著者
遠藤 徹 エンドウ トオル Endo Toru
出版者
同志社大学グローバル地域文化学会
雑誌
GR : 同志社大学グローバル地域文化学会紀要 : Doshisha Global and Regional Studies review : the journal of the Doshisha Society for Global and Regional Studies (ISSN:21879060)
巻号頁・発行日
no.5, pp.1-22, 2015-10

論文(Article)ビョーク『オール・イズ・フル・オブ・ラブ』につけられた、クリス・カニンガムによるミュージック・ビデオの孕む意味を探った論考。このMVでは、ビョークの顔を持った二体のアンドロイドによる性愛の行為(の模倣)が描かれる。一見、それは、機械が人間的なもののすべてを簒奪することの隠喩のように見える。それはそうなのだが、人間が機械の一部として従属的な存在と化されつつある現状の進み行きのなかで、それを軍事的で「男性的」な攻撃性の方向にではなく、より平和的な共存の方向へと導くためのひとつの方向性を示すものと捕らえることができる。つまり機械に「女性的」な愛を帯びさせようとする試みであると読むことができるわけである。The music video which was directed by Chris Cunningham for the Björk's song "All is Full of Love", tries to show us the scenes where machines are tries to replicate human attributes such as love or pleasure. It could be interpreted as to show the way to make human attributes survive among the machines at the time when every humanness is subordinated to machines.
著者
和泉 薫 小林 俊一 永崎 智晴 遠藤 八十一 山野井 克己 阿部 修 小杉 健二 山田 穣 河島 克久 遠藤 徹
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.64, no.1, pp.39-47, 2002-01-15 (Released:2010-02-05)
参考文献数
7

新潟県北魚沼郡入広瀬村の浅草岳において,2000年6月18日,山菜取り遭難者の遺体搬出作業中の捜索・救助隊がブロック雪崩に襲われて4名が死亡した.ブロック雪崩発生前後の映像解析や現地調査から,発生量は32m3(重量21 ton)と算定され,記録上最大規模のブロック雪崩であることがわかった.この地域の山岳地は近年にない多雪で融雪が約1ヶ月遅れ,気温が上昇した5,6月に多量の残雪が急速に融解した.この災害は,急斜面の残雪が融雪末期のいつ崩落してもおかしくない不安定な状態の時に,その直下で多人数が作業を行っていたため発生したものである.運動シミュレーションから,雪渓末端の被災地点における速度は12~35m/s,到達時間は10~33秒と計算された.雪崩に気付くのが遅れたとするとこの到達時間では逃げ切れない.また,雪ブロックの衝撃力は,直径50cmの球形で速度が12 m/sの時でも約3tonfと計算されたので,直撃を受ければ人は死傷を免れないことがわかった.また,これまでほとんど研究がされていないブロック雪崩についてその定義を明確にし,過去の災害事例を調べて発生傾向についても明らかにした.
著者
遠藤 徹
出版者
東京学芸大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

本研究は、江戸期の高野山鎮守天野社(現、丹生都比売神社)で約二十年毎の遷宮の際に行われていた舞楽曼荼羅供とそこで唱えられた南山進流声明を、当時の式次第に則して復元的に把握することを試みたものである。とくに注目したのは、雅楽曲と声明が共奏する箇所である。当該法要が最後に行われてから百七十年を経た今日、現行伝承で当該箇所を重ね合わせても音響は調和しない。そこで、当初の意図を読み取りつつ検討した結果、声明の音程の変化を想定することになった。
著者
遠藤 徹 田口 平八郎
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
薬学雑誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.93, no.1, pp.30-32, 1973-01

Four glucosides were isolated from the fruits of Cornus officinalis SIEB. et ZUCC.(Cornaceae). Three of them were identified with morroniside (VII), loganin (IV), and sweroside. The other one was a new iridoid glucoside, 7-ο-methylmorroniside (VI), (tetraacetate (I), mp 103-105°) which seemed to be an artifact formed during the extraction process.
著者
遠藤 徹
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.183, pp.245-261, 2014-03-31

現代日本の音楽学は欧米の音楽学の輸入の系譜をひく研究が支配的であるため、今日注目する者は必ずしも多くはないが、西洋音楽が導入される以前の近世日本でも旺盛な楽律研究の営みがあった。儒学が官学化し浸透した近世には、儒学者を中心にして、儒教的な意味における「楽」の「律」を探求する学が盛んになり独自の展開を見せるようになっていたのである。それは今日一般に謂う音楽理論の研究と重なる部分もあるが、異なる問題意識の上に展開していたため大分色合いを異にしている。本稿は、近世日本で開花していた楽律研究の営みを掘り起こす手始めとして、京都の儒学者、中村惕斎(1629~1702)の楽律研究に注目し、惕斎が切り拓いた楽律学の要点と意義を試論として提示したものである。筆者の考える惕斎の楽律学の意義は次の六点に要約される。①『律呂新書』に基づき楽律の基準音、度量衡の本源としての「黄鐘」の概念を示した、②『律呂新書』を基本にすることで近世日本の楽律学を貫く、数理的な音律理解の基礎をつくった、③『律呂新書』の説く「候気」の説は受け入れず、楽律の基は人声とする考え方を提示した、④古の楽律を探求するにあたって、実証、実験を重んじた、⑤古の楽律の探求にあたって、日本の優位性を説いた、⑥古の楽の復興を希求した。
著者
遠藤 徹
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
国立歴史民俗博物館研究報告 = Bulletin of the National Museum of Japanese History (ISSN:02867400)
巻号頁・発行日
vol.183, pp.245-261, 2014-03

現代日本の音楽学は欧米の音楽学の輸入の系譜をひく研究が支配的であるため、今日注目する者は必ずしも多くはないが、西洋音楽が導入される以前の近世日本でも旺盛な楽律研究の営みがあった。儒学が官学化し浸透した近世には、儒学者を中心にして、儒教的な意味における「楽」の「律」を探求する学が盛んになり独自の展開を見せるようになっていたのである。それは今日一般に謂う音楽理論の研究と重なる部分もあるが、異なる問題意識の上に展開していたため大分色合いを異にしている。本稿は、近世日本で開花していた楽律研究の営みを掘り起こす手始めとして、京都の儒学者、中村惕斎(1629~1702)の楽律研究に注目し、惕斎が切り拓いた楽律学の要点と意義を試論として提示したものである。筆者の考える惕斎の楽律学の意義は次の六点に要約される。①『律呂新書』に基づき楽律の基準音、度量衡の本源としての「黄鐘」の概念を示した、②『律呂新書』を基本にすることで近世日本の楽律学を貫く、数理的な音律理解の基礎をつくった、③『律呂新書』の説く「候気」の説は受け入れず、楽律の基は人声とする考え方を提示した、④古の楽律を探求するにあたって、実証、実験を重んじた、⑤古の楽律の探求にあたって、日本の優位性を説いた、⑥古の楽の復興を希求した。Study about the tune based on Confucianism was done actively in Japan before the modern era where Western Musicology was not yet introduced. This paper discusses the feature and meaning of the Study about the tune which was done in Edo period(1603-1867), focusing Nakamura Tekisai(1629-1702) , The Confucian scholar of Kyoto. In this paper, I show characteristic points of Nakamura Tekisai's study about the tune can count the following six .① Based on " Ritsu ryo Shin sho" written by Tsai Yuan-ting who was a scholar of the Sung dynasty in China, he showed that the pitch pipe of "Koh shoh" used as the standard of the tune could be also a standard of weights and measurements. ② Based on " Ritsu ryo Shin sho", he built the foundation of the mathematical temperment understanding that can be seen consistently to Study about the tune which was done at the Edo period. ③ He did not accept "kouki(a method of observe Ki)" that was explained in "Ritsu ryo Shin sho" as how to ask for ideal tune, but he presented his view point that basis of the ideal standard tune is a voice. ④When he searched for ideal tune of Chinese ancient times(that era was considered that the ideal tune had been realized), he respected the actual proof remaining in Japan and the experiment. ⑤ In the searching for ancient tuning, he claimed that Japan had predominance conditions. ⑥ He wanted ancient music to be revived someday and studied the ideal tuning as the foundation for it.