著者
福井 厚 木谷 明 後藤 昭 白取 祐司 水谷 規男 葛野 尋之 中川孝博 豊崎 七絵 緑 大輔 石田 倫識 斎藤 司
出版者
法政大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

3年間の研究成果は、福井厚編『未決拘禁制度の改革と展望』(日本評論社)と題して、龍谷大学矯正・保護研究センター叢書の1冊として2009年7月に公刊される予定である(既に入稿済である)。第一部が未決拘禁の実体的要件の理論的検討、第二部が未決被拘禁者の権利制限の解釈論的検討、第三部が不服申立・その他、附属資料1として外国調査の結果、附属資料IIとして施設調査の結果、付録(CD-Rom版)として、福井厚監訳「ドイツ未決勾留法対案」、という構成になっている。
著者
大賀 圭治 辻井 博 米倉 等 福井 清一 岩本 純明 松本 武祝
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

中部ジャワの「定点観測村」で、持続的農業発展の条件を明らかにするための詳細な調査を実施した。農家経済に関する基本的データ収集と同時に、農外労働市場、多様な金融制度、近年注目されている社会林業の制度と運用実態等についてデータ収集を行った。主な知見は以下の通りである。(1)農産物価格や資材価格など、農業を取り巻く環境変化に対する農家の反応は機敏である。また農家は、さまざまなリスク回避措置を経営内に組み込んでいる。(2)水田利用は集約的である。しかし地力循環という点で大きな問題をかかえている。(3)農家構成員の就業先選択は通説のように「無差別」ではない。また、農業部門における家族労働と雇用労働の質については完全に代替的ではないと見なされている。(4)農家の作付け農作物の選択基準においては、自給目的が強くでており、商品経済的観点は弱い。(5)親戚・隣人間での金銭的相互扶助に関しては、共同体規範の強い影響がうかがえる。(6)回転講への参加目的は、低所得層は貯蓄・融資、高所得層は隣人とのコミュニケーションにある。共通して返済率は高く、貧困層の生活水準の向上に貢献している。(7)沿岸丘陵部の天水依存地域では、持続的農業開発の条件はより厳しい。しかし、作物と林木とを巧みに組み合わせた持続的な生産方式が定着している。(8)多様な相互扶助組織がなお機能しており、ソーシャル・セーフティーネットとしての役割を果たしている。(9)国有林経営では、最終生産物を国と農家・農家グループが分収する新たな制度が導入され、農家に持続的な森林管理を動機づけるものと注目されている
著者
三成 賢次 松川 正毅 高橋 明男 高田 篤 茶園 成樹 松本 和彦 中山 竜一 養老 真一 福井 康太 仁木 恒夫 水島 郁子 佐藤 岩夫 佐藤 岩夫
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、法曹の新職域として注目が集まっている弁護士業務の調査研究を行い、これに法領域横断的な理論的検討を加えることを通じて、近未来における法曹新職域のグランドデザインを提示することを目的とする研究プロジェクトであった。本研究では、諸外国の法曹とその養成課程に関する現状と課題を明らかにするとともに、主として最先端の企業法務を対象とする聞き取りおよびアンケート調査を実施し、法曹の職域の今後に関する模索的な研究を行った。本研究で特に力を入れたのは、全国2000社を対象とする「企業における弁護士ニーズに関する調査」、大阪弁護士会会員の約半数にあたる1500名を対象とする「弁護士業務に関するアンケート調査」、そして全国の企業内弁護士259人を対象とする「組織内弁護士の業務に関するアンケート調査」という3つのアンケート調査であった。それゆえ、本研究では、主として企業関連の弁護士の新しい職域の動向を明らかにすることとなった。
著者
長沼 毅 今中 忠行 伊村 智 内田 雅己 大谷 修司 神田 啓史 黒沢 則夫 幸島 司郎 高野 淑識 東條 元昭 伴 修平 福井 学 星野 保 宮下 英明 吉村 義隆
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

本研究は地球環境の健康診断「国際極年」の中核計画として実施されたものである。地球環境変動のうち温暖化の影響は南北両極、特に環境変動に鋭敏に応答する微生物の生態に顕著に現れる。そこで本研究では初めて総合的な極地微生物の生態調査を行った。極域および高山氷河域に生息する微生物の種類と現存量および固有種・汎存種を調べることで、今後の変遷を評価する上で必要になる「国際極年参照データ」を残すことができた。
著者
蘆田 孝昭 土田 健次郎 神田 信夫 町田 三郎 興膳 宏 福井 文雅
出版者
早稲田大学
雑誌
総合研究(B)
巻号頁・発行日
1990

近世産出の漢籍は,それ以前のものの復刻再刻等を含めれば膨大な漢籍世界の殆どでカバ-する。本研究はこれらの全体象把握の必要性を認識する各国の研究者と一堂に会し分担研究の成果を発表討議し研究法の交流を可能ならしめる国際会議開催を準備することが主目的であった。そのため既海外出張者の報告・問題提起が当年度前半での眼目となった。研究の結果,海外主要収蔵国への漢籍流入過程の探求が以上の目的を充足させる中心テ-マと認識され,そのため見識ある研究者として,英:ホリウエル・仏:シツペ-ル・伊:ベルトッチオリ・中:路土氏らが招軸人物に一応凝定された。その基底には,福井・蘆田・岡崎らの夫々バチカン・牛津大・北京図書館探訪での成果があることはむろん,国内的には,坂田。蓬左文庫,土田の米沢図書館,福井の妙法院文庫,蘆田の天理等各図書館採訪に,興膳・前田・山田・山本(達)各氏の探訪・協力が与る所大であった。これら国内探求の段階的進展に応じ,年度後半では準備会で仮説の検討,研究会で成果の発表と交流を行いつつ,国内収蔵本の称相把握と研究の深化がはかられたが,論文掲載も期間の短かさに比すれば可成りの量・質を示して開催の有意義性が予想され,更に年末,町田の尽力による域外漢籍国際会議東京開催の申入れがあり,また星島大・韓国建国大・香港大等に類似の企画が現出しつつあるのは本テ-マの重要性が国際的認識となりつつあることの証左とみられ、本会議以前のデモンストレ-ションの必要を各自認識した結果開かれたのが双柿舎漢籍会議で興膳:留学僧将来漢籍・山本明:清末白話小説に見了新成標点・岡崎:北京図書館の漢籍コンピュ-タ-処理等のほか枠例からも立正大:岡田袈裟男:江戸期白話受容・明星大・井上英明:国際会議に見る異文化現象等も加わり,通訳や選営面への協力の内諾が桜美林大植田渥雄氏らと共に得られたのは特記すべき成果であったと言えよう。
著者
福井 千鶴
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

平成18は南米、日本において現状把握の調査と実証実験用の理想モデルの考察を行った。平成19年度で研究を具体的に推進する実証実験モデルの実施要件の策定を行い、実証的研究を推進と同時に評価を行った。実証実験モデルでは、日本企業で通用する南米日系人リーダーであり、かつ、プロフェッショナルとして活躍できるIT分野の人材を養成することを狙いとした。選定理由は、□自己の能力次第で企業化可能、□企業化時の投資額とリスクが少ない、□IT関連事業は、ネットワークを通じて海外の遠隔地との間で受発注と納品が可能、□ネットワークを通じて連携することができ、研究成果の目的である日本と南米の連携システムの構築が容易にできる、などの利点があることによった。考案した実証的研究モデルをもとに、南米日系人の受入れ日本企業を開拓した他、コロンビア、ペルー、パラグアイ、ボリビアの南米諸国日系人協会や商工会議所などの団体組織にて実証実験プログラムの具体的な推進方策の説明会と実施方法、ならびに実証実験参加者の募集活動を行った。考案した実証的研究プログラムは、全説明先において南米現地の問題を解決する具体的な手段として効果的な初めての提案との高い評価を得た。説明した全地域で、このプログラムの推進を要望され現地各協会や組織団体などが正式な窓口対応を行うとの協力意志が表明された。本件研究成果を実施するは、各団体組織や企業の連携が組織的にできるNGO組織を設立し推進することが適切との結論に達し、研究成果を反映してNGOを設立し推進することとした。
著者
朝岡 幸彦 南里 悦史 降旗 信一 小川 潔 能條 歩 石崎 一記 福井 智紀
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本プロジェクトに関連してすでに活動を開始している「自然体験学習実践研究会」に自然保護教育や自然体験キャンプなどで取り組まれてきた手法を積極的に位置づけ、その評価を通して自然体験学習に関わる指導者養成のあり方を体系的に提起することを目標とした。指導者養成のためのカリキュラム作成及び実践モデルの実施をめざした総合的研究であり、自然体験学習実践研究会を中心に自然体験学習の指導者養成システムに関する幅広い論点の提起と整理がなされた。
著者
大久保 雄平 福井 巌 坂野 祐司 吉村 耕治 前田 浩 米瀬 淳二 山内 民男 河合 恒雄 石川 雄一 山本 智理子
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.87, no.9, pp.1138-1141, 1996-09-20

44歳,家婦。1年3ヵ月来の肉眼的血尿,排尿困難を主訴に1994年6月初診。経膣的な触診にて膣前壁に柔らかい腫瘤を触れ尿道腫瘍を疑った。尿細胞診では腺癌を疑わせる多数の悪性細胞集塊を認めた。尿道膀胱造影にて尿道憩室を2つ認め,尿道鏡にて尿道括約筋の近位と遠位の2カ所にそれぞれの憩室口を認めた。膣からの圧迫により近位の憩室から表面平滑な小豆大の腫瘍が突出したのでこれを切除したところ,病理学的には低分化型の移行上皮癌が疑われた。尿道憩室癌の診断にて8月9日前方骨盤内臓器全摘術,インディアナパウチ造設術施行。近位憩室内に認められた腫瘍は病理学的に管状,乳頭状および嚢胞状など多彩な腺様構造を呈し,核が上皮細胞の表面に突出した,いわゆるhobnail(鋲くぎ)パターンを認め,mesonerphric adenocarcinomaと診断した。術後,局所に放射線照射を追加し退院。術後1年4ヵ月の現在再発,転移を認めていない。女子尿道mesonephric aenocarcinomaはその組織発生に関していまだ統一された見解はなく,自験例は文献上44例目と思われる。
著者
福井 正信
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.59-63, 1958
被引用文献数
1 1

1)ササラダニの採集に際しBerlese変法, 渡辺等の採集法, 直接採集法を試みた.2)採集したササラダニ成虫を恙虫飼育容器であるプラスチック製シヤーレ内に獣炭末及び石膏との混合培地を床とし, その床に2万倍マーゾニン液を適時滴下補給して湿度を保ち併せてカビの発生を防ぎ, この環境下で飼育し数カ月乃至1年以上の生存をみた.3)渡辺氏等の採集法を検討し, プレート法によるササラダニの日週活動を調べる目的で実験を行つた.即ち1957年9月12日午前9時より翌13日午前10時迄の26時間, 杉板及び松板を用いて毎時この板の両面に集るダニの数を観察し, 同時に気温・地温・湿度を測定・記録した.4)この結果, 板よりの採集ダニの殆んどがホクリクササラダニOribatula sp. (Or. -1)であることが判明した.又杉板より松板に多く集る傾向のあるのを見た.5)杉・松共に表面より裏面に多く観察され, その数は裏面が昼夜共全体の70%前後を示し夜間と昼間の両面出現比率は有意差を示さなかつた.6)杉板の裏面に観察されたダニ数の時刻的推移をみると午前に活動の山がみられ午後3時以降急速に観察数は減少し夜間は殆んど認められなかつた.又松板採集区ではこの出現状態と気温・地温との間には何れも正の有意の相関がみられた.7)このプレート採集法は或地域のササラダニ相を調査する為の最適の方法ではないにしてもMoniezia expansaの中間宿主となるホクリクササラダニの採集法としては好適な方法の1つであると思われる.
著者
浦田 耕二 福井 美佳 藤井 寛子 鈴木 優 酒井 哲也 齋藤 佳美 市村 由美 佐々木 寛
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告情報学基礎(FI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.36, pp.23-29, 2004-03-26
被引用文献数
6

ユーザからの質問に対し、映像・音声・取扱説明(テキスト)などで構成される表現力豊かなマルチモーダルコンテンツの検索技術、および、質問内容を理解しユーザが必要としている情報に対して的確に回答する質問応答技術を融合することにより、より分かりやすい情報提供を実現した質問応答型マルチモーダルヘルプを開発した。このシステムを用いて、オーブンレンジ、デジタルカメラの取扱説明書データ(テキスト160ページ、映像108分)を登録し、質問データ123件による実験を行い、次のような知見が得られた。(1)質問応答技術により取扱説明情報の探索作業が軽減される見込みを得た。(2)映像、音声、取扱説明書の該当ページの表示を併用することにより,取扱説明に関するわかりやすさが向上すること確認した。映像収集、編集について、作業の軽減と質の向上を支援する必要がある。We have developed a user-friendly help system by integrating multimodal content retrieval technology and question answering technology. Multimodal content retrieval enables the user to access contents with a rich power of expression such as those comprising video, speech and textual instructions, while question answering enables pinpoint access to the required information. We conducted a preliminary experiment using the manuals of a microwave oven and a digital camera (160 pages of text and 108 minutes of video) as the knowledge source, with 123 questions. Our findings are: (1) Question answering technology enables efficient access to the desired instructions; and (2) Responses in video/audio accompanied by presentation of a relevant manual page helps the user understand the instructions better. However, we need a mechanism for facilitating gathering/editing of video contents and for improving their quality.
著者
海妻 矩彦 平 宏和 平 春枝 福井 重郎
出版者
日本育種学会
雑誌
育種學雜誌 (ISSN:05363683)
巻号頁・発行日
vol.24, no.2, pp.81-87, 1974-04-30
被引用文献数
2

大豆たんぱく質の含硫アミノ酸含量に関する品種間差異をしらべ,その遺伝的性質を明らかにする目的で,1968年と1969年に岩手大学農学部において栽培された55品種を材料とし,たんぱく質含量(マクロ・ケルダール法,N×6.25)および含硫アミノ酸含量の分析(マイクロバイオアツセイ法)を行なった。得られた主要な結果は次のとおりである。1)品種間にみられた変異の巾は,たんぱく質含量で49.1〜34.8%,メチオニン含量で0.96〜0.67g/16gN,シスチン含量で1.22〜0.62g/16gN,合計の含硫アミノ酸含量で2.15〜1.29g/16gNであり,変異係数は,それぞれ,6.2,7.2,14.2,10.0%であった。含硫アミノ酸含量の品種間差異の大きさは,たんぱく質含量のそれと同程度か,もしくは,それ以上の大きさとみられる。2)遺伝力は,たんぱく質含量,メチオニン含量,シスチン含量および合計の含硫アミノ酸含量に関し,それぞれ,58.8,55.1,66.8,66.6%であり,含硫アミノ酸含量の遺伝力は,たんぱく質含量のそれと同等もしくはそれ以上に高い値を示した。3)小袖振,極早生枝豆,極早生はやぶさ,3号早生大豆,Laredoは含硫アミノ酸含量が高く,交配母本として有用である。また,晩生黒大豆や平豆は含量が低く,育種学的研究の材料として興味深い。
著者
福井 裕行
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 : FOLIA PHARMACOLOGICA JAPONICA (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.125, no.5, pp.245-250, 2005-05-01
被引用文献数
1 1

ヒスタミンH<sub>1</sub>受容体を介するシグナルはH<sub>1</sub>受容体の発現レベルにより調節を受けることが明らかにされつつある.先ず,リコンビナントH<sub>1</sub>受容体を発現する培養細胞を用いて,H<sub>1</sub>受容体のダウン調節が明らかにされた.この機構にはH<sub>1</sub>受容体分子のリン酸化が関与することを明らかにした.そして,リン酸化部位として5ヵ所のセリンおよびスレオニン残基が明らかにされた.そのうち,<sup>140</sup>T,および,<sup>398</sup>Sの2つの部位がより重要なようである.H<sub>1</sub>受容体リン酸化にはカルシウム/カルモジュリン依存性キナーゼII,タンパクキナーゼC,タンパクキナーゼG,タンパクキナーゼAなどの関与が示唆される.そして,ダウン調節にはH<sub>1</sub>受容体を介する同種ダウン調節に加えて,M<sub>3</sub>ムスカリン受容体やβ<sub>2</sub>アドレナリン受容体を介する異種ダウン調節の存在を明らかにした.異種の受容体ダウン調節は受容体分子のリン酸化が関与していないようである.それに対して,H<sub>1</sub>受容体を介するH<sub>1</sub>受容体遺伝子発現亢進による受容体アップ調節機構の存在が明らかとなった.この機構にはタンパクキナーゼCの関与が示唆される.さらに,異種のH<sub>1</sub>受容体アップ調節の存在も明らかにしつつある.アレルギーモデルラット鼻粘膜H<sub>1</sub>受容体mRNAレベルがアレルギー発作により上昇することを見いだしたが,この上昇にはH<sub>1</sub>受容体遺伝子発現の関与が示唆された.そして,H<sub>1</sub>受容体自身の刺激とそれ以外のメディエーターの関与が考えられる.また,H<sub>1</sub>受容体mRNA上昇はデキサメサゾンにより完全に抑制され,この上昇機構がデキサメサゾンの標的であることが明らかとなった.さらに,培養細胞におけるH<sub>1</sub>受容体誘発性H<sub>1</sub>受容体遺伝子プロモーター活性の上昇がデキサメサゾンで完全に抑制されることを見いだした.そして,H<sub>1</sub>受容体遺伝子には多数のイカロスサイト類似部位が見いだされた.<br>
著者
田中 正和 福井 正博
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ICD, 集積回路
巻号頁・発行日
vol.96, no.558, pp.31-38, 1997-03-07

レイアウト合成時のトランジスタの拡散領域の容量を精度良く評価して、トランジスタのゲート幅の最適化を行う手法について報告する。従来手法では、拡散の共有化やトランジスタの折り返しといったレイアウト合成時に変化する容量や面積を正確に見積もっていなかった。本手法では、回路性能に大きな影響を与えるトランジスタの拡散領域の共有化の行なわれる箇所をトランジスタの接続関係やゲート幅から推定し、その推定に基づいてレイアウト合成時の拡散領域の容量をより正確に見積り、定式化し、最適なトランジスタサイズの決定に用いるものである。本手法によるクリティカルパス遅延の最適化では、最大10%の改善効果が得られた。
著者
森 定雄 西村 泰彦 高山 森 後藤 幸孝 永田 公俊 絹川 明男 宝崎 達也 矢部 政実 清田 光晴 高田 かな子 森 佳代 杉本 剛 葛谷 孝史 清水 優 長島 功 長谷川 昭 仙波 俊裕 大島 伸光 前川 敏彦 中野 治夫 杉谷 初雄 太田 恵理子 大関 博 加々美 菜穂美 上山 明美 中橋 計治 日比 清勝 佐々木 圭子 大谷 肇 石田 康行 中村 茂夫 杉浦 健児 福井 明美 田中 鍛 江尻 優子 荻原 誠司
出版者
公益社団法人日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.44, no.6, pp.497-504, 1995-06-05
被引用文献数
9 9

サイズ排除クロマトグラフィーによる分子量測定において, 異なる測定機関における分子量測定値がどれくらい異なるかを知る目的で, 傘下26測定機関で共同測定を行った.試料はポリスチレン(PS)3種, ポリメタクリル酸メチル(PMMA)2種で, 被検試料の測定条件と較正曲線作成条件は各測定機関で用いている要領で行った.その結果, 各測定機関での相対標準偏差は1〜3%と良好であったが、26測定機関による全平均値の相対標準偏差は13〜32%となった.測定データを吟味し, 望ましい測定条件からかけ離れているデータを除外した場合, PSのRSDは数平均分子量で13.6〜15.5%, 重量平均分子量で6.0〜9.4%となり.又PMMAではそれぞれ14.3〜16.0%, 7.8〜12.2%であった.
著者
土井 美和子 福井 美佳 山口 浩司 竹林 洋一 岩井 勇
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-情報処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.76, no.9, pp.2042-2052, 1993-09-25
被引用文献数
9

文書の構造化作業の負担を軽減することを目的に,文書構造の抽出技術を開発した.技術文書では全国大会の予稿集12,000件,ビジネス文書では例文集,社内事務文書約500件を調査し,構造抽出規則を導き出した.開発した文書構造抽出技術は,技術文書であれば,章,節などの階層構造と,図表への参照構造を抽出する.ビジネス文書であれば,手紙文,記事文などの階層構造を抽出する.技術文書とビジネス文書の区別も文字列の解析により行う.誤り率は,規則化に用いたのと別の予稿集や社内文書で評価した結果,技術文書で10.0%,ビジネス文書で23.0%であった.また,参照構造の抽出誤り率は8%であった.文章中に埋め込まれた式や図表などを扱えるように改良を行った後のフィールドテスとでは,技術文書で5.4%,ビジネス文書で15.4%であった.また手作業よりかなり短い時間で構造化を行えることも事例により確認した.開発した文書構造抽出技術はレイアウト属性と結合することにより自動レイアウトシステムとして商品化した.本抽出技術はレイアウト以外にも,既存文書のハイパテキスト化などに今後非常に有効である.
著者
安本 亮二 浅川 正純 福井 淳一 和田 誠次 岸本 武利 前川 正信
出版者
社団法人日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雜誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.16-22, 1992-01-20

実験的膀胱癌誘発剤であるN-butyl-N-(4-hydroxybutyl) nitrosamine (以下BBN) の0.025%水溶液をラットに経口投与し, 投与5週目からラットinterferon-α (以下IFN-α) を0.1m1 (5×105units/kg/ml) 筋肉内注射し, 以後発癌に至るまでの膀胱の肉眼的変化と病理組織学的変化及びNatural Killer活性 (以下NK活性) の変化を経時的に検討した.1) BBN+IFN-α群の膀胱重量は, 膀胱粘膜に肥厚や血管増生などの肉眼的変化を認めるBBN投与10〜14週の時期 (A期) ではBBN群の膀胱重量と差は見られなかったが, 腫瘍が観察されるBBN投与15〜19週 (B期), 及び20〜30週 (C期) では, 前者重量は後者重量に比べて有意に小さかった.2) A期, C期における発癌率はBBN+IFN-α群の方がBBN群より低かった.3) B期, C期における膀胱癌の悪性度及び浸潤度は, BBN+IFN-α群の方がBBN群に比べて低かった.4) NK活性はA期では両群間に差は見られなかったが, B期ではBBN+IFN-α群の方がBBN群に比べて上昇していた.5) 以上の結果より, IFN-αはBBN誘発ラット膀胱癌の実験系において発癌過程から抗腫瘍的に作用していることが想定された.