著者
藤稿 航平 趙 晋輝
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 34.6 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
pp.29-34, 2010-02-15 (Released:2017-09-21)
参考文献数
15

色空間がRiemann空間であるということが知られている.Riemann幾何学を利用することで,色空間にRiemann正規座標系と呼ばれる原点からの測地線と等距離線で構成された極座標系を構築できる.これにより,等明度平面上で色相と彩度で表現されるマンセル表色系の拡張系を得ることが可能となる.しかし,空間内の曲率の値によって構築時に測地線の交差が問題となることがある.曲率とは空間の曲がり具合を表したものでその符号によって測地線の振る舞いが決まる.現在,色空間におけるRiemann幾何学は測地線や計量については十分な検討がなされているが,曲率については十分な考察がなされていない.そこで本論文では,Riemann幾何学の性質の中でも曲率に着目し,Riemann正規座標系は負曲率の色空間でしか存在しないことを示す.また,CIELAB色空間とCIELUV色空間において,2組の色弁別楕円データとそのデータから計算された曲率の性質から,曲率と測地線の振る舞いの関係を示し,正曲率問題に対する解決策について考察する.
著者
望月 理香 中村 竜也 趙 晋輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.610, pp.1-6, 2007-03-16
被引用文献数
4

式弱者が知覚する色は推定できないため,今まで,色弱補正は客観的な基準が無く原理的に難しいものと考えられてきた.また,色弱の度合いは個人そして色刺激により変化するため,個人差や自然画像への対応が難しく,有効な補正法は見当たらない.本研究では,まず「式弱者の色弁別閾値が,すべての色について健常者と同様となること」という新しい補正基準を提案する.そして,「色弱度」というパラメータで式弱者の色覚域を表現し,それに基き工学的に実現しやすい補正法を示している.さらに,心理学実験による色弁別閾値と色弱度の測定を行い補正効果を確認している.
著者
宮田 泰彦 清水 恭成 趙 晋輝
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.38, pp.23-28, 1996-06-20 (Released:2017-10-13)

人間の色彩知覚の研究は, 心理学・生理学などの分野で行なわれて来たが, 工学的なモデルによる定量的な研究は難しいとされている。また, 色の知覚は, それが多分に主観に依存する以上, 常に錯視であるとさえ言えよう。本研究では, Color simultaneous contrast illusionおよびColor appearance illusion等を題材に, 相互抑制型ニューラル=ネットワークという単純なモデルを用いて色の錯視を工学的に実現することを試みた。さらに、色空間における曲率を求めることにより, 色空間の幾何学を定量的に考察する。
著者
大島 哲 望月 理香 趙 晋輝
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.94, no.1, pp.68-76, 2011-01-01

本論文は,色空間のリーマン空間としての幾何学的特性に着目し,局所計量からリーマン正規座標系を構築することで,異なる色空間の間で主観色差を保存する写像を導出した.色弱補正への応用として,色弱者と一般色覚者の色弁別しきい値データから局所計量を算出した.色空間上のリーマン正規座標系を構築することで,任意2色間において,色弱者に一般色覚者と同様な主観色差感覚を与える色弱補正と色弱シミュレーション方式を示した.更に,リーマン正規座標系を,2次元の色度平面上だけでなく,3次元の色空間全体においても構築することで,色度と明度を同時に考慮した色差感覚の補正を試みた.最後に,補正効果の主観評価として,SD法による印象評価を行い,補正効果を確認した.
著者
上井 恭輔 寺田 真敏 趙 晋輝
雑誌
研究報告コンピュータセキュリティ(CSEC)
巻号頁・発行日
vol.2011-CSEC-52, no.52, pp.1-6, 2011-03-03

本稿では,ファイル構造が類似するファイルの情報提供を目的としたマルウェア情報提供システムを提案する.提案システムはファイル内容の比較を行えるファジーハッシュのひとつである ssdeep を用いることで,入力された ssdeep の値に対して,ファイル構造が同じファイルだけでなく,構造が類似するファイル一覧を出力する.出力されたファイル一覧は,検査対象のファイルがマルウェアであるかどうかの目安としたり,新種や亜種のマルウェア解析に役立てたりすることができる.
著者
上井 恭輔 寺田 真敏 趙 晋輝
出版者
情報処理学会
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21862583)
巻号頁・発行日
vol.2011, no.52, pp.1-6, 2011-03-03

本稿では,ファイル構造が類似するファイルの情報提供を目的としたマルウェア情報提供システムを提案する.提案システムはファイル内容の比較を行えるファジーハッシュのひとつである ssdeep を用いることで,入力された ssdeep の値に対して,ファイル構造が同じファイルだけでなく,構造が類似するファイル一覧を出力する.出力されたファイル一覧は,検査対象のファイルがマルウェアであるかどうかの目安としたり,新種や亜種のマルウェア解析に役立てたりすることができる.In this paper, we propose Malware Information Support System for preventing leakage of privacy information in the file for analyzed and supplying other file information whose structure is similar to the file's structure for analysis. This system use ssdeep for comparison of file content, prevent file information using similarity of file structure with ssdeep value user sent. A user can make use of the file information to know whether the file is malware. Also, security researcher can make good use of that for analysis of unknown malware.
著者
趙 晋輝 宇野 晋平 久保田 智規 猪股 篤
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. A, 基礎・境界 (ISSN:09135707)
巻号頁・発行日
vol.83, no.4, pp.370-378, 2000-04-25
被引用文献数
5

Volterra形非線形適応フィルタは, 一般的な非線形系に適用できる汎用性と, こう配形適応算法の保証される大域収束性などの優れた特徴で知られている.しかしながら, Volterra核が密である場合, 収束が遅く不安定になりやすい, そこで筆者らは, 2次のVolterra形非線形適応フィルタにおいて, Gaussian信号入力に対する誤差曲面形状の重要な性質を理論的に導き出している.本論文では, それらの解析結果を基にして, 白色信号入力と, 有色信号入力に対して, 最適な重み係数ベクトルの修正方向と更新幅を用いた高速収束アルゴリズムを提案し, 計算機シミュレーションによりその効果を実証する.