- 著者
-
赤松 直樹
福田 怜生
- 出版者
- 日本マーケティング学会
- 雑誌
- マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
- 巻号頁・発行日
- vol.40, no.2, pp.53-64, 2020-09-29 (Released:2020-09-29)
- 参考文献数
- 23
本研究では,ある選択がその後の選択に及ぼす影響の調整要因について議論した。逐次選択は,複数の選択間における選択行動であるが,既存研究では調整要因として消費者特性などが主に議論されており,各選択の関係については十分な議論がなされてこなかった。そのため,本研究は調整要因として各選択の関連性に着目し,消費者特性である健康意識との交互作用を考慮しながらその働きについて分析した。その結果,健康意識が高い消費者は,健康状態の維持に関する目標と美味しいものを食すことで快楽を得るといった目標の間でコンフリクト状態にあることが想定でき,事前選択でどちらか一方の目標を進展させると,その後の選択では進展がなされていないもう一方の目標に対応した選択を行う傾向が示された。そして,この傾向は各選択の関連性が高い場合に生じる点も確認された。これらは逐次選択の影響が生じる条件に関する新たな知見であると言える。