されたヒト顎運動軌跡とロボットによる再現運動軌跡は近似した形状を示したが, 移動距離においてはロボットの方がやや短かった.顎運動を詳細に観察するためには, 機構部および模型設置方法の精度向上を計る必要性が認められた.今回試作した比較的簡易な構造のロボット(6DOF/R0)において, 6自由度で下顎運動を概ね再現でき, 視覚的認識の一助となることを示した.
著者
福井 準之助 山口 建二 仲間 三雄 富田 康敬 原田 勝弘 小俣 和一郎
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.76, no.10, pp.1561-1566, 1985-10-20

71歳,16歳,23歳女性に生じた3例の心因性尿閉を報告する.全症例共,神経学的検査で異常なく,器質的下部尿路閉塞も認められなかった.2症例で尿閉は"emotional stress"の後に生じた.症例1では両側VURと軽度の肉柱形成膀胱を認めたが,症例2と症例3では通常の泌尿器科検査では異常がなかった.全症例で膀胱容量は500ml以上で尿流動態検査にて排尿中の外括約筋のaction potentialの増大を認めた.精神科的考察では,症例1はdepressionの1つの型であり,抗うつ剤の投与で尿路症状の改善をみた.症例2はヒステリーであり,精神安定剤と自律神経訓練法により尿路症状の改善をみた.症例3は神経分裂病によるもので,種々の治療に対し抵抗性であった.結婚と共に症状の消失をみたが,その後離婚し,再び残尿の増大を認められた.心因性尿閉の治療は,泌尿器科医と精神科医との協力の下でなされるべきである.