著者
藤野 寛
出版者
一橋大学
雑誌
言語社会
巻号頁・発行日
vol.6, pp.118-130, 2012-03-31
著者
藤野 寛
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、初期『思想の科学』の活動の意義を明らかにすることを目的の一つとし、そのため、この雑誌の創刊同人にインタビューし、解釈上の疑問を直接ぶつけるという具体的課題を抱えて出発した。しかし、過去二年間に都留重人氏と鶴見和子氏が亡くなり、残るは、鶴見俊輔氏と武田清子氏になってしまった。私は、お二人にインタビューを申し込み、鶴見氏からは快諾をいただいた(残念ながら、武田氏には受けていただけなかった)。鶴見氏へのインタビューは、岩波書店の『思想』誌の賛同を得て共同企画として実現した。鶴見俊輔とアメリカ哲学を結ぶものといえば、プラグマティズムを連想するのが定番となっているが、戦後の出発の時点で氏の仕事を規定していたのは、むしろ論理実証主義的問題意識だったのではないか。具体的に、日本語の改良、ベイシック・イングリッシュをモデルとする基礎日本語というアイデアや、表意文字としての漢字を減らし日本語表記をローマ字化しようとする意図が見て取れるが、その志向は時とともに放棄されていったように見える。何故か、どのような経緯だったのか。鶴見氏のアメリカ合衆国に対する姿勢は、共感に支えられるものだったと考えられるが、その姿勢は、日本の戦後啓蒙の陣営にあって特異なもので、そのことが、鶴見氏の活動に困難をもたらすことがあったのではないか。その基本的「親米」の姿勢は、どのように一貫しまた変化したのか。インタビューは、以上のような問いをめぐって繰り広げられ、熱い回答を得ることができた。『思想』誌は2008年8月号を「鶴見俊輔」特集にあてることになり、私も「「言葉の力」をめぐる考察」を寄せることになっているが、この論考は、今回の研究の現時点での総括である。「現時点での」という但し書きが付くのは、「第二次世界大戦直後の言語表現/言語批判」という論考の副題が、同時に次の研究課題を示すものともなっているからである。
著者
藤野 寛之
出版者
日本図書館研究会
雑誌
図書館界 (ISSN:00409669)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.230-241, 2007-11-01

イギリスの国立図書館ブリティッシュ・ライブラリー(British Library)は,1972年の成立から現在にいたるまでに,6回にわたる将来計画としての「戦略計画(Strategic Plan)」を発表し,その存在をアピールしてきた。本稿は,この「戦略計画」がそれぞれどのような内容を持ち,計画がどのように変遷していったか,その背景に何があったかを見きわめる試みである。ブリティッシュ・ライブラリーの「戦略計画」は自己の改革を目指したものであったが,図書館の将来の方向への改善と軌道修正を含んでいるため,今後に続く取り組みもまた,世界の図書館界から注目されることになろう。
著者
藤野 寛
出版者
麻布大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

ボルナウイルスのN遺伝子が内在化した内在性ボルナウイルス様N因子(EBLN)は多くの動物で見つかっており、特にジュウサンセンジリス由来の EBLN(itEBLN)はBDVの感染を抑制することがわかっている。そこで、本研究ではその抑制機構を解明するために欠損体を作成しBDVに対する影響を確認した。共免疫沈降法及び蛍光抗体法によりitEBLNとBDVタンパク質との結合性を確認した。その結果itEBLNはBDVのNタンパク質に結合してBDVのmRNA発現を抑制させることでウイルスの感染を阻害している可能性が示唆された。