著者
豊田 太郎
出版者
経営史学会
雑誌
経営史学 (ISSN:03869113)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.28-58, 2004-09-24 (Released:2010-05-07)
参考文献数
70

The purpose of this paper is to examine oil field management in the oil regions of Pennsylvania in the latter nineteenth century, especially taking the economic interests of landownership into consideration. Much research has been done on the history of the American petroleum industry, mainly on Standard Oil Company. The research has, however, not sufficiently analyzed the crude-producing sector, which had for a long time been independent of Standard Oil's control. In this paper, we focus on the management of the United States Petroleum Company, which first developed the Pithole oil field, the site famous for the “oil rush.” What sources we depend on are the original materials preserved in the Drake Well Museum.U.S. Petroleum was not an oil-producing company but was essentially in real estate. Although the company developed the Pithole oil field and completed the United States Well as a discovery well, all these efforts were made to cause the oil rush; creating high land prices (through the oil rush) was the ultimate purpose of the Company. In fact, after the completion of U.S. Well, the company no longer continued in petroleum development but rather divided Thomas Holmden farm (the center of petroleum development) into small lots to sub-lease to oilmen at exorbitant prices. The severe terms of lease and the “rule of capture” stimulated many oilmen to overdrill, and, as the result, crude production increased rapidly. This situation was favorable to both U.S. Petroleum, as the receiver of royalties, and the downstream sector, which demanded a large supply of cheap crude oil.The economic interests of landownership in oil fields continued to stimulate the crude-producing business and soon came to guarantee (excessive) crude supply to the downstream sector, Standard Oil. The combination of the interest in monopolistic capital and that of landownership in the development of the American petroleum industry lasted until the New Deal era.
著者
小長谷 明彦 池田 将 湯川 博 川又 生吹 野口 洋文 柳澤 実穂 豊田 太郎 梅田 民樹
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2017-04-01

リポソームそのものに感覚,知能,運動の機能を付加するために、リボソーム凝集体の作成、小動物における/in vivo/蛍光イメージ、リポソーム凝集体の評価、グルコース応答性有機分子の合成、膜透過性調整法の確立、DNAハトメ構造の設計、リポソームシミュレーション、可視化シミュレーションを行った。リポソーム凝集体の作成に関しては、インスリンを内包し、血清共存下での膜破裂、血管網を模した/in vitro/評価において血流速度でのマイクロ流体デバイス内部での滞留を確認した(豊田)。小動物における/in vivo/蛍光イメージに関しては、/in vitro/のジャイアントベシクル凝集体に蛍光標識用量子ドットを導入し、量子ドット由来の鮮明な蛍光を確認した(湯川)。リポソーム凝集体の評価に関しては、/in vitro/評価に用いる糖尿病モデルマウスを作成し、膵島移植により血糖を改善できることを確認した(野口)。グルコース応答性有機分子合成に関しては、グルコースに応答して親水-疎水バランスが変化する新規のボロン酸誘導体を設計した(池田)。膜透過性調整法の確立に関しては、タンパク質ゲルを内包したリポソームの形成法およびリポソーム内に封入したペプチドホルモンの膜透過性調整技術について検討した(柳澤)。DNAハトメの創成に関しては、DNAハトメ前駆体のコレステロールによる脂質膜上への固定法ならびに平面脂質膜上におけるDNAハトメ前駆体の拡散・反応による凝集の観察実験を行った(川又)。リポソームシミュレーションに関しては、コンパートメントが2つの場合について数値シミュレーションを行い,実験を再現するための形状と膜面に働く張力との関係について調べた(梅田)。可視化シミュレーションに関しては、超分子設計支援環境を整備しDNAオリガミ構造体ならびにリポソームの原子モデルを作成した(小長谷)。
著者
豊田 太郎 本多 智
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2016-04-01

本研究は,水中で化学エネルギーを運動エネルギーに変換する有機微粒子(ここでは有機アクティブマターと呼ぶ)が,多数の集団になったときに初めて現れる群れの現象と,過去の動きの履歴が時間発展の中に現れる現象を,バクテリアモデルとして構築し,その中での分子レベルのダイナミクスの時空間発展を理解することが目的である。有機アクティブマターの中でも,バクテリアサイズの等方相液滴や液晶滴に焦点を絞り,群れの動きや個々の時間発展に内在する,分子-微細構造形成-アクティブマターの動きという,動きの階層性の時空間発展の本質に迫る。本年度は,有機アクティブマターを観察するためのデバイスに用いる材料開発を主眼に研究を行った。粒径が数十マイクロメートルの有機アクティブマターの動きの履歴現象を追跡するためには,同じ空間を動きまわるだけでなく,動いている間に空間そのものが変化する摂動を加えてその応答を観察する必要がある。デバイスの材料として用いられるポリジメチルシロキサンは熱によって形状可変であるが,観察系への加熱はアクティブマターの動きにも影響を与える。そこで,光によって局所形状可変な新規ポリジメチルシロキサンを開発した。このポリジメチルシロキサンは,主鎖末端のヘキサアリールビイミダゾールの光による切断と再結合によって,星型ポリマーとネットワーク型ポリマーとを繰り返し行き来できるものである。紫外線照射によって,このポリジメチルシロキサンが無溶媒下でも,流動化と非流動化を繰り返すことができることを実証した。
著者
豊田 太郎
出版者
東京大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究は,化学物質受容体やイオノフォアとして機能する膜タンパク質が,厚さ5nmの生体膜において如何に構造形成し,機能するかという非平衡系のダイナミクスを計測する手法の開発を目的とした.夾雑物のないモデル生体膜として袋状脂質二分子膜であるジャイアントベシクルに着目し,mRNAから膜タンパク質が合成される反応系の内封法を構築した.蛍光膜タンパク質の一つであるeGFP-BmOR1をGV内部で合成したところ、これが自発的に膜に組み込まれることを明らかにした.一方,厚み方向でナノメートルの分解能をもつ反射干渉顕微鏡を構築した.これにより,基板上に接着したジャイアントベシクル膜の非平衡状態における特異な変形を観測することができた.以上の成果は,生体模倣反応場であるジャイアントベシクルを用いて,膜タンパク質の形成過程や機能発現に分析化学的にアプローチできる要素技術として重要である.