著者
尾﨑 正和 幸田 恭治 堀 健志 山下 裕司 古川 裕之
出版者
一般社団法人日本医療薬学会
雑誌
医療薬学 (ISSN:1346342X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.223-229, 2017-04-10 (Released:2018-04-10)
参考文献数
9

Acetaminophen is approved up to 4,000 mg per day as an analgesic agent in Japan and displays analgesic effects depending on dosage. On the other hand, acetaminophen has some interactional effects. The mechanism of the interaction between acetaminophen and warfarin has not been elucidated, and no interactional cases have been reported in Japan either. However, two cases of marked PT-INR elongation were recognized by two inpatients in our hospital, Japanese males in their 50s and 60s who were treated with concurrent chemoradiotherapy using 70 Gy radiotherapy delivered as 2 Gy daily and triweekly 100 mg/m2 cisplatin, that had been prescribed both drugs. Each PT-INR lapsed into loss of control; the maximum for one was more than 20 which was unmeasurable and for the other, 9.48, given vitamin K2 (VK2) immediately was antagonistic to warfarin. Concomitant drugs of warfarin were promptly checked again to see if it was related to the plasma protein binding ratio and hepatic cytochrome P450 inhibition reaction. Furthermore, each liver function test was also normal. As a result of consideration on these two, the dosage of acetaminophen has possible implications. It could be caused by the active metabolite of acetaminophen, NAPQI (N-acetyl-para-benzoquinone imine), as reported by basic research of VK cycle inhibitory action; however, the mechanism is not completely clear yet so future research is required to clarify this point. In any case, it is necessary to regularly measure PT-INR through the combination of warfarin and acetaminophen.
著者
山下 裕
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.60, no.5, pp.339-344, 2021-05-10 (Released:2021-05-21)
参考文献数
21
被引用文献数
1
著者
山下 裕之
出版者
一般社団法人 日本臨床リウマチ学会
雑誌
臨床リウマチ (ISSN:09148760)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.216-223, 2014-09-30 (Released:2015-01-28)
参考文献数
28
被引用文献数
1

リウマチ性多発筋痛症(Polymyalgia rheumatica;PMR)は,時に鑑別診断に苦慮することがある.我々は,FDG-PET/CTを用いて,PMRが坐骨結節・大腿転子部・脊椎棘突起に高いFDG集積を認め,それらの所見が2つ以上あるとき,感度85.7%,特異度88.2%であることを見出した.また,大血管炎症候群を有するPMR群と有さないPMR群に分けると,前者は滑膜炎や滑液包炎の所見に乏しい事が分かった.さらに,高齢発症血清陰性脊椎関節炎(SpondyloArthritis;SpA)のPET所見との比較も行ったところ,坐骨結節・大腿転子部・脊椎棘突起におけるFDG集積はSpAとPMR間で有意差はなく,前者は同部位の腱付着部炎,後者は滑液包炎を反映しているものと考えられた.一方,仙腸関節炎におけるFDG集積はSpAの方が有意に高く,鑑別に有用と考えられた.さらに時に鑑別が非常に難しい高齢発症関節リウマチ(Elderly-onset rheumatoid arthritis;EORA)のPET所見との比較を行ったところ,PMRはEORAに比較して坐骨結節,脊椎棘突起にFDG集積を高く認める傾向がある一方,手関節のFDG集積が低い事が分かった.さらに肩・股部のFDG集積を注意深く観察すると,EORAでは滑膜炎を反映し,上腕骨頭を取り囲む全周性かつ線状の集積が見られるのに対し,PMRでは滑液包炎を反映し,限局性かつ非線状の集積がみられる傾向にあっ.また,PMRでは,腸恥滑液包炎を反映した股関節前方の集積を有意に認める傾向にあり,非常に有意な鑑別材料と考えられた.今後,PETによる特徴的な罹患部位同定によりPMRの診断だけでなく,病態解明に近づくことを期待したい.
著者
山下 裕作
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.181, pp.39-69, 2014-03-31

筑波研究学園都市は昭和55年に概成した計画都市である。43の国立試験・研究・教育機関とその勤務者,及び家族が移転・移住した。これほど大規模な計画都市は,筑波以前には無く,現在まで類を見ない。近年はつくばエキスプレスの開通に伴う民間ベースの都市開発により,洗練された郊外型都市に変貌しつつある。本報告はこの計画都市が最も計画都市らしかった時代(概成期)における自然と生活について検討する。筑波研究学園都市の「自然」は,周辺農村の二次的自然とは異なり,人工の緑地である。生産活動に利用されることは無く,当時植栽されたばかりの「自然」も人とのつきあいの経験が無い。それでも,学園都市の住民たちは,そうした「自然」を活用し,深い愛着を抱いてきた。特に移住者の子弟達にはそうした傾向が見られる。この移住者達は「新住民」と呼ばれていたが,その中身は一様ではない。移住時期によってタイプに分かたれ,それぞれ性格づけられていた。しかし,子供達は懸命に新たな同級生や環境に折り合いを付けつつ一様に筑波を故郷ととして開発しようとしていた。また,元々周辺農村に暮らしてきた住民達は,この新住民達,また学園都市そのものと対立することもあったが,徐々に気むずかしく見える新住民達や,人工的な自然にも慣れ親しむようになる。そして学園都市中心部で開催される「まつりつくば」は,これら旧農村部の住民達によって担われる。その一方で現在「新住民」たちの姿は見えない。彼等は「つくばスタイル」という都市開発のスローガンのもと,「知的環境」を担う要素となりつつある。また,概成後30年が経過し,人工緑地は著しく伸長した。もはやかつての子供達が遊びほうけてきた「故郷の自然」では無くなってきている。開発者の「ふるさと」は消滅しつつある。同様なことは,大規模団地で生活した多くの子供たちにも言えることであろう。ひとり筑波研究学園都市だけの問題ではない。
著者
深江 政秀 大石 純 乗富 智明 山下 裕一 長谷川 傑
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.023-028, 2018-01-31 (Released:2018-09-21)
参考文献数
9

[緒言]CTの性能は向上しているが,腸閉塞の治療成績は向上していない。[目的]腸閉塞の診療における造影CTの読影法を検討した。[方法]2011年4月から2015年10月の4年7ヵ月間に入院した腸閉塞162例のうちで造影CTが行われた115例を後ろ向きに検討した。[結果]腸管虚血群39例と腸管非虚血群76例を比較した。腸管虚血の多変量解析では腸管壁造影低下(Odds比4.49,P<0.01)が有意であった。有用性が期待された項目は腹膜刺激症状(Odds比14.9,P=0.05),BE(Odds比30.5,P=0.07),腸間膜浮腫(Odds比0.01,P=0.07)であった。[結語]腸管虚血の診断には腸管壁造影低下がもっとも有用である。腸管虚血の否定には腸間膜浮腫が有用と思われる。
著者
山下 裕司 下郡 博明 菅原 一真 広瀬 敬信
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は,生活習慣病であるメタボリック症候群が聴覚に及ぼす影響について明らかにし,その予防方法を開発,将来の臨床応用に発展させることである。そのためにモデルマウスTSODを用いて研究を行った。結果としてメタボリック症候群モデル動物は,加齢に伴い出現する難聴が対照動物に比べてより早期に出現することが明らかになった。組織学的検討からは内耳の血管に動脈硬化が生じ,内耳の血流が減少することが原因のひとつであると考えられた。また,発現遺伝子の検討からは,多くの種類の成長因子が減少していることが明らかになった。これらの結果は新しい難聴予防の方法の開発につながると考える。

4 0 0 0 OA サクラと農業

著者
山下 裕作
出版者
養賢堂
巻号頁・発行日
vol.83, no.1, pp.121-126, 2008 (Released:2011-01-20)

サクラとは、一般に、ウメ・モモ・アンズなどを除くバラ科サクラ属の植物の総称である。その名称の由来については、(1)「咲く」に複数を表す接尾語の「ら」を付したとする説、(2)稲の作神であるサの神が寄り憑く神鞍(クラ)からくるという説、そして(3)「木の花(サクラと思われる)」を象徴する木花之佐久夜毘売命(このはなのさくやひめのみこと)から「さくや」を取り転訛したという説、の三つに代表される諸説がある。大仰な目的意識などはないが、サクラは日本の国花であると意識されている。事実、日本文化とサクラとの縁は深い。春になり桜が咲けば、誰でも花見に出かけたくなるだろう。日本人の多くがサクラを好んでいるのである。そのサクラと農業という生業が密接に結びついていることを、ほんの少しでも明らかにすることが本稿の目的である。
著者
馬渡 直子 刈茅 茂 山下 裕史朗 高嶋 幸男 松石 豊次郎
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.39, no.5, pp.373-377, 2007-09-01 (Released:2011-12-12)
参考文献数
9
被引用文献数
2

福岡県南部において, 看護師配置のない養護学校では児童生徒の医療的ケアがどのように行われているかについて調査を行った.調査は養護学校4校の児童生徒633名を対象に担任教諭へのアンケートで行った. その結果, 全体の24%が何らかの医療的ケアを受けており, 特に医療三行為 (吸引, 経管栄養, 導尿) を要する児童生徒は訪問教育が主体であり, 通学する際には家族の常時付き添いが必要であった. また, 摂食嚥下や呼吸の問題に担任教諭が不安を抱いていること, 医療的ケアの必要な予備軍も存在し得ることが明らかとなった. 児童生徒の安全で健康的な学校生活のため, 医療, 療育スタッフの連携のもと, 医療的ケアの整備・拡大が急がれる.
著者
西村 真吾 山内 克哉 蓮井 誠 山下 裕太郎 鈴木 隆範 川嶋 雄哉 久木 貴寛 伊本 健人 池島 直貴
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.I-59_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】足部アーチにおける重要な機能として,接地時の衝撃緩和に働くトラス構造がある.中でも内側縦アーチの低下した障害を偏平足といい,足底筋膜炎やシンスプリントなどの原因になりうるとの報告もある.内側縦アーチの高さと筋力の関係は,アーチが高い程,足趾握力が強いとの報告があるが,影響を及ぼさないとの報告もあり,見解は一致していない.また,足関節周囲筋筋力との関係性を調査した研究もみられない.そこで本研究の目的は,アーチ高率と足部外返し,内返し筋力との関係性について調査し,偏平足に対する新たな治療の一助とすることとした.【方法】対象は,健常成人14名14足(男性7例,女性7例),除外基準は足部骨折や脊髄疾患のある者とした.年齢26.2±5.5歳,体重57.9±9.3kg.アーチ高率は,床面から舟状骨までの高さを実足長で除して100 を乗じた値を用い,計測肢位は立位荷重位で足隔は肩幅とした.筋力はBIODEX SYSTEM4で測定し,角速度60°/sと180°/sにおける足部外返し,内返し最大トルクを算出し体重で除したトルク体重比を算出.また,外返し最大トルクに対する内返し最大トルクの比(以下,IE比)は内返し最大トルクを外返し最大トルクで除して算出し,それぞれの値とアーチ高率との関係を検討.統計処理にはSPSS Version22を使用し,解析はPearsonの相関係数を用いた.【結果】平均値は,アーチ高率:17.2±2.9%,トルク体重比は外返し(60°/s):51.6±13.7Nm/kg,内返し(60°/s):37.5±8.2Nm/kg,IE比(60°/s):0.77±0.23,外返し(180°/s):30.8±5.8Nm/kg,内返し(180°/s):22.6±3.8Nm/kg,IE比(180°/s):0.76±0.18であった.アーチ高率と内返し(60°/s,180°/s), IE比(60°/s)には相関が認められなかった.アーチ高率と外返し (60°/s)(r=-0.66),外返し(180°/s) (r=-0.71)には有意な負の相関,アーチ高率とIE比(180°/s)(r=0.68)には有意な正の相関が認められた.【考察】アーチ高率と外返しトルク体重比(60°/s,180°/s)に負の相関がみられたことから,外返しの作用を有する長・短腓骨筋が内側縦アーチを引き下げている可能性が示唆された.加えて,アーチ高率と内返しトルク体重比(60°/s,180°/s)には相関が認められず, IE比(180°/s)に正の相関が認められたことから,内返しの作用を有する前・後脛骨筋筋力のみが内側縦アーチに影響を与えるのではなく,長・短腓骨筋に対する前・後脛骨筋筋力の比が内側縦アーチに影響を与える可能性が示唆された.後天性扁平足の主な原因は後脛骨筋機能不全とも言われているが外返し筋力とのバランスが重要かと思われる.【結論】60°/s,180°/sにおける外返しトルク体重比が大きいほど,また,180°/sにおけるIE比が少ないほど内側縦アーチが低くなる可能性が示唆された.低アーチを改善させるためには外返し筋力を抑制するような方法やIE比を大きくするような方法が有効かは縦断的な調査が必要かと考える.【倫理的配慮,説明と同意】本研究は当院倫理委員会の承認を得て行い,対象者には書面にて研究協力の同意を得た.
著者
山下 裕之 上田 洋 高橋 裕子 三森 明夫
出版者
社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.306-309, 2012-05-20 (Released:2013-04-12)
参考文献数
17
被引用文献数
2 5 1

The patient was a 74-year old male who presented with a skin rash, cough, and impaired consciousness. Adiffuse, systemic, dark red rash was observed and he was admitted. Varicella infection was diagnosed based on the varicella-zoster virus (VZV)-IgM levels. The extremely high VZV- IgG levels observed were unlikely to be present inaninitial infection and the infection was thought to be a reoccurrence. Diffuse nodular shadows measuring ≤5mm indiameter were observed on chest computed tomography (CT) ; this was consistent with the typical imaging findings of varicella pneumonia. The cerebrospinal fluid (CSF) was positive for CSF VZV-IgM antibody, CSF VZV-PCR, and CSF antibody titer index. A diagnosisofvaricella meningitis was made. When both respiratory and neurological symptoms are observed inpatients with varicella infection, it is necessary to consider a combined diagnosis of varicella pneumonia and varicella meningitis/encephalitis and perform chest imaging and a CSF examination. Repeated asymptomaticre-infection isconsidered necessary in order to maintaina life long immunity to varicella ; however, the opportunities for asymptomaticre-infection are decreasing with the declining birth rate and trend toward small families. As a result, reoccurrences of varicella infection in the elderly are expected to increase with rapidlyincreasing longevity.
著者
平尾 哲二 手束 聡子 鈴木 真綾 木村 美沙季 山下 裕司
出版者
千葉科学大学
雑誌
千葉科学大学紀要 (ISSN:18823505)
巻号頁・発行日
no.10, pp.15-22, 2017-02

犬吠埼温泉は銚子市の観光資源の一つである。本研究では、犬吠埼温泉の有用性について科学的データ取得を目的として、3種類の源泉について成分分析するとともに、保湿効果について検討した。各源泉に含まれる主要元素についてICP発光分光法により調べたところ、いずれもClとNaを多く含むものの、それらの濃度やその他の元素濃度に差異が認められた。また、浮遊物質濃度の挙動などの特性値についても各源泉により違いが認められた。皮膚保湿試験は、実際の入浴シーンに近い足湯への入浴試験と、前腕に温泉試料を塗布する2種類の試験を実施した。皮膚保湿試験においては、千葉科学大学倫理委員会による承認を得た上で、被験者の同意を得て試験を実施した。犬吠埼ホテル足湯入浴後の角層水分量を足甲と下腿部で経時的に測定したところ、足湯入浴後は徐々に角層水分量は低下するが、その低下は対照であるお湯に比較して緩やかで、有意な保湿効果が認められた。また、前腕に3種類の源泉あるいは水を塗布して角層水分量を経時的に測定したところ、対照である水塗布に比較して、犬吠埼ホテルおよび犬吠埼観光ホテルの源泉では角層水分量が高く維持され、保湿効果が検証されたが、太陽の里の源泉では、今回の試験条件では、保湿効果は検証できなかった。これらの挙動は、各温泉に含まれるミネラル成分の多寡と比較的よく一致していた。源泉成分の特性解析や保湿効果の作用機序については未解明であり、今後の研究発展によりさらに犬吠埼温泉の有用性に関するエビデンス蓄積が期待される。
著者
山口 恭正 三田 昌輝 山下 裕太郎
出版者
デジタルアーカイブ学会
雑誌
デジタルアーカイブ学会誌 (ISSN:24329762)
巻号頁・発行日
vol.5, no.s2, pp.s157-s159, 2021 (Released:2021-12-10)
参考文献数
3

情報社会の発達に伴い、人々は好きな時に好きな曲を楽しめるようになった。クラシック音楽の世界では、音楽批評に代表されるような有力者の言説よりも、一人一人が主体的に多様な音楽を楽しむことができ、その様相を掴むことは難しくなりつつある。現代の世界の音楽研究はデータ分析を主軸にした「レパートリー研究」「実証研究」が台頭しつつあるが、日本は大きく遅れを取っている。本研究では演奏記録データベースの日本版として、演奏記録を構成する諸要素の関係従属性を踏襲した関係データベース構築・公開することで、実証的観点からの日本のクラシック音楽研究や議論の「ハブ」となるデータベースを作成を目指す。本発表では、最初の試みとして、仙台市市民文化事業団「多様なメディアを活用した文化芸術創造支援事業」の助成金を受けて作成中している「仙台フィル定期演奏会演奏記録アーカイブ」について報告を行う。
著者
峯村 万貴 泉 克明 山下 裕之 塚原 一幸
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.115-122, 2009-01-15
参考文献数
17
被引用文献数
3

'ナガノパープル'は,長野県果樹試験場において四倍体ブドウの'巨峰'と二倍体ブドウの'ロザリオ ビアンコ'の交雑組み合わせから選抜された三倍体ブドウであり,2004年に種苗法に基づき品種登録された.1990年に交雑し,交雑胚は胚珠・胚培養により養成した.成熟期は育成地で9月上旬(満開後85日頃)である.果房は160~170 g程度の大きさ,果粒は円形で5~6 g程度の大きさであり,果粒の一部に種子の含有が認められる.果皮色は紫黒色である.果皮と果肉の分離は難で,果肉特性は崩壊性である.果汁の甘味は強く,酸含量は少なく,フォクシーフレーバーがある.裂果の発生がみられる.満開時と満開後14日頃の2回のジベレリン処理(25 ppm液)により480~490 g程度の果房と13~14 g程度の果粒が得られ,果粒は完全に無核となる.ジベレリン処理果では無処理果に比べて裂果の発生が少ない傾向であった.花穂の着生は良好であり,短梢剪定による安定的生産が可能と考えられた.<br>
著者
山下 裕 西上 智彦 古後 晴基 壬生 彰 田中 克宜 東 登志夫
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.46 Suppl. No.1 (第53回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.H2-198_2, 2019 (Released:2019-08-20)

【はじめに、目的】頚部痛患者において,単に筋や関節由来だけでなく,様々な要因が能力障害に関与することが明らかになっている.外傷性頚部痛は非外傷性頚部痛よりも,臨床症状がより重度であることが報告されているが,それぞれの能力障害に関与する要因は未だ明らかではない.近年,他害的な外傷や痛みに伴う不公平感を定量するInjustice Experience Questionnaire(IEQ)や,頚部の身体知覚異常を包括的に評価するFremantle Neck Awareness Questionnaire(FreNAQ)といった新たな疼痛関連指標が開発されているが,外傷性,非外傷性頚部痛それぞれの能力障害にどのように関与するか明らかでない.本研究の目的は,外傷性と非外傷性頚部痛の疼痛関連因子の比較及びそれぞれの能力障害に影響する因子を検討することである.【方法】対象は, 頚部痛患者119名(外傷性頚部痛患者74名,非外傷性頚部痛患者45名)とした.評価項目として,疼痛期間,安静時・運動時痛,能力障害はNeck Disability Index (NDI),不公平感は IEQ,身体知覚異常はFreNAQ,破局的思考は短縮版Pain Catastrophizing Scale(PCS6),運動恐怖感は短縮版Tampa scale for Kinesiophobia(TSK11),うつ症状はPatient Health Questionnaire(PHQ2)を調査した.統計解析は,Mann-Whitney U検定を用いて外傷性頚部痛と非外傷性頚部痛における各評価項目の差を比較検討した.さらに,NDIを従属変数とした重回帰分析を用いて,外傷性頚部痛,非外傷性頚部痛におけるそれぞれの関連因子を抽出した.【結果】2群間比較の結果,疼痛期間において有意な差を認めたが[外傷性頚部痛: 30日(0−10800日); 非外傷性頚部痛: 300日( 2−7200日),p<0.001],その他の項目に有意な差は認められなかった.重回帰分析の結果,NDIと有意な関連が認められた項目として,外傷性頚部痛ではIEQ(β=0.31, p =0.03)と運動時痛(β=0.17, p =0.01),非外傷性頚部痛においてはFreNAQ(β=0.79, p =0.002)のみが抽出された.【結論(考察も含む)】本研究の結果から,外傷性頚部痛患者と非外傷性頚部痛患者において,能力障害に影響を与える因子が異なる可能性が示された.したがって,外傷性頚部痛患者では不公平感を軽減する介入が必要であり,非外傷性頚部痛患者においては身体知覚異常を正常化する介入が必要である可能性が示唆された.【倫理的配慮,説明と同意】対象者には研究の主旨と内容を口頭および書面で説明し,同意を得て研究を実施した.なお本研究は西九州大学倫理委員会の承認を得ている(承認番号:H30 − 2).
著者
根本 整 永坂 竜男 大田 英揮 山下 裕市 二科 孝志 町田 好男
出版者
公益社団法人 日本放射線技術学会
雑誌
日本放射線技術学会雑誌 (ISSN:03694305)
巻号頁・発行日
vol.74, no.7, pp.675-684, 2018 (Released:2018-07-20)
参考文献数
21

With shortening of the gantry of magnetic resonance imaging (MRI) systems, large field-of-view (FOV) imaging has become difficult because static magnetic field nonuniformity and gradient magnetic field nonlinearity exacerbate geometric distortion of MR images. However, results of earlier studies have demonstrated that view angle tilting (VAT) can reduce severe image distortion attributable to local susceptibility effects of metals. Although VAT is usually applied to local magnetic field nonuniformity, in principle VAT is expected to correct distortion also for peripheral images in large-FOV MRI. Results from this phantom experiment using VAT with large-FOV verified the effectiveness of distortion correction. The experiment using VAT showed reduction of maximum distortion from 23.6 to −1.9 mm. Furthermore, results of a volunteer study confirmed the distortion correction capability of VAT: it reduced distortion and improved visibility of the anatomical structure. In conclusion, experimentally obtained results underscore VAT effectiveness for improving distortion in large-FOV MRI.
著者
深井 喜代子 黒田 裕子 山下 裕美 池田 理恵
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.193-197, 2001-08-25

看護行為によって発生する音を実験室で再現し, それを聴いた被験者がどのような生体反応を示すのかを検討した.承諾の得られた健康な女性被験 : 者10名に, 「タオルを絞る音」「看護者の足音」「聴診器の音」「椅子を床に置く音」「椅子を引きずる音」「ドアノックの音」「吸引音」「ブラインドの開閉音」の8種類を聴かせ, 心電図, 血圧, 局所発汗量を連続記録した.その結果, 背景音であるチャイムの音では局所発汗量はほとんど変化しなかったが, 6種類の音で5例以上に発汗増加反応を認めた.また, 6種類の音で最高血圧が有意に上昇した.さらに8種類すべての音に対する一過性の交感神経活性の高まりが全例で確認された.これらの結果から, 看護行為によって生じる音は生体に一過性のストレス様反応を引き起こすことが明らかになった.