著者
秋光 純 堀金 和正
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的研究(萌芽)
巻号頁・発行日
2022-06-30

「室温超伝導の実現」は、人類の夢の一つである。確かに、「物理学の夢」の10本の指の中に挙げられていることは間違いない。最近、申請者は「室温伝導体(Tc~350K)」と思われる物質Ti-B-Cを発見した。しかし、その超伝導体積分率は1%以下であり、その成分を取り出し、それを単相化し、結晶構造を決定する必要がある。それが本申請の目的である。本物質が実現出来れば、現在のエネルギー問題の解決に向けての第一歩になることは間違いない。
著者
秋光 純 富本 晃吉
出版者
The Crystallographic Society of Japan
雑誌
日本結晶学会誌 (ISSN:03694585)
巻号頁・発行日
vol.34, no.5, pp.273-282, 1992-10-30 (Released:2010-09-30)
参考文献数
26

The current status of oxide superconductors is briefly reviewed from a crystal structure perspective. Tokura et al. recently classified high-temperature superconductors using block layer concept. We propose a new “layer” concept and discuss the possibility of new block layers by reconstructing the layers. As an example, we present new high-Tc materials containing CO3 by combining an “old” and new block layers recently discovered. Finally, main roles for realizing the high-Tc superconductors are discussed from the structural point of view.
著者
井上 克也 菊地 耕一 岸根 順一郎 秋光 純 山口 兆 美藤 正樹 川上 貴資
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

井上:新規キラル磁性体2種を新たに合成した。うち3つのキラル磁性体の磁気構造を中性子線回折、下の美藤らの研究による高調波磁化率の検討により明らかにした。秋光:無機系透明chiral磁性体CuB_2O_4および新しいキラル無機磁性体Crl/3NbS2等のの大型単結晶の作成に成功し、磁化の特異な磁場・温度依存性を観測した。この磁化の振る舞いは、岸根らのchira1ソリトン格子モデルによって統一的に理解され、chiral磁性体特有の磁化過程を明らかにすることができた。菊地:グリーンニードルの単結晶を加圧することにより、螺旋軸の一つが消失することが判明した。このことは加圧によってchiralityを制御できることを意味し、この過程を詳細に調べた。美藤:各キラル磁性体について交流磁化率における高調波成分の精密測定および解析を集中的に進めた結果、chiral磁気構造に特徴的な空間反転対称性の破れを直接検出し、磁気構造の詳細を明らかにした。山口、川上:本年度は化学反応における軌道、スピン、電荷、およびカイラル対称性の破れとその回復について研究を進めた。まず、電子相関効果の強い電子系を有する分子系の構造最適化法として対称性の破れた密度汎関数法(DFT)に近似スピン射影により対称性の回復を行ったエネルギー勾配法(AP-OPT)を開発し、ヘモシアニン酵素の活性サイトである二核銅酸化物錯体の構造最適化に適用しその有効性を確立した。さらに、RBS法により反応の状態相関図を求め、局所的スピンクロスオーバー現象などを解明した。また、4鉄イオウ錯体では酸化還元ポテンシャルに対する水素結合効果も検討した。さらに、カイラル対称性に関与するDMパラメータの計算を実行した。岸根:chiral磁性特有の磁場・温度誘起ソリトン格子形成が磁化過程に及ぼす影響を明らかにした。さらに、ソリトン格子のダイナミクス、特異なスピン波物性を、実験研究との密接な連携を保ちながら調べた。
著者
秋光 純 銭谷 勇磁
出版者
青山学院大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

強相関電子系物質において、フェルミレベルの分散を平坦化することは、その強相関効果を顕在化させる働きがある。特に顕在化する物性として強磁性と超伝導が考えられる。特に高温超伝導体においては、フェルミレベル近傍でk=(π,0),(0,π)での分散が平坦化している。また理論的観点からも、フェルミレベルの分散を平坦化すると1粒子励起が抑制され、2粒子励起が高められ超伝導に有利であると考えられている。以上の背景のもと、我々は銅酸化物を取り上げ以下に示す3つの物質群での超伝導開発を行った。1)Liebモデルを基礎とした物質開発-Ba_8Ca_<16/15>Cu_<64/15>O_y(CO_3)_<2.66>-Ba_8Ca_<16/15>Cu_<64/15>O_y(CO_3)_<2.66>の結晶構造はCuO_2二次元面内のCuサイトがCO_3基で1/4置換された既知の物質であり、その電気伝導性は絶縁体である。このBa_8Ca_<16/15>Cu_<64/15>O_y(CO_3)_<2.66>のCa^<2+>サイトをNa^+で置換し、ホール・キャリアを注入し超伝導化を試みた。その結果、T_c=117Kから超伝導性が確認された。Ba-Ca-Cu-O-CO_3系では既知の超伝導体(T_c=110K)が存在するが、XRDからは既知物質は確認されておらず、Ba_8Ca_<16/15>Cu_<64/15>O_y(CO_3)_<2.66>による超伝導の可能性は高い。現在、相の特定を行っている。2)団子格子モデルに基づく物質開発-PrBa_<2-x>A_xCu_3O_y (A=Ca, La)-PrBa_2Cu_3O_yはYBa_2Cu_3O_yと同じ結晶構造を有しているにも関わらず超伝導が出現しない物質である。我々はこのPrBa_2Cu_3O_yに過剰酸素を注入し、CuO鎖を2次元面とすることにより、超伝導化を目指した。結果、金属的伝導は示すが、測定最低温である5Kまで超伝導は確認されていない。3)平坦なバンド構造が期待される物質開発-LaCuOCh (Ch=S, Se, Te)-我々は、理論的モデル物質のみではなく、平坦なバンド構造を有する物質として知られているLaCuOCh (Ch=S, Se, Te)を母体とした超伝導体開発も行った。La^<3+>サイトをSr^<2+>等で置換し、ホール・キャリアコントロールを行った。現在のところ金属的な伝導を示すものの、超伝導は確認されていない。
著者
井上 克也 秋光 純 菊地 耕一 美藤 正樹 岸根 順一郎 戸川 欣彦
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010

本研究計画の目的である分子性・無機 Chiral 磁性体の物質設計・制御戦略を確立した。目的以外についても以下の項目が本研究により達成された。キラル無機磁性体 CrNb3S62 の単結晶におけるキラルらせん磁気秩序およびキラルスピンソリトン格子の実空間および逆空間観測に成功した。キラル源を含まないキラル分子磁性体の合成についても新しく発見した。
著者
鳥養 映子 三宅 康博 門野 良典 岩崎 雅彦 西田 信彦 秋光 純 杉山 純 永嶺 謙忠 齋藤 直人
出版者
山梨大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

超低速ミュオン顕微鏡は、表面・界面が関与する物理、化学、生命の諸現象の解明から、ミュオン異常磁気能率の精密測定までの広い分野において、研究を飛躍的に発展させる突破口となる。研究期間前半で共通基盤装置を開発し、後半でこれを用いた新たな学術領域の開拓をめざした。加速器施設の事故等による長期ビーム供給停止にもかかわらず、ビーム再開直後の平成28年2月に初の超低速ミュオン発生に成功した。海外実験施設等による予備実験により、磁性、超伝導、半導体、電池材料に加えて、触媒化学や生命科学などこれまで未開拓の分野においても基礎データを蓄積できた。さまざまな分野において、新量子ビームへの期待が高まっている。
著者
北岡 良雄 三宅 和正 木村 剛 木須 孝幸 伊豫 彰 秋光 純 大隅 寛幸 常盤 和靖 大貫 惇睦 八島 光晴 椋田 秀和
出版者
大阪大学
雑誌
特別推進研究
巻号頁・発行日
2008

(1)多層型銅酸化物高温超伝導物質の系統的な研究から,高温超伝導現象の起源は反強磁性磁気秩序を生み出す超交換相互作用に起因することを明らかにし,発見以来25年経過してもなお混沌としていた銅酸化物高温超伝導現象を解明(2)Feニクタイド系新高温超伝導体が超伝導状態は等方的なギャップを有するマルチギャップ符号反転S±波モデルによって説明できることを示した(3)六方晶フェライトSr_3Co_2Fe_24O_41において電気磁気効果の室温弱磁場動作を世界で初めて実現(4)価数転移の量子臨界点が磁場により誘起されることを理論的に示した.以上の多彩な系において「新しい量子物質相の発見や現象を解明.