- 著者
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筏 義人
- 出版者
- 一般社団法人 室内環境学会
- 雑誌
- 室内環境 (ISSN:18820395)
- 巻号頁・発行日
- vol.10, no.1, pp.33-44, 2007-06-01 (Released:2012-10-29)
- 参考文献数
- 36
最近, 気管支喘息のようなアレルギー疾患が先進国を中心に増え続けている。その原因は必ずしも明らかではないが, 推測されている大きな原因は,最近の急激な室内環境変化である。すなわち, 住居の気密性と断熱性が高まるとともに, 室内冷暖房設備の機能が向上した結果, 室内にダニやカビが年中住みついてしまったのである。それまでは, 高温多湿期という限られた期間しかダニやカビは住居内に生息できなかった。アレルギー疾患のアレルゲンとして最も可能性の高いダニアレルゲンが常に居住空間内に存在するために, アレルギーの発病頻度が高くなったという次第である。その結果, 室内環境からダニの糞やペットの毛などを含むハウスダストを排除しようという試みが国の内外において活発に進められている。わが国においては, 以前から畳やフトンの天日干しと叩き, 床の雑巾拭き, 掃除機がけ, などがダニの排除に実施されてきた。最近では, 先端技術を利用した方法も用いられている。本解説においては, 特にわが国で, 最近, 開発されたダニの排除法とその効果を調べた結果を最近の文献に基づいて紹介する。