- 著者
-
近藤 晃
林 洋子
山下 裕
- 出版者
- 長崎大学
- 雑誌
- 長崎醫學會雜誌 : Nagasaki Igakkai zasshi (ISSN:03693228)
- 巻号頁・発行日
- vol.82, no.3, pp.111-114, 2007-09
患者は50歳の女性。2007年4月5日,高熱,悪寒,全身の筋肉痛,関節痛と咳嗽が数日続くため,他医より紹介されて入院した。入院後,HydrocortisoneおよびPredonisoloneの投与を行って解熱したが,4月16日頃から右前腕および右大腿に浮腫性の紅斑が出現した。経過を通じ,白血球増多,CPR高値,赤沈亢進,LDHの上昇,さらにはムコ蛋白の上昇と軽度の肝機能障害があり,臨床的には発熱と咽頭痛,関節炎と皮疹が認められ,リウマトイド因子や抗核抗体は陰性で,血清フェリチン値も高値を示したことから,成人スチル病と診断した。本例はその経過中に,明らかにインフルエンザAの有意の抗体の上昇を認めたため,成人スチル病にこの感染が併発したものと考えた。ステロイドの長期投与によって,2007年5月末の時点では平熱の状態で,関節痛や皮疹も消失している。