著者
小西 行郎 秦 利之 日下 隆 諸隈 誠一 松石 豊次郎 船曳 康子 三池 輝久 小西 郁生 村井 俊哉 最上 晴太 山下 裕史朗 小西 行彦 金西 賢治 花岡 有為子 田島 世貴 松田 佳尚 高野 裕治 中井 昭夫 豊浦 麻記子
出版者
同志社大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2012-06-28

発達障害とりわけ自閉症スペクトラム障害(以下ASDと略す)について、運動、睡眠、心拍、内分泌機能、体温などの生体機能リズムの異常を胎児期から学童期まで測定し、ASDにはこうした生体機能リズムの異常が症状発生の前、胎児期からでも見られることを発見した。それによって社会性の障害というASDの概念を打ち破り、生体機能リズムの異常としてのASDという新しい概念を得ることができた。この研究を通して、いくつかのバイオマーカを選択することが可能になり、科学的で包括的な診断方法を構築すると共に、障害発症前に予防する先制医療へ向けて展望が開けてきた。
著者
秦 利之 秦 幸吉 村尾 文規 北尾 学
出版者
日本産科婦人科学会
雑誌
日本産科婦人科學會雜誌
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.678-684, 1986

胎児心エコー図、胎児心電図、超音波パルスドップラー法を用い、先天性心疾患及び胎児不整脈の出生前診断を行い、その周産期管理及び予後について検討した。昭和55年4月より昭和60年3月までに、出生前診断が可能であつた症例は、上室性期外収縮(Premature atrial contraction;PAC)5例、PAC及びblockedPAC2例、PAC及び心室性期外収縮(Premature ventricular Contraction ; PVC)1例、PAC、blocked PAC及びPV01例洞性徐脈1例、完全房室ブ弓ツク1例、PAC及びPVCを伴つた心房中隔欠損1例、PAC及びPVCを伴つた胎児水腎症1例、大腸拡張症を伴つた複雑心奇形1例、食道閉鎖・鎖肛を伴つた単心房・単心室1例、単一膀帯動脈及びehcephaloceleを伴つた複雑心奇形1例、糖尿病妊婦に於けるAsymmetrical septalhypertrophy 1例であつた。15例の胎児不整脈のうち9例が生後1ヵ月以内に自然消失した。生後1ヵ月以上持続した胎児不整脈は、洞性徐脈、完全房室ブロック、PAC及びPVCを伴つた心房中隔欠損の3例であつた。完全房室ブロックの1例は、生後48日目にpacemakerを植え込み、順調に発育している。胎児不整脈の3例に於いてCoenzyme Q10による胎内治療を試み、抗不整脈作用を認めた。19例中、複雑心奇形を伴つた3例が生後死亡した。以上のように、胎児心奇形及び不整脈の出生前診断に、胎児心エコー図、胎児心電図、超音波パルスドップラー法を用いることによりその診断能力が向上し∫周産期管理を容易に行い得ることが示された。