著者
立花 義裕 本田 明治 竹内 謙介
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.74, no.4, pp.579-584, 1996-08-25
被引用文献数
14

オホーツク海の海氷の1969年から1994年までの経年変動を流氷レーダデータ及び海氷格子データを用いて調べた. その結果, 1989年を境にオホーツク海南部の海氷量が激減していることが明らかになった. また, 冬のアリューシャン低気圧も, 1989年を境に急激に弱まっており, ラグ相関の解析結果からその低気圧の弱まりが海氷の激減に影響していることが示された.
著者
竹松 正樹 下 相慶 VOLKOV Y.N. 崔 ぴょん昊 羅 貞烈 金 くー 金 慶烈 蒲生 俊敬 磯田 豊 DANCHENKOV M GONCHAREKO I CREPON M. LI RongーFeng JI ZhougーZhe ZATSEPIN A.G MILLOT C. SU JiーLan 尹 宗煥 OSTROVSKII A 松野 健 柳 哲雄 山形 俊男 野崎 義行 大谷 清隆 小寺山 亘 今脇 資郎 増田 章 YUNG John-fung BYOG S-k. NA J.-y. KIM K.r. CHOI Byong-ho CREPON Michel 崔 秉昊 金 丘 オストロフスキー A.G YURASOV G.I. 金子 新 竹内 謙介 川建 和雄 JIーLAN Su FENG Li Rong FEI Ye Long YARICHIN V.G PONOMAREV V. RYABOV O.A.
出版者
九州大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

1.本研究の特色は、研究分担者間の研究連絡・交流を促進し、研究成果の統合を図るに止まらず、研究課題に対する理解を格段に深めるのに必要な新しいデータセットの取得を提案し、実行することにある。実際、前年度の本研究主催の国際研究集会(福岡市)に於いて策定された計画に従い、平成6年7月に、日・韓・露の3国の参加を得て、日本海全域に亘る国際共同観測を実施した。この夏季観測では、海底までの精密CTD、化学計測、ドリフタ-の放流、測流用係留系(3本)の設置・回収と並んで、分担者の開発した特殊な曳航体を用いてクロロフィル、O_2、CO_2及び表層流速の測定が試みられた。特筆すべきは、日本海北部のロシア経済水域内の3点において、11ヶ月に及び長期測流データを取得したことである。これは、日本海誕生以来、初めて、日本海盆の中・深層の流動特性を明らかにしたもので貴重である。なお、現在、3本の係留計(うち1本にはセディメントトラップ付)が海中にあって測流中である。更に、冬期の過冷却による深層水の生成過程を調べる目的で、平成7年3月1日から、ウラジオストック沖において、3国共同観測が実施された。これは、次年度以降に予定されている本格的な冬季観測の準備観測として位置づけられている。2.現地観測による新しいデータセット取得の努力と並んで、室内実験に関する共同研究も活発に実施された。即ち、昨年度の研究集会での打ち合わせに従って、日・韓・露でそれぞれ冷却沈降過程に関する実験を進めるとともに、平成6年10月にはロシア・シルショフ研究所からディカレフ氏(研究協力者)を日本に招き、また、研究代表者が韓国漢陽大学を訪問し研究途中成果の比較検討を行った。この共同研究においては、特に、自由表面を確保する冷却(駆動)方法が試みられ、従来の固体表面を持つ実験と著しい差異があることを見出した。しかし、こうした実験結果を現実の沈降現象と結びつけるには、冬季における集中的現地観測の成果を持たねばならない。3.昨年1月の研究集会での検討・打合わせに従って、日・韓・仏・中・(米)の研究者により、日本海及び東シナ海域に関する数値モデル研究が共同で進められた。その成果として、東韓暖流の挙動(特に離岸現象)を忠実に再現できる新しい日本海数値モデルを開発するとともに、黒潮を含む東シナ海域の季節変動のメカニズムを解明するための数値モデル研究がなされた。4.夏季観測の際に放流したドリフタ-(アルゴスブイ)の挙動は韓国・成均館大学及び海洋研究所で受信され、衛星の熱赤外画像と高度計データは九州大学で連続的に収集された。こうした表層に関する情報を有機的に結合し、検討するため、平成7年1月に成均館大学の崔教授が九州大学を訪問した。5.以上の共同研究活動の全成果を多面的に検討し統合するために、平成6年11月7〜8日の2日間に亘り、韓国ソウル大学に於いて開催された国際研究集会に参加した。この集会には、日本・韓国・ロシアから、一般参加も含めて、約70名の参加者があった。参加者の専門分野が、海洋物理、化学、海洋工学及び生態学と多岐にわたっていることは学際性を標ぼうする本研究の特色を象徴するものである。アメリカからも2名の特別参加があり、本研究が口火を切った日本海及び東シナ海に関する学際的・国際的研究に対するアメリカの並々ならぬ関心が表明された。なお、ここで公表・検討された成果は、逐次、学術誌において印刷公表される予定である。過去2年に亘る本研究成果の総括もなされたが、そこでは、本研究が取得した新しいデータセットは、問題に解答を与えるというよりも、むしろ、新たな問題を提起する性質のものであることが認識された。そのため、最終セッションでは、提起された問題を解明して行くための今後の方策(主に現地観測)が詳細に検討された。
著者
上田 博 遊馬 芳雄 高橋 暢宏 清水 収司 菊地 理 木下 温 松岡 静樹 勝俣 昌己 竹内 謙介 遠藤 辰雄 大井 正行 佐藤 晋介 立花 義裕 牛山 朋来 藤吉 康志 城岡 竜一 西 憲敬 冨田 智彦 植田 宏昭 末田 達彦 住 明正
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.2, pp.415-426, 1995-06-15
参考文献数
26
被引用文献数
11

2台のドップラーレーダーを主に用いた熱帯の雲やクラウドクラスターの観測を、TOGA-COARE集中観測期間内の1992年11月12日から約2カ月半に渡って、パプアニューギニア、マヌス島で行った。観測期間中に、スコールライン、クラウドクラスターに伴う対流雲や層状雲、及び、日中のマヌス島上に発生する孤立対流雲等の種々の異なるタイプの雲について、ドップラーレーダーで観測した。マヌス島における観測の概要と観測結果の要約について述べる。観測データについての解析結果の予備的な要約は以下の通りである。1)レーダーエコーの発達の初期には暖かい雨のプロセスが支配的であり、最大のレーダー反射因子はこの時期に観測された。2)エコー頂高度の最大は最初のレーダーエコーが認められてから3時間以内に観測された。3)レーダー観測範囲内における、レーダーエコー面積の最大値はクラウドクラスターの大きさに対応して最大のエコー頂高度が観測された時刻より数時間遅れて観測された。4)長時間持続する層状エコー内の融解層の上部に、融解層下層の上昇流とは独立した上昇流が観測された。これらの観測データを用いてさらに研究をすすめることにより、熱帯のクラウドクラスターの構造や発達機構を解明できると考えられた。