著者
田北 徹 川口 和宏 増谷 英雄
出版者
The Ichthyological Society of Japan
雑誌
魚類学雑誌 (ISSN:00215090)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.497-503, 1988-02-25 (Released:2010-06-28)
参考文献数
7

Distribution of the salangid fish, Neosalanx reganius Wakiya et Takahasi was investigated in the rivers around Ariake Sound which is located in western Kyushu. They were only found in the Chikugo River and the Midori River located about 50km apart from each other and were regarded to be endemic to those rivers. They inhabit the tidal area of the downstream occur-ring mainly in fresh water, although some are found in the waters having low seawater con-centration near the mouth of the rivers. Morphological examination revealed no meristic difference, but some statistically significant differences in the body proportions between the two populations indicating their entire isolation from each other.
著者
武地 一 山田 裕子 杉原 百合子 北 徹
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.207-216, 2006-03-25 (Released:2011-03-02)
参考文献数
42
被引用文献数
5 5

目的: もの忘れ外来通院中のアルツハイマー型痴呆症 (AD) 患者における行動・心理学的症候 (BPSD) として捉えられる周辺症状と中核症状である認知機能障害, および介護負担感との関連を明らかにする. 方法: もの忘れ外来通院中の46組のAD患者・家族介護者を対象とした. BPSDの調査には Cummings らにより開発された Neuropsychiatry Inventory (NPI) を用い, Teri らの研究を参考に下位領域として記憶に関する症候を加えた. 認知機能の評価にはMMSE, word fluency, 時計描画テスト等を, 介護負担感の測定には Zarit 介護負担尺度および抑うつ尺度CES-Dを用いた. 結果: BPSDとして記憶に関する症候, 無為, うつ, 妄想, 興奮, 不安が多く見られ, 特に記憶と無為に関しては幅広い症状が高頻度に見られた. BPSDは介護負担感に強い影響を与えており, 中でも不安, 興奮, 異常行動が介護負担感に強い相関を示すことが明らかとなった. MMSE以外の認知機能得点の低下およびADL低下も Zarit 介護負担尺度と有意な相関を示したが, 多変量解析ではNPIのみが有意に関連していた. 一方, 介護者の抑うつ度は患者の近時記憶低下と関連が深い可能性が示唆された. BPSDと認知機能との関連では妄想, 無為がMMSEの低下と関連すること等, 認知機能の低下とBPSD悪化に関連が示されたが, 質問項目ごとの詳細な検討により記憶, うつに関する症候についてはむしろ認知機能が高い患者に多い項目もあることが示された. 結論: もの忘れ外来通院中のAD患者のBPSDや認知機能障害の詳細な項目まで検討することにより, 介護家族負担感や抑うつとの間や患者要因相互の間に様々な関係があることが明らかになった. このような関係を把握することにより, 効果的な病態評価と援助が行えるものと思われる.
著者
森川 晃 川上 弘 田北 徹
出版者
Japanese Society for Aquaculture Science
雑誌
水産増殖 (ISSN:03714217)
巻号頁・発行日
vol.50, no.3, pp.271-277, 2002-09-20 (Released:2010-03-09)
参考文献数
14

1998年4月から2000年4月に島原半島沖の有明海で漁獲されたマゴチ603尾とヨシノゴチ263尾について, 耳石薄片標本により年齢と成長の解明を試みた。耳石輪紋形成時期は両種とも年1回, マゴチでは6~7月, ヨシノゴチでは4~5月であり, いずれも産卵期にほぼ一致し, 輪紋数は年齢を示すと考えられた。満年齢時における両種の雌雄別逆算全長をもとに, 非線形最小二乗法を用いて, von Bertalanffyの成長式をあてた結果, t歳における全長Ltは次式で表された。マゴチ雄: Lt=458.26 (1-exp (-0.417 (t+0.439) ) )雌: Lt=728.44 (1-exp (-0.192 (t+0.978) ) )ヨシノゴチ雄: Lt=469.72 (1-exp (-0.215 (t+3.008) ) )雌: Lt=657.45 (1-exp (-0.267 (t+1.076) ) )両種とも, いずれの年齢においても雌の方が雄より大きい体サイズを示した。
著者
北 徹朗 橋口 剛夫 一川 大輔 服部 由季夫 浅井 泰詞
出版者
公益財団法人 石本記念デサントスポーツ科学振興財団
雑誌
デサントスポーツ科学 (ISSN:02855739)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.37-51, 2022-06-20 (Released:2023-04-09)
参考文献数
22

本研究では実験室内で検証されることが多かった帽子の着帽効果について,暑熱環境下における実際の運動・スポーツ場面において検討し,熱中症対策に有用な帽子開発の基礎資料を提示することを目的とした.実験1では,39種類の色と素材の帽子について,帽子内温度が低く抑えられるものは何かを検討した.その結果,綿ポリ製の複数の色で最も温度上昇が抑えられた.実験2では,綿ポリ製素材を用いて2種類の形状の帽子を試作した.この帽子を用いて,4種目のスポーツ実施中の帽子内温湿度と被験者の深部体温の変化について観察した.その結果,広い通気口のある帽子では,湿度の上昇が低く抑えられた.他方,帽子全体に1センチ四方の小窓を開けた帽子では,広い通気口を設けるより,帽子内温度上昇率を15ポイント以上低く抑えられた.2つのタイプの帽子はそれぞれに優れている点が認められ,これらを組み合わせたスポーツキャップがあれば有用性が高いのではないかと示唆された.
著者
船曳 康子 北 徹 石井 賢二 日下 茂 袴田 康弘 若月 芳雄 村上 元庸 横出 正之 久米 典昭 堀内 久徳
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.36, no.4, pp.274-278, 1999
被引用文献数
10

症例は83歳男性. 1996年12月末より徐々に喀痰, 咳嗽, 全身倦怠感, 食欲低下みられ当院受診. 肺炎と診断され1997年1月7日入院となった. 入院時血圧70/48mmHg, PaO2 55.5mmHg, CRP20mg/dl, ラ音聴取, 黄色膿性痰みられ, 抗生剤を開始した, 血清抗体価の上昇より (入院時4倍→2週後128倍), インフルエンザA感染症の合併と診断した. 発熱, 呼吸困難は抗生剤治療に抵抗性であった. 血中よりアスペルギルス抗原を検出し (2+), 抗真菌剤治療により抗原は (1+) と改善したが, 2月20日, 喀血をきたし永眠された, アスペルギルス症は免疫不全患者が罹るとされているが, 本例では入院後数日間白血球数が低下しており, インフルエンザによる一時的免疫力低下がアスペルギルス症の発症に関与したと考えられた. また高齢者のインフルエンザ感染症の合併症の重篤さが示唆された.
著者
田北 徹 Sumonta Intong
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.57, no.10, pp.1883-1889, 1991 (Released:2008-02-29)
参考文献数
17
被引用文献数
18 16

The early life histories of two puffers Takifugu rubripes and T. xanthopterus, were ecologically studied. The larvae of either or both species, not distinguishable from each other, were found in the middle or bottom layer in Ariake Sound and neighboring Chijiwa Bay in April and May. The juveniles of both species were noted in late May after becoming about 20mm in standard length at the mouths of rivers located at the head of Ariake Sound. T. rubripes stayed there until July or August, and T. xanthopterus for one month longer, under the condition of a large range of salinity. The diet of T. rubripes appeared to consist mainly of benthic animals such as crabs, zoeae, gammarids, fish lices, mysis and snails, whereas for T. xanthopterus, pelagic organisms. Many young puffers caught with commercial fishing nets are abandoned as trash fish and some efforts to conserve them should be made.
著者
荒木 厚 福島 豊 松本 光弘 佐古 伊康 北 徹
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.111-115, 1990-04-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
20
被引用文献数
2 1

先天性代謝異常症のホモシスチン尿症では, 若年性に動脈硬化, および脳梗塞をきたしやすい。また, 血中ホモシステインの蓄積は, 動脈硬化を惹起するという仮説が提唱されている.ホモシステインの成人における脳梗塞発症に対する関与の可能性を検討する目的で, 慢性期脳梗塞患者42例の血漿総ホモシステイン濃度を測定し, 年齢, 性, および高血圧をマッチさせた対照84例と比較した.両群間のBody mass index, 空腹時血糖値, 血清コレステロール, 中性脂肪, クレアチニン, 尿酸濃度, および喫煙者の割合には, 有意差がなかった.血漿総ホモシステイン濃度 (nmol/ml) は, 脳梗塞群13.2±5.8, 対照群8.5±3.7であり, 脳梗塞群が対照群に比して有意に高かった (p<0.000001).以上の成績は, ホモシステイン仮説を支持し, 血漿ホモシステインの高値が, 脳梗塞の独立な危険因子の一つとなりうることを示唆する。
著者
本庶 佑 中西 重忠 湊 長博 北 徹
出版者
京都大学
雑誌
特別推進研究(COE)
巻号頁・発行日
2000

本庶グループは、AIDの突然変異体を用いてAIDのN末端が体細胞突然変異に、C末端がクラススイッチ組換えに必要な機能特異的ドメインであることを証明した。一方、DNA deamination学説において、中心的な役割をすると考えられているウラシルDNAグリコシラーゼ(UNG)がDNAの切断には関与せず、この酵素の役割は酵素活性を通じてではなく、そのタンパク質として関与することを明かにした。一方、PD-1の自己免疫制御についてはPD-1欠失が自己免疫性糖尿病の発症を著しく促進し、この実験系を用いてNODマウスの糖尿病感受性遺伝子座の解析が可能であることを示した。湊グループは、SPA-1 KOマウスの新しい病態形質として、抗DNA抗体・抗核抗体の産生とそれによる典型的なループス腎炎の発症を確認した。これは異常な自己反応性B1細胞の出現とその抗原特異的免役応答によるもので、構成的Rap1シグナルによる転写共因子OcaBの過剰発現による免疫グロブリンL鎖の編集(レセプター・エディション)異常に起因することが示された。レセプター・エディションの異常による自己免疫病の発症は従来、自己抗体遺伝子トランスジェニック・モデルを用いて精力的に研究が進められてきたが、今回の結果により、通常の動物のシグナル遺伝子変異によるレセプター・エディションの異常が確かにヒトのループスに相当する自己免疫病態に至りうることが示された。中西グループは、グルタミン酸受容体と共役するイオン・チャンネル及び新たな足場蛋白質(GIRK・K+チャンネル、ubiquitin ligase、tamalin等)を明らかにし、これらの複合体形成がグルタミン酸伝達の制御に重要な役割を果たしていることを示した。さらに小脳発達期の顆粒細胞の増殖、移動、分化、シナプス形成にカルシニュリン・シグナル系が重要な役割を果たし、BDNFとCa2+シグナルの協調的作用がグルタミン酸系シナプス成熟に必須であることを示した。また、大脳皮質の構築を制御するCaja1-Retzius(CR)細胞の特異的遺伝子を同定し、CR細胞が細胞増殖、分化、シナプス成熟に特異性を持って作用していることを示した。北グループは、彼らが同定した酸化LDL受容体LOX-1の血清濃度が急性冠症候群で上昇しており血清LOX-1値は急性冠症侯群の予知因子となる可能性を示した。北らが同定した別の酸化LDL受容体SR-PSOX(CXCL16と同一)は感染性心内膜炎等で心臓の弁内皮細胞に強発現しCD8T細胞のVCAM-1への接着を促進し、IFNγの産生を増加さることを発見した。GFP発現マウスの骨髄移植マウスで実験的動脈硬化を解析し血管平滑筋様細胞も含めて浸潤した多くの細胞が骨髄由来であることを見出した。アダプター蛋白ShcAがインテグリンβ3のチロシンリン酸化依存的に結合し、血小板凝集に重要であることを証明した。
著者
北 徹 中谷 矩章 松沢 佑次 KOREAKI NAKAYA
出版者
京都大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

我国においても食生活の欧米化に伴い、狭心症、心筋梗塞等の虚血性心疾患の発生頻度が年々上昇している、我々の研究成果を基に上記症の根底をなす動脈硬化発症につき、ことに血清コレステロール代謝に注目し、まず食餌因子の血清コレステロールに与える影響について検討を試みることにした。従来より食餌性の諸因子が血清コレステロール、ことにLDLコレステロールに影響を与えることが知られている。我々は動物性食物の摂取がほとんど無い禅宗修行僧に注目し、彼等の血清脂質と食餌成分とを比較検討し、合わせて外国人および日本人修行僧の比較を試みた。<結果>京都市内の禅寺修行僧を対象に検討とたところ(平均年令29.7才)血清総コレステロール値135,1mg/dlでLDL値は73mg/dlであった。一方コントロールの成人男子は血清コレステロール値が188.9mg/dlでLDLが108.6mg/dlであり、明らかに修行僧の血清コレステロール値ことにLDLコレステロール値は低値を示した。次に外国人、日本人の同居する禅寺において検討したところ、外国人の総コレステロール値は149mg/dl、LDL値は77mg/dl、日本人のそれは150mg/dl、82mg/dlであった。一方コントロールのそれは187mg/dl、112mg/dlであり、人種差が影響していないことが判明した。また禅寺に入山前後で食餌成分の影響を検討したところ、入山前総コレステロール、LDL値は166mg/dl、92mg/dlで6ケ月後に136、77mg/dlに低下している事が判明した。食餌分析の結果、総摂取カロリーには変化が少ないが、禅僧はコレステロールの摂取がほとんど無くしかも動物性食物の摂取が無いためと思われるが、不飽和脂肪酸の摂取が多く、それに比して飽和脂肪酸の摂取が少ない事が明らかとなった。現在動物を用いて飽和脂肪酸を多く含んだ食事、逆に不飽和脂肪酸を多く含んだ食事により、血清コレステロール値の変動を検討する予備実験を進めている。
著者
北 徹 濱口 洋 若月 芳雄 久米 典昭 横出 正之 土井 俊夫 吉岡 秀幸
出版者
京都大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1993

まず、本研究の目的である血管内皮細胞への接着及びその阻害効果を判定する方法として、ヒト臍帯静脈から採取した内皮細胞を培養し、あらかじめ常法にて採取した単球の接着を行う。24時間培養を行い、dishを洗浄した後、ギムザ染色にて、その後着量を判定する。この際、あらかじめマロチラート(Diisoprophyl-1、3-dithiol-2-ylidenemalonate)、あるいは抗単球接着分子抗体を添加した群との間で比較検討を行う。マロチラート(diisoprophyl-1、3-dithiol-2-ylidenemalonate)の単球接着阻害効果については繰り返し実験を行ったが、際立った効果をあげるに至らなかった。単球接着分子については、invivoの判定を考慮に入れると、ウサギの系が最も扱いやすく、その場合にはVCAM-1が最もよい接着分子と考えられた。。VCAM-1と単球接着の関係を観察する目的で、まず、遺伝的に動脈硬化を引き起こすWHHLウサギを用いて、それぞれに動態を検討したところ、1ヶ月令ですでに動脈硬化の起こりやすい場合にVCAM-1の発現を抗VCAM-1抗体を用いて確認することができた。この際、第1肋間動脈では、その入口のみに接着分子の発現が観察されたが、2ヶ月令では、その付近の動脈では全周にわたって観察されることが明らかにされた。1ヶ月令ではすでに単球-マイクロファージの存在も確認された。約3ヶ月令ではTリンパ球の存在も同部位に確認された。この事実は始めての結果であり、学会発表予定であり、論文も準備中である。この間、接着分子のノックアウトマウスの研究が米国において行われ、単独の単球の接着が単球接着分子のみにて起こる現象ではないことが判明し、今回の研究テーマも方向転換せざるをえなくなった。