著者
貝柄 徹 Toru KAIGARA
出版者
大手前大学
雑誌
大手前大学論集 = Otemae Journal (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.83-99, 2012-03-31

地球温暖化防止のために二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)および一酸化二窒素(N2O)などの温室効果ガスの排出量削減の数値目標が設定されて以来、「地球環境に優しい乗り物」として自転車が再認識され始めた。中・長距離輸送面では鉄道もまた同様である。この両者の相互利用の歴史は古い。本稿では、日常的な鉄道への自転車の持ち込みから、その後のレジャーとしてのサイクリング列車(サイクルトレイン)および自転車を分解し袋に詰めて持ち込む「輪行」に至るまでの歴史的展開をレビューし、2011年に近畿日本鉄道が実施したサイクルトレインの現状と問題点について考察する。
著者
二階堂 達郎 貝柄 徹 吉田 長裕 川島 智生
出版者
大手前大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-04-01

大阪湾岸臨海工業地帯を,撮影機材を搭載した船舶で航行し,海上・河川・運河等の水上からその現在の景観を写真・映像に記録した.併せて,同地帯の産業・港湾関連の施設や遺産の現況を実地調査した.これらの調査結果と,収集した文献,地図,写真,郷土史料,社史等の資料を照合し,分析することにより,同臨海工業地帯の発展の全体像をとらえることができた.また,景観概念が,臨海工業地帯という広域かつ重化学工業の大規模プラントが立地する領域における工業化を把握する上で有効なことが確認できた.今回の調査・研究は,地域的にも産業分野においても限定的ではあるが,臨海工業地帯の発展にかんする今後の研究の足がかりを得られた.
著者
貝柄 徹
出版者
大手前大学・大手前短期大学
雑誌
大手前大学論集 (ISSN:1882644X)
巻号頁・発行日
vol.12, pp.83-99, 2011

地球温暖化防止のために二酸化炭素(CO2)、メタン(CH4)および一酸化二窒素(N2O)などの温室効果ガスの排出量削減の数値目標が設定されて以来、「地球環境に優しい乗り物」として自転車が再認識され始めた。中・長距離輸送面では鉄道もまた同様である。この両者の相互利用の歴史は古い。本稿では、日常的な鉄道への自転車の持ち込みから、その後のレジャーとしてのサイクリング列車(サイクルトレイン)および自転車を分解し袋に詰めて持ち込む「輪行」に至るまでの歴史的展開をレビューし、2011年に近畿日本鉄道が実施したサイクルトレインの現状と問題点について考察する。
著者
高橋 誠一 野間 晴雄 橋本 征治 平岡 昭利 西岡 尚也 筒井 由起乃 貝柄 徹 木庭 元晴
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、南海地域における歴史地理的実体を多角的に解明することを主目的としたものであった。従来の地理学分野からの琉球研究は、都市、集落、民俗、交易活動などを個別的に扱い、かつ沖縄や奄美の一地方を対象としたものが多かった。しかしこれらの個別事例の蓄積のみでは、東シナ海や南シナ海全域にわたる琉球の実体の把握が困難であったことは言うまでもない。そこで本研究においては、中国沿海州・台湾・ベトナム・フィリピン、沖縄・奄美における現地調査を実施し、都市・集落景観、伝統的地理学観の影響と変容、伝統的農作物栽培の伝播過程、物流と交易活動、食文化の比較、過去と現在の当該地域における地理学教育に見られる地域差などに関して、立体的な分析を行った。以上の研究によって、琉球が果たしてきた重層的な歴史的役割の実態を、かなりの程度まで明らかにできたと考える。これらの成果の一部は各研究者による個別論文のほかに、2007年に沖縄県立公文書館において開催した国際研究集会報告書などにおいても公刊済みである。また全体的な成果の一部を報告書としても提示した。しかし、本研究によって解明できた点は、当初の目的からすれば、やはりまだその一部を果たしたに過ぎないと言わざるを得ない。すなわち南海地域における歴史地理的諸事象の伝播過程やその変容については、かなり解明したとはいうものの、本研究の成果は単方向的な文化事象の伝播や影響の摘出に終始したとの反省がある。文化の交流や伝播は、長い歴史的過程の中では、多方向的に複雑に錯綜することによって新しい様相を生み出すということができる。それらを明らかにすることによって、本究で対象とした地域に関する理解を深化することを今後の課題としたい。