著者
竹内 誠 河合 政岐 野田 篤 杉本 憲彦 横田 秀晴 小嶋 智 大野 研也 丹羽 正和 大場 穂高
出版者
一般社団法人 日本地質学会
雑誌
地質学雑誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.11, pp.715-730, 2004 (Released:2005-02-18)
参考文献数
44
被引用文献数
3 3

飛騨外縁帯北東部の白馬岳地域にはペルム系白馬岳層が分布する. 白馬岳層は従来から言われていたようなメランジュやオリストストロームからなる付加体ではなく, 火山弧周辺の浅海で堆積した珪長質火砕岩類を主とする整然層である. 白馬岳層下部層形成時では珪長質火砕岩の堆積を主とするが, 下部層の上部形成時には玄武岩の水中噴火が生じ, バイモーダルな火山活動がみられる. 中部層形成時では, 火山活動が沈静化し頁岩や砂岩が堆積した. 上部層形成時では再びバイモーダルな火山活動が始まり, かつスランピング又は斜面崩壊によって石灰岩角礫や岩塊が珪長質凝灰角礫岩とともに堆積した.白馬岳層は角閃岩岩塊を含む蛇紋岩に衝上断層で覆われ, 蛇紋岩の構造的下位に位置する. その後NW-SE方向とNE-SW方向の高角度断層の形成に伴って, 古生界岩塊を含む蛇紋岩メランジュが形成された.
著者
束田 和弘 竹内 誠 小嶋 智
出版者
日本地質学会
雑誌
地質學雜誌 (ISSN:00167630)
巻号頁・発行日
vol.110, no.10, pp.640-658, 2004-10-15
被引用文献数
7 23

従来,飛騨外縁帯の分布・区分などには多くの混乱と問題があったため,その発達史を議論する上で大きな障害となっていた,従来飛騨外縁帯として扱われてきた地層・岩体は,岩相とその占める空間的位置により,(1)中〜上部古生界浅海成層を主体とする地層群(宇奈月帯構成岩類を含む),(2)300Ma以前の変成岩を含み,苦鉄質〜超苦鉄質岩を主体とするもの,(3)後期古生代の石灰岩・チャート・砕屑岩主体層,(4)苦鉄質岩とペルム系砕屑岩,の4つに大別される.後三者は,それぞれ三郡-蓮華帯,秋吉帯および舞鶴帯に帰属を求めることができ,本論では(1)の分布域を飛騨外縁帯として再定義することを提案し,その模式地は福地・本郷・古川地域とする.本論の飛騨外縁帯構成岩類は,宇奈月,白馬岳,福地・本郷・古川,楢谷,石徹白,朝日,伊勢・大野の各地域に分布し,それらは各地域内で断層もしくは剪断帯で寸断されてブロック化している.
著者
足立 守 吉田 英一 山口 靖 鈴木 和博 志知 龍一 山本 明彦 竹内 誠 束田 和弘
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2002

数多くの断層により"破砕帯列島"となっている日本列島において、人口密集地の都市部は、家屋、道路、田畑等で覆われているため、地下構造を推定することは容易ではなく、地下構造に応じた地震動対策を立てることは難しい。こうした問題をクリアするために、稠密な重力探査結果に地表地質データ、ボーリングデータ、および地質リモートセンシングデータを組み合わせて地下構造解析を行い、断層のずれの量や破砕帯の規模を推定する研究を行った。主要な成果は以下の通りである。・従来の西南日本重力データベースに新たな重力データを加えて、国土基礎情報としての「日本列島重力アトラス-西南日本および中央日本」(山本明彦・志知龍一編、2004、東京大学出版会)を出版した。・人口密集地の名古屋市とその周辺地域において、1328の地点において新たな重力測定を行い、既存の温泉ボーリングデータ等と組み合わせて、詳細な地下構造解析を行った。その結果、北北西-南南東の枇杷島-熱田断層および東西の熱田-日進断層による基盤岩の垂直変位量が、それぞれ、約550mおよび約350mであることを明らかにした。・岐阜県高山南方の宮盆地において稠密な重力測定、地質調査、リニアメント解析を行った結果、宮盆地には北東-南西方向に延びる著しい負の重力異常域が存在し、2本の横ずれ断層に挟まれたプルアパート・ベイスンとして形成されたことを明らかにした。・阿寺断層地域の花崗岩中に発達する破砕帯の詳細な調査を行い、破砕帯の生成環境と形成プロセスについて明らかにした。
著者
竹内 誠
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.846-852, 2001-06-20

海外文献集録・海外文献紹介欄では, これまで海外で発表された最新の情報を会員の皆様に提供するため, 発刊されて間もない海外文献誌や開催されて間もない国際学会のプロシーディング等から論文を選び, 前者では数行で, 後者ではそれよりも詳細な抄訳をして紹介してきた.しかし, これらの集録・紹介の記事の中には, 専門分野以外の方にとっては多少わかりにくかったり, 日本国内ではあまりなじみのないキーワード・用語が含まれていることがあった.海外文献の中には優れたチュートリアル論文が多数ある.そうした論文を抄訳し紹介することによって, 技術のアウトラインをつかむとともに, 原典に触れていただくきっかけになることを期待して, 発表の時期が多少古いものも含め, 海外文献紹介の1つとして年に何回か取上げて紹介していくことにした.初回は, 最近の海外文献集録に何回か登場し, 応用分野も広い技術である「遺伝的アルゴリズム(Genetic Algorithm)」を取上げた.なお, これまで海外文献集録・紹介欄で取上げた抄訳の中に出てきたキーワード・用語で, この欄で取上げたら良いと思われるものがあれば, 当学会のホームページにある「会誌アンケート(学会誌読者アンケート)」ページ(URLは以下)等を利用してご提案していただきたい.