著者
西條 剛央
出版者
一般社団法人 日本支援対話学会
雑誌
支援対話研究 (ISSN:21882177)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.31-66, 2018 (Released:2018-08-18)
参考文献数
9

本論文では、「コーチング」という専門用語が、共通了解が得られていない我が国の状況を打開するために、1冊の書籍を通して「コーチング」の本質観取を実施し、コーチングの本質を構造として提示した。また、それをワークショップやオンライン上のディスカッションを経て精査し、さらに了解の強度の高いものにバージョンアップした。また、その本質が実践においてどのように適切な行動を導き得るのか、その有効性を論じた。最後に、本質行動学に基づくこの新たな本質観取の有効性と限界を論じ、本論文の研究枠組み自体を新たな本質観取の研究モデルとして提示した。
著者
西條 剛央
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.93-114, 2013-03-25
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to show the philosophical functions of structural constructivism by solving the fundamental problems of the philosophy of science and providing a theoretical basis for the human sciences. Firstly, the paper explains the basic principles and concepts of structural constructivism. Secondly, it identifies the difficult problems that previous notable scholars could not solve in the science of philosophy. Thirdly, it argues that by applying the structuralist of the philosophy of science and structural constructivism, those philosophical problems can be resolved and a theoretical basis for the human sciences can be established. This indicates the theoretical and epistemological superiority of structural constructivism.
著者
西條 剛央
出版者
科学基礎論学会
雑誌
科学基礎論研究 (ISSN:00227668)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.93-114, 2013-03-25 (Released:2017-08-01)
参考文献数
59
被引用文献数
1

The purpose of this paper is to show the philosophical functions of structural constructivism by solving the fundamental problems of the philosophy of science and providing a theoretical basis for the human sciences. Firstly, the paper explains the basic principles and concepts of structural constructivism. Secondly, it identifies the difficult problems that previous notable scholars could not solve in the science of philosophy. Thirdly, it argues that by applying the structuralist of the philosophy of science and structural constructivism, those philosophical problems can be resolved and a theoretical basis for the human sciences can be established. This indicates the theoretical and epistemological superiority of structural constructivism.
著者
池田 耕二 玉木 彰 山本 秀美 中田 加奈子 西條 剛央
出版者
日本心身健康科学会
雑誌
心身健康科学 (ISSN:18826881)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.102-108, 2009-09-10 (Released:2010-11-19)
参考文献数
23

本研究の目的は,認知症後期高齢患者の理学療法実践において周囲からも一定の評価を受けている4年目の理学療法士の「実践知」の構造の一端を,構造構成的質的研究法により探索的に明らかにし,それらを実践理論や教育モデルの一つとして提示することにある.その結果,実践知モデルは【患者力】と【家族力】の2つのカテゴリーによって構成された.【患者力】は「身体の基本的な動作能力」,「疼痛の程度」,「関節可動域障害の程度」から総合的に評価される《動きからみる身体能力》と「否定的感情」,「肯定的感情」の表出やそれらの「感情の波」として評価される《感情表出パターン》,さらに「理学療法士に対する認識」,「自己や周囲に対する誤認識」から解釈・判断される《関わりの中で感じる認知能力》,「口頭指示の入りやすさ」,「発語能力」,「働きかけに対する反応」から評価される《反応からみるコミュニケーション能力》の4つのサブカテゴリーによって構成された.また【家族力】は,「家族の退院にむけた希望」や「家族の理解や協力」によって構成された.これによって認知症後期高齢患者の社会復帰に向けた問題点の一端を,患者とその家族,それらのバランスという視点から評価することや,それによって理学療法を施行する際には,どこに大きく焦点をあてるべきかが理解しやすくなる可能性が示唆された.また理学療法実践においても柔軟なストラテジーの選択に活用できるということからして有用性が発揮される可能性が示唆された.
著者
西條 剛央
出版者
日本質的心理学会
雑誌
質的心理学研究 (ISSN:24357065)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.186-200, 2005 (Released:2020-07-05)

本論文の目的は,構造構成的質的心理学の方法論的拡張を行うことにより,質的アプローチにおける恣意性問題を解消する質的研究構成の一般技法を提案することであった。第一に,恣意性問題について簡単に解説された。第二に,それを解決するための概念が提起された。第三にそれは質的研究の論文を書くための技術へと拡張され,その研究モデルが提示された。最後に,修正版グラウンデッド・セオリー・アプローチと比較する形で,本稿で提起された技法の意義が確認された。
著者
西條 剛央
出版者
早稲田大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、多様なタイプの研究を妥当に評価可能な質的研究の一般評価法の構築を行うことを研究課題とした。この目的を達成するために、以下の3つを柱に研究を行った。まず、質的研究の評価に関する先行研究をレビューすることで従来の方法論の限界や問題点を確認した。次に、多種多様な質的研究を用いた論文を妥当に評価可能な「質的研究論文の一般評価法」を構築した。第三に、質的研究のワークショップなどのアウトリーチ活動や,研究報告書作成,他の研究報告書を吟味する際にこの評価法を適用することで,それらの有効性と限界を明らかにした。
著者
西條 剛央
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.13, no.2, pp.97-108, 2002-08-10

生後1カ月の乳児とその母親16組を対象として,1カ月時から7カ月まで1カ月おきに「抱き」の縦断的観察が行われた。そして,ダイナミックシステムズアプローチに基づき,乳児の身体発達・姿勢発達・行動発達の3側面から,「横抱き」から「縦抱き」への移行に最も影響するコントロールパラメータが検討された。その結果,乳児の「横抱きに対する抵抗行動」が最も縦抱きへの移行に影響力のあるコントロールパラメータとなっていることが明らかになった。次に,縦抱きへの移行プロセスを明らかにするために,母親の言語報告と通常抱き場面における縦抱きへの移行場面を撮影した事例を質的に分析した。その結果,横抱きから縦抱きへと移行プロセスは,以下の3パターンがあることが明らかとなった。(1)乳児が抵抗を示しはじめると,母親は,緩やかな間主観的な解釈を媒介として,乳児が安定する抱き方を探索し,その結果「抵抗」の収まる縦抱きに収斂する。(2)乳児の首すわりといった身体情報が母親に縦抱きをアフォードする。(3)上記の(1)と(2)の双方が影響を与え縦抱きへと移行する。以上のことから「抱き」という行為は,母子の相互作用を通して一定の方向へ自己組織化していく行為であることが示された。