著者
荒川 敏 守瀬 善一 伊勢谷 昌志 梅本 俊治 池田 匡宏 堀口 明彦
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.26-30, 2017 (Released:2016-12-26)
参考文献数
17
被引用文献数
2

45歳の男性で,自ら肛門から大根を挿入したが抜けなくなり下血,下腹部痛出現したため救急搬送された.下腹部に限局した圧痛と筋性防御を認め,肛門からは動脈性の下血を認めた.腹部CTではRs直腸内に約74×58mmの異物を認めた.明らかな遊離ガスは認めなかった.全身麻酔下にて手術を行った.経肛門的に痔動静脈の損傷部位と直腸粘膜を修復した.腹腔鏡下にて腹腔内を観察すると,軽度濁った腹水を認めたが,明らかな穿孔部位は認めなかった.Rs直腸に異物を認めた.経肛門的に異物除去を試みるも困難であり,術者の左手を腹腔内に挿入して用手補助腹腔鏡下手術に移行し,用手的圧迫と経肛門的に異物を破砕しながら経肛門的に異物を除去した.経肛門的に摘出困難な直腸異物に対して,用手補助腹腔鏡下手術は腹腔内全体や腸管を観察することができ,用手的圧迫による異物誘導も可能であり,有用な治療のオプションになりえると考えられた.
著者
荒川 敏彦
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.3-25, 2017-09-30 (Released:2017-12-30)

マックス・ヴェーバーにおける宗教と経済という問題は、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の再解釈という性格を帯びる。その再解釈に際しては、『倫理』以外の業績と『倫理』との関係を考慮する必要がある。本稿では次の三点を指摘した。第一に、ヴェーバーは経済や法の概念とは異なり、宗教概念に対してのみその本質規定の拒否を明記したが、そこには同時代の宗教研究状況に対する彼の宗教社会学の位置が反映されている。第二に、ヴェーバーの宗教社会学には歴史的研究と理論的研究の二つの方向があるが、歴史的研究は理念型を駆使した理論的性格をもち、理論的研究には『倫理』など歴史的研究の成果が盛り込まれている。相異なる方向性をもつ諸著作は完結しているのではなく、著作間の相互連関によって問いが深化しているのである。第三に、神義論問題は経済格差の問題として解釈可能であり、経済的不平等を正当化する宗教倫理の形成と作用の問題は、現代の宗教と経済の問題を考える上で重要なヒントになる。
著者
荒川 敏 守瀬 善一 伊勢谷 昌志 梅本 俊治 池田 匡宏 堀口 明彦
出版者
日本大腸肛門病学会
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.26-30, 2017
被引用文献数
2

45歳の男性で,自ら肛門から大根を挿入したが抜けなくなり下血,下腹部痛出現したため救急搬送された.下腹部に限局した圧痛と筋性防御を認め,肛門からは動脈性の下血を認めた.腹部CTではRs直腸内に約74×58mmの異物を認めた.明らかな遊離ガスは認めなかった.全身麻酔下にて手術を行った.経肛門的に痔動静脈の損傷部位と直腸粘膜を修復した.腹腔鏡下にて腹腔内を観察すると,軽度濁った腹水を認めたが,明らかな穿孔部位は認めなかった.Rs直腸に異物を認めた.経肛門的に異物除去を試みるも困難であり,術者の左手を腹腔内に挿入して用手補助腹腔鏡下手術に移行し,用手的圧迫と経肛門的に異物を破砕しながら経肛門的に異物を除去した.経肛門的に摘出困難な直腸異物に対して,用手補助腹腔鏡下手術は腹腔内全体や腸管を観察することができ,用手的圧迫による異物誘導も可能であり,有用な治療のオプションになりえると考えられた.
著者
荒川 敏彦
出版者
日本宗教学会
雑誌
宗教研究 (ISSN:03873293)
巻号頁・発行日
vol.91, no.2, pp.3-25, 2017

<p>マックス・ヴェーバーにおける宗教と経済という問題は、『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』の再解釈という性格を帯びる。その再解釈に際しては、『倫理』以外の業績と『倫理』との関係を考慮する必要がある。本稿では次の三点を指摘した。第一に、ヴェーバーは経済や法の概念とは異なり、宗教概念に対してのみその本質規定の拒否を明記したが、そこには同時代の宗教研究状況に対する彼の宗教社会学の位置が反映されている。第二に、ヴェーバーの宗教社会学には歴史的研究と理論的研究の二つの方向があるが、歴史的研究は理念型を駆使した理論的性格をもち、理論的研究には『倫理』など歴史的研究の成果が盛り込まれている。相異なる方向性をもつ諸著作は完結しているのではなく、著作間の相互連関によって問いが深化しているのである。第三に、神義論問題は経済格差の問題として解釈可能であり、経済的不平等を正当化する宗教倫理の形成と作用の問題は、現代の宗教と経済の問題を考える上で重要なヒントになる。</p>
著者
渡邉 武 李 明哲 水谷 潤 山田 哲雄 佐藤 秀一 竹内 俊郎 吉田 範秋 北田 哲夫 荒川 敏久
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.681-694, 1991
被引用文献数
12 59

Red seabream broodstock were fed various diets of different nutritional quality for either 26 days or shortly before spawning to clarify the effective components in cuttlefish meal and raw krill which aid in quality egg production.<br> The percentage of buoyant eggs was lowest in the control group receiving the white fish meal diet, and was elevated by the addition of 200mg DL-α-tocopheryl acetate. The value was also effectively improved by replacement of white fish meal with defatted or intact cuttlefish meal as a protein source. Feeding broodstock with frozen raw krill after previously being fed control diet resulted in elevation of the percentage of buoyant eggs and normal larvae. Equally good results were obtained by substitution of cuttlefish liver oil in the control diet with 2.5% krill polar lipid or 2.5% krill nonpolar lipid. However, neither defatted krill meal nor fat-soluble fraction of cut-tlefish meal showed the good effect on the egg quality.<br> Consequently, the superior quality of cuttlefish meal to the white fish meal as a protein source for red seabream broodstock diets was reconfirmed. And the effective components in raw krill, aiding the reproduction of red seabream, are suggested to be the polar and nonpolar lipid fractions. In addition, vitamin E was also found to have the same efficiency for improvement of the egg quality.
著者
中田 久 中尾 貴尋 荒川 敏久 松山 倫也
出版者
公益社団法人日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.71, no.6, pp.942-946, 2005-11-15
被引用文献数
1 6

ブリの人工授精による採卵技術の向上を目的として,HCG投与時の卵径と排卵時問,卵量および卵質との関係を調べた。卵径650〜800μmの卵を持つ養成3歳雌魚33尾にHCG(500IU/kg)を投与して排卵を誘導した。その結果,HCG投与時の卵径(D,μm)と排卵までの時間(T,hr)には,T=-0.082D+105.99(R^2=0.51)の式で表わされる負の相関関係が認められた。卵径700〜800μmの個体からは約53万粒/尾の卵が得られ,卵径650〜700μmの個体ではその半数であった。ふ化率はHCG投与時の卵径が大きい個体ほど高かった。