著者
秋山 学
出版者
筑波大学文藝・言語学系
雑誌
文藝言語研究. 文藝篇 (ISSN:03877523)
巻号頁・発行日
vol.47, pp.1-21, 2005-03-31 (Released:2013-12-18)

ハンガリーの15世紀に「名君」としてその名を謳われたフニャディ家のマーチャーシュ王(1443-90 ; 在位1458/63~没年)は1、幼少の頃よりラテン語をはじめとする人文主義的教育を受け、大の蔵書家であったことで知られる。フニャディ家 ...
著者
秋山 学
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2003

3年間に及んだ本科研では,狭義の「西洋古典学」に関わる当地の現況把握のみならず,様々な伝承形態のうちに現在なお中欧諸国に息づいているギリシア・ローマあるいはビザンツ,さらにはルネサンス期文化の諸相を捉えることに努めてきたが,その成果は同題目による研究成果報告書(A4版124頁)のうちに集約されている.同書は全5部より成り,各章題は1.中欧・ハンガリー地域研究,2.ギリシア・カトリック教会研究,3.教父学,4.西洋古典学,5.仏教・比較思想研究となっている.ここでは特に「ギリシア・カトリック教会」が維持してきた伝承を強調しておきたい.すなわち,中東欧域に広く展開する同組織は,ビザンツ神学・典礼,および東方教会法を護持しながらヴァティカンと一致し,ラテン語や西方教会法,教皇史などに関する知的水準を維持し,古代中世東西地中海文化の結節点として現在なお機能している.その中でもハンガリーのものは,同地の言語がアジア系でもあることから,今後わが国の西洋古典教育に対しても大きな裨益をなすものであろう.研究代表者はこれまで主としてギリシア教父の視点を活かしながら,西洋古典を賦活化するために「予型論」の視座を用い,これを古典解釈の基軸とする試みを行ってきた.今回の科研で,その視点を現代に継承するものとして「ギリシア・カトリック教会」を位置づけることが叶い,昨今衰退の甚だしい古典古代文化教育に対しても新しい視点を提供することができるのではないかと期待している.この他,特に15世紀マーチャーシュ王治下のハンガリーに開花した高度な人文主義的文化は「ヴァティカンに次ぐ」とまで評された絢爛たる蔵書に集約されるものであり.往時の文化水準は,ほぼ旧ハンガリー王国の故地とも重なる現中欧諸国にあって,なお衰えることなく継承されている.未知であった中欧は,今後の欧州文化研究にとって不可欠な一地域となるであろう.
著者
守屋 正彦 藤田 志朗 程塚 敏明 勝木 言一郎 井川 義次 水野 裕史 木村 浩 山澤 学 小出 真理子 秋山 学 柴田 良貴 沖松 健次郎 入口 敦士 大久保 範子 菅野 智明 渡邉 晃 伊藤 たまき 中村 玲
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2014-04-01

調査期間中に進めてきた東アジアに展開する儒教美術の表象の研究は最終年度で、釈奠における孔子表象の研究を中心としたものに考察対象を絞り、国際会議を行った。国際会議は筑波大学国際会議室を会場に、2018年1月26日に開催し、杜正勝(台湾中央研究院院士)、陳芳妹(台湾大学教授)、James McMullen(Oxford大学名誉教授)、關信子(美術史家)による発表を受けて、これまでの研究成果を研究代表者、分担者が行い、その成果報告は『「釈奠-東アジアの孔子祭典を考える」報告論文集』(2018年3月31日)として刊行し、東アジアにおける儒教美術研究の横断的な研究基盤形成への端緒を開いた。
著者
秋山 学 秋山 佳奈子
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

聖書学の「予型論」を活用した本企画では, 遠く東洋日本におけるキリスト教伝来以前の文化伝承のうちに「予型」を見出し, それを照射する「光源」としてビザンティン典礼を措定するという2段階での研究を推進した.代表者による慈雲尊者飲光の研究により, わが国の悉曇学あるいは習合神道のうちに一つの予型が, また分担者による『源氏物語』注釈史研究を通して, 四辻善成のうちに実証主義的注釈家のあり方が見出されたと考える.