著者
藤沼 康樹 長谷川 尚哉
出版者
一般社団法人 日本東洋医学系物理療法学会
雑誌
日本東洋医学系物理療法学会誌 (ISSN:21875316)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.1-12, 2020 (Released:2021-06-28)
参考文献数
15

COVID-19 パンデミックにより非常事態宣言が発表され、地域の医療需給体制は変化をきたした と考えられるが、診療所の領域においても受療行動の変化を体験することとなった。Face to Face で受診するという役割から、感染症への対応にシフトし、その結果、軽症救急、健康問題に関連 したよろず相談のアクセシビリティも低下することとなった。鍼灸院においても同じような傾向 をとったと聞き及ぶが、この度は日本人の受療行動とケアのエコロジーから考えてみることにす る。病の意味へのアプローチとして FIFE、ライフ・ヒストリー、サルトジェネシスについての解 説を行い、家庭医の診察室に陪席する体験をしていただければと思う。その上で、これからの鍼 灸院を鍼灸学における診断治療技術以外に必要な事を想像する作業をディスカッションしてみた。
著者
藤沼 康樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.888-891, 2014-10-15

症状や不安などを訴えて患者が外来受診した場合,通常は問診,身体診察,診断に必要な検査を経て,医学的診断をして治療を行うというのが,通常医学教育において教えられる診療のプロセスである.しかしながら,このプロセスをニュートラルに行うというより,問診や身体診察の時点で作業仮説としての診断を絞り込みつつ,同時に,見逃すと大変なことになる危険な疾患を除外するというプロセスを臨床家は重視している.たとえば,胸痛の訴えのある患者において,症状と経過からは「病気っぽくない」が「念のため」冠動脈疾患,胸膜炎などの重大な疾患を除外したいと思うだろう.これらを除外した場合に,臨床家はまずホッとするものである
著者
藤沼 康樹
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.453-456, 2002-05-15

◆ポイント◆ 1)継続性とは,単に長期にわたって繰り返し診察すること(longitudinal continuity)ではなく,患者が担当医を自分の健康にとって重要なリソースだと認識していること(personal continuity)を含む. 2)真に継続性のあるケアを展開するためには,単なる慢性疾患管理にとどまらない,人生に寄り添い支援するという,家庭医らしい診療姿勢が必要である.
著者
野村 恭子 中尾 睦宏 竹内 武昭 藤沼 康樹
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.619-625, 2005
参考文献数
20
被引用文献数
1

うつ状態の26歳男性にparoxetine 10mgを4カ月間投薬後, 家庭的・経済的理由により三環系抗うつ薬へ変更した.Paroxetine中止3〜4日後より衝動性, 易刺激性, 激越などが出現したが, うつ状態のコントロール不良が前景に立っていたため, SSRI退薬症候群の診断が困難であつた.患者は突然の症状に動揺し, 診察予約を無断キャンセルするなどその後の治療経過に難渋した.海外の疫学研究では, 同症候群は早期に自己寛解する経過良好の疾患群で, 希死念慮や投薬量について因果関係は検討されていなかつた.SSRIの投薬を中断する場合には, たとえ最低量の中断においても, 患者に予期される症状を十分に説明することが, 円滑な治療の継続のため重要であると考えられた.