- 著者
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越久 仁敬
- 出版者
- 一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
- 雑誌
- 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
- 巻号頁・発行日
- vol.30, no.2, pp.172-176, 2022-04-28 (Released:2022-04-28)
- 参考文献数
- 20
呼吸困難(息苦しさ)とは,呼吸に伴う違和感,不快感または苦痛感である.呼吸困難感の大きさは,基本的には呼吸努力の大きさによって決まる.くわえて,努力に見合う換気量が得られているか否かも関係し,さらには,低酸素血症や高炭酸ガス血症も呼吸努力の大きさとは独立して呼吸困難感を生じさせる.呼吸努力の大きさ,低酸素血症,高炭酸ガス血症といった情報は,脳幹において統合され,上行覚醒系を通って大脳辺縁系や大脳皮質に伝えられ,それらの刺激の大きさをどのくらい大きいと感じるかという感度(息苦しさの感度)により,最終的な呼吸困難感の大きさが決まる.したがって,呼吸困難に対処するためには,呼吸困難の知覚や日常生活への影響だけでなく,精神的な苦痛を考慮する必要がある.