著者
西川仁史
雑誌
臨床スポーツ医学
巻号頁・発行日
vol.9, pp.33-37, 1992
被引用文献数
1
著者
山野 薫 小寺 正人 小堀 博史 西川 仁史 松永 秀俊 秋山 純和
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.467-473, 2011 (Released:2011-09-22)
参考文献数
17
被引用文献数
2

〔目的〕2010年4月に理学療法士免許を取得した理学療法士(新人理学療法士)を対象にリスクマネジメントに関する不安について,その現状把握と問題点の整理をおこなった.〔対象〕新人理学療法士47名(平均年齢23.9±3.8歳)とした.〔方法〕自記式アンケート調査により,回収した回答を分析した.〔結果〕新人理学療法士の診療を行ううえでの不安の第1位は「自分の評価や治療に自信がないこと」(31人)であった.職場の規則やシステムなどにおける不安の第1位は,「緊急時に組織の一員としての動きに自信がないこと」(19人)であった.〔結語〕新人理学療法士のリスクマネジメントに関する不安は,個人の能力に帰属する卒前教育の要素と入職直後に取り組む施設内教育システムの要素があることがわかった.
著者
相良 優太 乾 泰大 小川 孝 西川 仁史 池田 均
出版者
一般社団法人 日本臨床整形外科学会
雑誌
日本臨床整形外科学会雑誌 (ISSN:18817149)
巻号頁・発行日
vol.42, no.1, pp.39-47, 2017

<p>目的:投球障害肩にみられる投球側の肩甲骨位置異常と,肩関節90°外転位での内旋,外旋(第2肢位すなわち2nd planeでの内旋,外旋;以下2nd内旋,2nd外旋)可動域の変化との関連性について検討した.</p><p>方法:対象は,投球障害肩を加療した37人の小学生と中学生である.理学療法開始前には,全例に肩甲骨位置異常が認められた.肩甲骨の位置が左右対称となるように理学療法を行い,理学療法開始前と肩甲骨の位置が左右対称となった時点での2nd内旋,2nd外旋および全回旋可動域を投球側と非投球側とで比較した.</p><p>結果:理学療法開始前には,投球側の2nd内旋可動域の有意な制限と2nd外旋可動域の有意な拡大が認められた.全回旋可動域には有意差はなかった.一方,肩甲骨の位置が左右対称となった時点では,すべての項目で投球側と非投球側との間の有意差はなかった.</p><p>考察:骨性の要因や軟部組織性の要因以外に肩甲骨位置異常が,2nd内旋可動域と2nd外旋可動域の変化に関連していると考える.</p><p>結論:肩甲骨位置異常は,2nd内旋可動域の制限と2nd外旋可動域の拡大を引き起こす一因である.</p>
著者
本田 俊介 立花 孝 西川 仁史 峯 貴文 長井 大治 船曳 久由美 小林 佐智 野村 星一 中村 真理
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.31 Suppl. No.2 (第39回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.A1025, 2004 (Released:2004-04-23)

【はじめに】 肩関節は人体最大の可動域を持つ多軸性関節であり、その動きを3次元的に捉えることは難しい。そして結帯動作について、指椎間距離という指標はあるが、その実測値は不明瞭であり、結帯動作として記述した報告が少ない。そこで今回下垂位から最大結帯位に至るまでの連続的動作の実測値を導き出し、肩甲骨の動き及び上腕骨の内旋や伸展の関連度合いを理解する事を目的として、Motion Captureを用いた3次元的動作分析を行った。【対象と方法】 健常成人男性10名(平均年齢27歳,平均身長171cm)の右肩関節を対象とした。体表指標点として、体幹に4点(第7頚椎,第7胸椎,胸骨頚切痕,剣状突起)、肩甲骨に5点(烏口突起,肩鎖関節,肩峰角,棘三角,下角)、上腕骨に3点(三角筋粗面,内・外上顆)と内・外側茎状突起に2点の計14点の反射マーカを貼付した。撮影は立位にてまず下垂位を撮影し、以降結帯動作をとってもらい、被検者の母指先端が尾骨、第5腰椎、第12胸椎、第7胸椎の位置に達した所で撮影した。その際皮膚上のマーカと実際の骨上とはずれが生じているため、各々の撮影場面でマーカを定位置に張り直した。なお、体幹側屈の代償を抑えるために反対側も同様の動きを行ってもらった。使用システムはQualisys社製ProReflex ,MCU-500で7台のCCDカメラを使用。サンプリングレートは60Hzである。そしてQToolsを用いてデータ解析を行った。【結果】 まず肩甲骨の動きについて、前傾は下方回旋と比べて序盤動きが大きいものの、最終的には16.9°で、下方回旋とほぼ同じ数値を示した。上腕骨の動きについて、まず内旋は0°から41.4°と初期に大きな動きを行う特徴を示し、最終的に47°で、肩甲骨の動きに対して1対2.8という比率を示した。伸展は下垂位-3.1°から最終的に26.7°まで変化した。外転は、最後の第12胸椎から第7胸椎の相では変化が少ないという特徴を示した。【考察】 肩甲上腕関節の運動について、まず内旋に着目すると母指先端が尾骨から第7胸椎に到達するまでに6.6°しか内旋しておらず、下垂位から母指先端が尾骨に到達するまでにほぼ最大に近い内旋を行っている事がわかった。次に外転と伸展について、この2つの運動は、臼蓋に接触した小結節を徐々に前方から下縁に向かって移動させている事に貢献しているものと思われる。また、第12胸椎から第7胸椎の相で内旋と外転は殆ど変化が無い事から、肩甲上腕関節運動の限界が示唆され、第12胸椎以降は肩甲骨運動によって行われていると思われる。肩甲骨の前傾と下方回旋については、臼蓋の関節面を前下方へ向けるためのもので、小結節の移動を行いやすくさせると同時に、見かけ上の上腕骨の内旋及び伸展を補強していると考える。
著者
山野 薫 天野 真衣 松尾 慎 西川 仁史
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2014, 2015

【はじめに】わが国では,1995(平成7)年に発生した阪神淡路大震災以降,数年おきに大規模災害に見舞われ,その度に理学療法士も被災者の支援に駆け付けた。その後,東日本大震災リハビリテーション(リハ)支援関連10団体(JRAT)が組織され,活動を行っている。本研究では,大規模災害時の理学療法士の施設内対応や勤務施設外への災害リハ支援体制の現状を把握することを目的とした。【方法】対象は,一般社団法人兵庫県理学療法士会(県士会)の2012年度版会員名簿に掲載されている会員勤務施設(施設)671施設とした。方法は,郵送による質問紙法(無記名)とした。質問紙への回答の依頼は,理学療法(PT)部門責任者とした。調査項目は,各施設の情報,防災対策,災害支援の支援体制,および自由記載欄とした。【結果】返送された調査票は,265通(回収率39.7%)であった。この内,記載不備の2通を除いた263通を分析対象とした。設立母体別では,医療法人160施設(60.8%),市町立24施設(9.1%),公的な団体16施設(6.1%)等であった。施設区分別では,一般病院105施設(39.9%),介護保険施設47施設(17.9%),総合病院21施設(8.0%),無床診療所21施設(8.0%)等であった。施設の防災対策では,施設全体の災害マニュアルが「ある」198施設(75.3%),「なし」40施設(15.2%),「わからない」25施設(9.5%)であった。対応する災害の種類(重複回答)は,「火災」182施設(69.2%),「地震」167施設(63.5%),「津波」53施設(20.2%),「洪水」54施設(20.5%)等であった。発災時の職員への緊急連絡システムは,「ある」234施設(89.0%),「なし」20施設(7.6%),「わからない」8施設(3.0%),無回答1施設(0.4%)であった。災害対策研修などの実施は,「ある」171施設(65.0%),「なし」78施設(29.7%),「わからない」14施設(5.3%)であった。災害リハ支援の人員派遣体制は,独自の派遣制度が「ある」12施設(4.6%),「なし」227施設(86.3%),「わからない」24施設(9.1%)であった。また,発災時の人員派遣(重複回答)は,「有給休暇」56施設(21.3%),「ボランティア休暇」26施設(9.9%),「独自の制度」22施設(8.4%),「関連団体の制度」17施設(6.5%),「日本理学療法士協会(以下,協会)の制度」14施設(5.3%),「わからない」88施設(33.5%),無回答72施設(27.4%)であった。【考察】本研究の特徴的な課題は,以下の2点と考えられた。第1は,災害リハ支援の派遣体制は,86.3%に整備されておらず,「わからない」(9.1%)を加えた95.4%の施設は,理学療法士の施設外活動の支援体制がないことが分かった。また,発災時の人員派遣の手続きは,「有給休暇利用」と「ボランティア休暇利用」が主であり,個人の休暇に頼っていた。加えて,回答の60.9%が,「わからない」と無回答であったことは,臨床現場が持つ災害リハ支援の派遣体制の理解度や取り組みの温度差ととらえられる。災害時の人員派遣の法的根拠は,災害対策基本法をもとに災害救助法(昭和22年10月18日法律第118号)によって整備されている。しかし,各法律は人命最優先の原則に基づくため,廃用症候群や障害の管理などで理学療法士の支援が必要な時期(JRATが示す第2期後半から第3期前半(発災後約2か月))の活動に対して有効な法整備となっていない。ところで,日本看護協会は,災害派遣事業の中で臨床経験5年以上の会員を対象に「災害支援ナース」の養成講習会を開催している。理学療法士も被災者の健康管理に幅広く貢献できる職種であることから,協会等を中心に被災地で活躍できる人材育成を行い,前述した温度差の解消を図るべきである。第2に,各施設の防災対策については,PT部門責任者は施設全体のマニュアルの存在を認識していたことが挙げられる。この点は評価できるが,その多くは火災マニュアルであり,年1回の防火訓練により,身近な体験として回答を引き出しやすかったものと考えられる。また,発災時の職員に対する緊急連絡システムも約9割に整備されており,好適な結果といえる。しかし,本研究は大規模災害の模擬検証の有無まで踏み込めておらず,今後の課題とした。今後,PT部門は,取扱患者数や職場方針等を踏まえて,人員配置を考え,防災対策と災害リハ支援業務を希望する職員を派遣できる体制を整える努力が必要である。【理学療法学研究としての意義】災害リハ支援は,理学療法士の就労環境(人的・物的環境)に左右される。PT部門は,発災時の人員派遣に対応できる平素の組織作りが重要であり,本研究はその足がかりとなる。