- 著者
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谷 清隆
梅津 高朗
- 雑誌
- 研究報告高度交通システムとスマートコミュニティ(ITS) (ISSN:21888965)
- 巻号頁・発行日
- vol.2017-ITS-68, no.14, pp.1-9, 2017-02-21
滋賀県琵琶湖では戦後の経済発展に伴い,様々な環境問題にさらされており,近年では外来水草の大繁茂が問題視されている.今研究では人工衛星 LANDSAT の衛星画像を利用して,水草が新たに繁殖している場所を事前に調査員が知ることで巡回 ・ 確認作業を簡略化することを目指す.衛星画像としてアメリカの人工衛星である LNADSAT8 のデータを利用し,衛星画像を加工し水草の濃い緑色という特徴を抽出する手法の検討を行った.検討作業は OSS の GIS ソフトである GRASS GIS を用い,様々なパラメータを試して実現可能性を探った.はじめに可視光線による人間の目でみる画像に近い画像を生成する手法であるトゥルーカラー合成画像と事前に用意した琵琶湖南湖で繁茂しているオオバナミズキンバイを撮影した GPS 情報付きの写真データ 1179 枚で琵琶湖南湖に繁茂しているオオバナミズキンバイの位置を確認した.次に,実際の色とはかけ離れた色合いで表現した画像で,赤色部分に緑葉素などを効果的に抽出できるフォールスカラー合成画像を生成し,水草の特徴である濃い緑色を抽出しようとしたが,琵琶湖の水の色と水草の色が近いため特徴の抽出が難しかった.しかし,LANDSAT8 のバンド 5 に RGB の真ん中で水草の色である緑色を細かく分類することができる,EU でコカインの土地被覆を調べる際に用いられるカラーマップ (Corine) を用いることで,水草の濃い緑色を抽出し,琵琶湖の水の色と分割することができた.これを応用し,フォールスカラー合成画像生成と同様に実際の色彩とは違うが,水草を青色で着色し,その他の場所は緑色に着色することで,より水草の位置を判別しやすくなる新手法の画像処理方法を開発した.