著者
端詰 勝敬 竹内 武昭 橋本 和明
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.671-674, 2020 (Released:2021-05-27)
参考文献数
10

Central sensitization is a neurophysiological state in which the central nervous system is overexcited in response to stimuli. It is thought to be associated with painful diseases such as migraine and fibromyalgia, as well as conditions that cause functional physical symptoms. In our study, we found that those with chronic headache had higher central sensitization and higher levels of central sensitization have been shown to reduce quality of life.
著者
竹内 武昭
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.44-49, 2020 (Released:2020-01-01)
参考文献数
39

うつ病は2030年に疾病負荷 (Global Burden of Diseases) 1位になると予想される疾患であり, 身体疾患との関連が注目されています. 鑑別疾患として甲状腺機能低下, 副腎機能低下, 認知症, パーキンソニズム, 睡眠時無呼吸症候群, 鉄欠乏, 亜鉛欠乏, 双極性障害, アルコール依存症などが重要です. うつ病は慢性疾患との併存が多くbio-psycho-socialな対応が必要です. 併存疾患として脳卒中, 糖尿病, 冠動脈疾患が多いと報告されています. 脳卒中との併存では希死念慮に特に注意が必要で, 三環系抗うつ薬やSSRI (selective serotonin reuptake inhibitors), SNRI (serotonin and norepinephrine reuptake inhibitors) に運動療法の追加が効果的とされています. 糖尿病との併存では薬物療法に認知行動療法を追加すると効果的とされています. 心不全とうつ病の併存ではSSRIの使用には明確な医学的根拠が不足しており, 認知行動療法の有用性が示唆されています.
著者
竹内 武昭
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.59-63, 2013 (Released:2013-10-31)
参考文献数
13

日本の喫煙率は低下してきてはいるが、依然として先進国としては高い状態が続いている。多数の死者を出す予防可能な疾患にもかかわらず、社会的には重要度の認識が低く、西欧諸国と比較すると十分な対策がなされていない。まさに「サイレントキラー」の名にふわさしいのがたばこである。明らかに健康被害のあるたばこであるが、実際に問題なのはほとんどの人がたばこの害が解っていながら、やめられない依存状態にあることである。ニコチン依存は、ニコチンが報酬系の行動と強く結びついていることに主因がある。依存に関係するドパミン神経系は「報酬系回路」として知られており、快の感覚を個体に与えるため、強化行動をひき起こす。喫煙による急激なニコチン濃度上昇は、一過性のドパミン過剰放出を起こすが、最終的にドパミン受容体数が減少するため、慢性的な喫煙状態は、シナプスの機能不全を起こす。禁煙指導には、薬物療法と共に行動科学的アプローチが重要である。禁煙の意志のある喫煙者に対してはニコチン依存の治療が行われ、行動カウンセリング(禁煙支援の5つのA)が高い戦略的価値を持つと考えられている。日本では保健適応の禁煙外来の利用が有用である。禁煙の意志のない喫煙者に対しては、動機付け面接を基本とする行動カウンセリング(動機強化のための5つのR)が有効であると考えられている。禁煙を継続・維持中の禁煙者に対しては再発防止戦略が重要であり、禁煙継続中に起こりうる心身の問題、外部環境の障害、誘惑に対する対応が含まれる。喫煙者には支持的に対応し、彼らはたばこ産業の犠牲者であるという考え方を持つことが重要である。さらに、禁煙することのメリットを個人レベルで模索し、禁煙開始と禁煙継続のモチベーションを維持する必要がある。
著者
竹内 武昭
出版者
The Japanese Society of Behavioral Medicine
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.59-63, 2013

日本の喫煙率は低下してきてはいるが、依然として先進国としては高い状態が続いている。多数の死者を出す予防可能な疾患にもかかわらず、社会的には重要度の認識が低く、西欧諸国と比較すると十分な対策がなされていない。まさに「サイレントキラー」の名にふわさしいのがたばこである。明らかに健康被害のあるたばこであるが、実際に問題なのはほとんどの人がたばこの害が解っていながら、やめられない依存状態にあることである。ニコチン依存は、ニコチンが報酬系の行動と強く結びついていることに主因がある。依存に関係するドパミン神経系は「報酬系回路」として知られており、快の感覚を個体に与えるため、強化行動をひき起こす。喫煙による急激なニコチン濃度上昇は、一過性のドパミン過剰放出を起こすが、最終的にドパミン受容体数が減少するため、慢性的な喫煙状態は、シナプスの機能不全を起こす。禁煙指導には、薬物療法と共に行動科学的アプローチが重要である。禁煙の意志のある喫煙者に対してはニコチン依存の治療が行われ、行動カウンセリング(禁煙支援の5つのA)が高い戦略的価値を持つと考えられている。日本では保健適応の禁煙外来の利用が有用である。禁煙の意志のない喫煙者に対しては、動機付け面接を基本とする行動カウンセリング(動機強化のための5つのR)が有効であると考えられている。禁煙を継続・維持中の禁煙者に対しては再発防止戦略が重要であり、禁煙継続中に起こりうる心身の問題、外部環境の障害、誘惑に対する対応が含まれる。喫煙者には支持的に対応し、彼らはたばこ産業の犠牲者であるという考え方を持つことが重要である。さらに、禁煙することのメリットを個人レベルで模索し、禁煙開始と禁煙継続のモチベーションを維持する必要がある。
著者
竹内 武昭 中尾 睦宏 野村 恭子 錦谷 まりこ 矢野 栄二
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.103-110, 2007-02-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
21
被引用文献数
4

ストレス自覚度や社会生活指標が,筋骨格系症状に及ぼす影響を評価するため,日本の国民統計データの解析を都道府県単位で行った.国民生活基礎調査,人口動態統計,厚生労働省衛生業務報告に基づき,1995年と2001年におけるストレス自覚度と19の社会生活指標の計20変数を抽出し,腰痛,関節痛,肩こりの有訴率との関連を調べた.因子分析の結果,19の社会生活指標は,「都市化」「加齢と生活の規則性」「個人化」の3因子に分類されたが,ストレス自覚度は,「都市化」因子に属する社会生活指標8変数と有意な相関があった.重回帰分析により,そうした「都市化」因子の影響を調整しても,ストレス自覚度は,腰痛(1995年と2001年)・関節痛(2001年のみ)・肩こり(1995年と2001年)と有意な関連が認められた.ストレス自覚度は,「都市化」因子と密接なつながりがあったが,その交絡要因の影響を調整しても,筋骨格系症状の有訴率に関連していることが示唆された.
著者
野村 恭子 中尾 睦宏 竹内 武昭 藤沼 康樹
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.619-625, 2005
参考文献数
20
被引用文献数
1

うつ状態の26歳男性にparoxetine 10mgを4カ月間投薬後, 家庭的・経済的理由により三環系抗うつ薬へ変更した.Paroxetine中止3〜4日後より衝動性, 易刺激性, 激越などが出現したが, うつ状態のコントロール不良が前景に立っていたため, SSRI退薬症候群の診断が困難であつた.患者は突然の症状に動揺し, 診察予約を無断キャンセルするなどその後の治療経過に難渋した.海外の疫学研究では, 同症候群は早期に自己寛解する経過良好の疾患群で, 希死念慮や投薬量について因果関係は検討されていなかつた.SSRIの投薬を中断する場合には, たとえ最低量の中断においても, 患者に予期される症状を十分に説明することが, 円滑な治療の継続のため重要であると考えられた.
著者
中尾 睦宏 野村 恭子 竹内 武昭 山地 清久 矢野 栄二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1037-1042, 2006-12-01
被引用文献数
1

本研究では,帝京大学病院の外来データベースを用いて,ベンゾジアゼピン系薬剤(BZP)の科別処方状況を,選択的セロトニン再取込阻害薬(SSRI)ならびにセロトニン・ノルアドレナリン再取込阻害薬(SNRI)と対比させながら,比較検討した.帝京大学病院の診療科を内科,外科,神経内科,精神科,その他の科の5群に分け,各科のBZPとSSRI・SNRIとの処方割合(B/S比)を計算した.病院全体の年間処方は644,444件であったが,うちBZPが11.9%,SSRIが1.6%,SNRIが2.3%であった.BZP処方の中では,内科群が26.8%を占めていた.内科群のB/S比は13.0と最大で,外科群7.6,神経内科群4.8,精神科群2.5と続いた.うつ患者の多くが内科を受診するという文献報告もあり,特に内科領域で,BZPからSSRIやSNRIへの処方切り替え可能な症例が多くいるかもしれない.
著者
野村 恭子 中尾 陸宏 竹内 武昭 山地 清久 佐藤 幹也 矢野 栄二
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.41-47, 2007-01-01

帝京大学医学部附属病院を受診し何らかの投薬を受けたすべての外来通院患者34,422名を対象に,ベンゾジアゼピン(BZP)系薬物の処方期間について調査を行った.コンピューター・オーダリング・システムから性別,年齢,BZP,診療科(内科系,外科系,精神科・心療内科系,その他)を抽出し,患者単位のデータベースを作成した(2002年7月から2003年6月).その結果,BZPを処方された患者は5,959名(17%)であったが,投薬期間が4カ月以上の群(長期処方群4,470名)と3カ月以内の群(短期処方群1489名)の臨床学的特徴を比較したところ,長期処方群では短期処方群に比べて男性が多く,年齢が高く,また診療科では内科系とその他の科で長期処方が多い傾向にあった(いずれもp<0.05).BZP系薬物は長期連用で健康障害を与えることが知られており,その処方につき大学病院での教育プログラムが重要である.
著者
竹内 武昭 矢野 栄二 中尾 睦宏
出版者
帝京大学
巻号頁・発行日
2008

職場でのうつ病スクリーニングの一般性を検討するため,2008年度某企業の健康診断において約600名の男性従業員に対して, DSM-IVの半構造化面接と気分質問調査票(Profile of Mood States:POMSの両方によるうつ病診断を行ったデータクリーニングを行い,不十分なデータを削除したのち592入の男性データを対象データとした。解析では, DSM-IV大うつ・小うつ病診断を基準とし, POMSうつ得点の感度・特異度を調べて受信者操作特性下面積(Area Under the Curve: AUC)を算出(オリジナル)。同様にPOMSうつ質問1項目のAUC(15通り)と大うつ・小うつ病のAUC比較も行った。大うつ病の有病率は,25人(4.2%),小うつ病は27入(4.6%)であった。POMSオリジナル版の大うつ病に対するAUCは0.71,小うつ病に対するAUCは0.63であった。POMSの1項目でみると,大うつ病に対しては"ゆううつだ"のAUCが0.73と最も高く, "あれこれ心配だ"(0.72), "気持ちが沈んで暗い"(0.72)が続いた。小うつ病に対しては"くたびれた"のAUCが0.70と最も高く, "疲れた"(0.69),"ゆううつだ" (0.67)が続いた。面接によるうつ病の診断が質問調査票でもある程度出来るという本研究の結果は,2006年度に我々の発表した論文(Takeuchi T, Nakao M, Yano E. Primary Care & Community Psychiatry 11:13-9, 2006)を他施設で検証し,その一般性の可能性を広げる結果となった。来年度以降の複数施設における自殺予防を目的としたコホート比較検討試験実施の基盤となる意味で重要である。