著者
溝口 全子 松岡 緑 西田 真寿美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.92-102, 2000-11-30 (Released:2012-10-29)
参考文献数
28
被引用文献数
1

本研究の目的は, 女子大学生のダイエット行動において, 比較的緩やかなダイエット行動をとる人, 健康をも脅かすような過激なダイエット行動をとる人の背景に何が関与しているのか, 各々の行動に及ぼす影響要因の違いについて明らかにすることであった. 調査では, PenderのHealth Promotion Modelの枠組みを参考に, ダイエット行動に関連す る要因を (1) 個人的因子: 生物学的要因 (体脂肪率・年齢・家族の肥満), 心理学的要因 (主観的健康評価・集団回帰傾向・体型不満・ボディイメージ), 社会的要因 (周囲のダイエット行動者・ダイエットに関する話題の頻度), (2) 過去の関連行動: 過去のダイエット経験, ダイエット情報の収集, 情報源, 体型・体重に関する嫌な体験, (3) ダイエット行動に対する特別な認識と感情: 痩せ願望, 自己効力感と設定し, 看護女子大学生203名を対象に調査した. その結果, 以下のことが得られた.1) 緩やかなダイエット行動, 過激なダイエット行動には共通して痩せ願望が影響していた.2) 緩やかなダイエット行動のみに影響する要因は専門的情報, 自己効力感があった. 過激なダイエット行動のみに影響する要因は家族の肥満, 過去のダイエットの成功体験, 体型・体重に関する嫌な体験があった.3) 痩せ願望をもたらす要因では, 過去の関連行動, 生物学的要因, 心理学的要因, 社会的要因の順に影響力が強かった.痩せ願望があっても自己効力感が高ければ, 専門的・健康に基づいたダイエット情報を得て, 緩やかなダイエット行動をとることが示唆された. 今後, 自己効力感を高めていくような介入が必要と考えられる.
著者
溝口 全子 松岡 緑 西田 真寿美
出版者
日本看護科学会誌
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.20, no.3, pp.92-102, 2000
被引用文献数
1

本研究の目的は, 女子大学生のダイエット行動において, 比較的緩やかなダイエット行動をとる人, 健康をも脅かすような過激なダイエット行動をとる人の背景に何が関与しているのか, 各々の行動に及ぼす影響要因の違いについて明らかにすることであった. 調査では, PenderのHealth Promotion Modelの枠組みを参考に, ダイエット行動に関連す る要因を (1) 個人的因子: 生物学的要因 (体脂肪率・年齢・家族の肥満), 心理学的要因 (主観的健康評価・集団回帰傾向・体型不満・ボディイメージ), 社会的要因 (周囲のダイエット行動者・ダイエットに関する話題の頻度), (2) 過去の関連行動: 過去のダイエット経験, ダイエット情報の収集, 情報源, 体型・体重に関する嫌な体験, (3) ダイエット行動に対する特別な認識と感情: 痩せ願望, 自己効力感と設定し, 看護女子大学生203名を対象に調査した. その結果, 以下のことが得られた.<BR>1) 緩やかなダイエット行動, 過激なダイエット行動には共通して痩せ願望が影響していた.<BR>2) 緩やかなダイエット行動のみに影響する要因は専門的情報, 自己効力感があった. 過激なダイエット行動のみに影響する要因は家族の肥満, 過去のダイエットの成功体験, 体型・体重に関する嫌な体験があった.<BR>3) 痩せ願望をもたらす要因では, 過去の関連行動, 生物学的要因, 心理学的要因, 社会的要因の順に影響力が強かった.<BR>痩せ願望があっても自己効力感が高ければ, 専門的・健康に基づいたダイエット情報を得て, 緩やかなダイエット行動をとることが示唆された. 今後, 自己効力感を高めていくような介入が必要と考えられる.
著者
柴田(田上) 明日香 西田 真寿美 浅井 さおり 沼本 教子 原 祥子 中根 薫
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.116-126, 2003-03-15 (Released:2017-08-01)
参考文献数
18
被引用文献数
12

本研究は施設ケアの実践を担う看護職・介護職における連携・協働に関する問題認識の異同を比較検討し,その課題を明らかにすることを目的とした.介護療養型医療施設,介護老人保健施設,特別養護老人ホームに所属する看護職,介護職の別に6名ずつの4グループを構成し,グループインタビューを実施した.その結果,各職種の認識は情報の伝達方向,業務分担,個人の職業意識の内容に分類された.(1)情報の伝達方向:看護職は介護職による情報の質と内容に個人差があることを指摘し,介護職は看護職には本音が言えないという相違があった.(2)業務分担:指示・命令型は明確な分業体制が意識されている反面,職種間の階層性に伴う不満もあった.相互・調整型はスタッフの力量とケアの質を基準として,柔軟に調整され円滑であった.独立・分業型は両職種ともに業務の責任範囲が不明瞭であるという認識であった.(3)個人の職業意識:介護職は看護職に個人的な親しみを求め,看護職は介護職に職業的成長を求めていた.管理職の方針が連携活動に強く影響するという認識は共通していた.
著者
西田 真寿美
出版者
日本保健医療社会学会
雑誌
保健医療社会学論集 (ISSN:13430203)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.64-74, 1992 (Released:2020-03-24)
参考文献数
44
被引用文献数
2

Self-care is generally taken for granted as an element in health care. A well-formed concept of self-care is not to be found. This paper reviews literature concerned with the background and definitions of self-care.While limited, the literature illustrates the dimensions of self-care and future research needs.
著者
岡本 玲子 岩本 里織 西田 真寿美 小出 恵子 生田 由加利 田中 美帆 野村 美千江 城島 哲子 酒井 陽子 草野 恵美子 野村(齋藤) 美紀 鈴木 るり子 岸 恵美子 寺本 千恵 村嶋 幸代
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.47-56, 2016 (Released:2016-05-20)
参考文献数
24

【目的】本研究の目的は,東日本大震災で津波災害を受けた自治体の職員が,震災半年後に印象に残ったこととして自発的に語った遺体対応業務とそれに対する思いを質的記述的に解釈することである.【方法】対象は一自治体の職員23名であり,個別面接により被災直後からの状況と印象に残ったことについて聴取した.【結果】自治体職員として行った有事の業務に関する262のデータセットのうち遺体対応に関するものはわずか21であった.遺体対応業務には,震災後,直後からの遺体搬送,約2か月間の遺体安置所,約3か月間の埋火葬に係る業務があった.それぞれの業務に対する職員の思いは,順に,「思い出せない,どうしようもない」,「精神的にやられた,つらい」,「機能マヒによる困惑」が挙がった.【考察】避難所と物資の業務については,創意工夫や今後の展望などが具体的に語られたのに比べ,遺体対応については非常に断片的であり,話すことにためらいが見られた.遺体対応業務は通常業務とは全く異質なものであり,準備性もないまま遂行した過酷なものであった.我々は有事に起こるこのような状況について理解し,今後に備える必要がある.
著者
穴井 めぐみ 松岡 緑 西田 真寿美
出版者
一般社団法人 日本老年看護学会
雑誌
老年看護学 (ISSN:13469665)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.67-74, 2001-11-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
15

本研究の目的は高齢者における嚥下体操の効果を唾液分泌量,開口度,反復唾液嚥下テストを指標として明らかにすることである.対象はS老人保健施設に入所中の摂食・嚥下障害のない高齢者15人で,平均年齢は78.2±6.04歳,男性1人女性14人であった.嚥下体操は従来の嚥下体操に唾液腺マッサージを加えた.1日3回食前10分に8週間継続して実施した.分析方法は上述の3つの指標において,嚥下体操を実施する前と8週間実施した後の測定値を比較した.唾液分泌の即時的効果について,嚥下体操を1回実施する前と実施した後の唾液分泌量を比較した・比較はウィルコクソン符号付順位検定を用いて行った(p<0・05).加えて,主観的評価を得るために嚥下体操を8週間実施した後に面接調査をした.結果は, 3つの指標において,嚥下体操を実施する前より8週間実施した後に有意に増加した.唾液分泌量において,嚥下体操を1回実施する前より1回実施した後に有意に増加し,唾液分泌の即時的効果が認められた.嚥下体操を8週間の実施した後の面接調査で食事への意識化,頸部のリラクセーション効果が抽出された.よって,嚥下体操は食事への意識化は摂食・嚥下のプロセスの認知期へ,唾液分泌量,開口度の増加は準備期・口腔期へ,反復唾液回数の増加は咽頭期へ影響を及ぼし,摂食・嚥下機能に効果を与えると考える.
著者
岩本 里織 岡本 玲子 小出 恵子 西田 真寿美 生田 由加利 鈴木 るり子 野村 美千江 酒井 陽子 岸 恵美子 城島 哲子 草野 恵美子 齋藤 美紀 寺本 千恵 村嶋 幸代
出版者
一般社団法人 日本公衆衛生看護学会
雑誌
日本公衆衛生看護学会誌 (ISSN:21877122)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.21-31, 2015

目的:本研究は,東日本大震災により被災した自治体における職員の身体的精神的な健康に影響を与える苦悩を生じる状況を明らかにすることを目的とした.<br/>研究方法:研究参加者は,東日本大震災で甚大な津波被害を受けたA町職員30名であり,半構成質問紙による個別面接調査を行った.調査内容は,被災後の業務で印象に残っている内容や出来事などである.分析は,研究参加者の語りから,身体的精神的健康に関連している内容を抽出しカテゴリ化した.<br/>結果:研究参加者の平均年齢は40.6歳,男性17人,女性13人であった.研究参加者の語りから2つのコアカテゴリ,9つのカテゴリ,19のサブカテゴリが抽出された.<br/>結論:被災した自治体職員は,自身も被災者であり家族など親しい人々の死にも直面し,職務においては,津波による役所建物などの物的喪失や同僚の死による人的喪失が重なり,業務遂行の負担が大きく,身体的精神的健康に影響を与えていることが考えられた.震災後の早期から職員の健康面への継続的な支援が必要である.
著者
青柳 暁子 西田 真寿美
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.264-270, 2014 (Released:2014-07-04)
参考文献数
30

目的:日本の介護保険施設等では認知症高齢者の援助方法のひとつとしてアクティビティケアが注目されている.実践の現場では職員が各々の経験と認識に基づいて判断している現状がある.本研究では看護職・介護職が重要と認識するアクティビティケアの評価基準を類型化することによって,その特性を明らかにすることを目的とした.方法:中国地方5県に所在する全ての特別養護老人ホーム・介護老人保健施設の看護主任および介護主任に郵送法による質問紙調査を実施し,657名を分析対象とした.調査は認知症高齢者に対するアクティビティケアの評価基準に関する項目について主観的な重要度を5段階尺度で回答を求めた.重要度の類似性を検討するため階層的クラスター分析と多次元尺度構成法(ALSCAL)を併用して分析した.結果:クラスターは1「快・安楽の状態」,2「自発性」,3「緊張状態の消失」,4「他者との交流」の4つに分類された.重要度の平均値は高い順からクラスター1(4.48),クラスター2(4.23),クラスター3(3.95),クラスター4(3.48)であった.2次元モデルにおいてはストレス値0.113,決定係数RSQ 0.948で良好な適合度が示された.次元1『複雑性』では,単純な表現から複雑な行為を表すクラスターが平均値の高い順に布置され,より単純な行為が重視されていた.次元2『開放性』では,中央付近とその下方にあるクラスター1と2の平均値が高く,上端のクラスター3と下方にあるクラスター4が低値であった.医療的な問題解決や高次の社会的な開放性よりも,個人の快・安楽や自発性などの個別的な開放性が重視されていた.結論:従来のアクティビティケアの目的別の分類のみでは把握できなかった4類型と2次元構造の抽出によって,評価基準の重みづけの方向性が明瞭となった.その主観的な重要度の認識には,行為の複雑性と個別的な開放性に着目し,視覚的なわかりやすさ,測定可能である汎用性を目安にしていると考えられた.