著者
遠藤 直樹
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会会報 (ISSN:00290289)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.23-36, 2019-11-01 (Released:2020-01-07)
参考文献数
78

菌根性きのこはマツ科やブナ科などの森林樹木の根系上に外生菌根を形成し,宿主植物と相利共生するきのこ類である.本菌群はそのような生態学的重要性に加え,マツタケやトリュフに代表される食用価値の高い菌種を多く含む経済学的重要性を有した菌群である.しかし,菌根性きのこは腐生性きのこ類と比較して難培養性であり,様々な基礎研究や応用研究の材料となる菌株がごく限られた分類群でしか得られておらず,分類や生態に未解明の要素が多い.本稿では,菌根性きのこ類の中でも特に林産資源として重要な食用種を多く含むAmanita属(タマゴタケ類),Boletus属(ヤマドリタケ類),Tricholoma属(マツタケ),およびHygrophorus属(ユキシロ)を対象に,筆者が取り組んできた分類や生態,および培養技術の開発に関する一連の研究について論じた.
著者
能弾 長作 遠藤 直樹 中鹿 正弘 木津 重雄
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MR, 磁気記録
巻号頁・発行日
vol.94, no.286, pp.7-12, 1994-10-21
被引用文献数
4

1インチHDTVディジタルVRTの約2倍の記録密度を持つ、カセット型HDTVディジタルVTRの記録フォーマットを開発した。本記録フォーマットはD2-VTRのLサイズ担当のカセットに1時間以上のHDTVディジタル信号は記録することができる。本記録フォーマットと高密度記録技術により、編集時においても十分な互換性と高画質を確保したカセット型HDTVディジタルVTRを実現した。本記録フォーマットは現在SMPTEにおいてD6フォーマットとして標準化のための審議が行われている。本稿ではマルチスタンダードに対応したD6フォーマットを実現するキー技術について述べる。
著者
遠藤 直樹 山田 明義
出版者
日本菌学会
雑誌
日本菌学会大会講演要旨集 日本菌学会第55回大会
巻号頁・発行日
pp.81, 2011 (Released:2012-02-23)

テングタケ属タマゴタケ節(Oda and Tanaka 1999)には,A. caesarea,タマゴタケ(A.hemibapha),キタマゴタケ(A.javanica)など食用価値の高い種が含まれる.しかし,これら菌種では,純粋培養の困難さから菌根苗を用いた人工栽培研究は殆ど行われていない.演者らは昨年の本大会においてタマゴタケ節菌種の菌根合成を報告した.本研究では,タマゴタケ節菌種を定着させたアカマツ菌根苗の順化について検討するとともに,供試菌株の分子系統解析を行うことを目的とした. 菌根合成によりタマゴタケ節菌種を定着させたアカマツ菌根苗を作出した:タマゴタケEN-3株(山梨県鳴沢村産)で8苗,同EN-31株(長野県伊那市産)で3苗,同Asahikawa2-2株(北海道旭川市産)で4苗,キタマゴタケEN-4株(長野県松川町産)で1苗,ドウシンタケEN-29株(長野県南箕輪村産)で1苗.EN-3株とEN-4株を定着させた菌根苗は,滅菌したA層B層混合土壌を詰めた素焼き鉢に植え付け,ガラス温室内の地面に埋設し,最大350日間養苗した.EN-31株,Asahikawa2-2株,EN-29株を定着させた菌根苗は,滅菌したA層B層混合土壌を詰めた250ml容のポリカーボネートポットに植え付け,インキュベータ内の20℃,8000ルクス連続照明下で,最大180日間の養苗した.温室順化の結果,EN-3株を定着させた菌根苗では8苗中6苗で菌根が生残し,菌根量はいずれも顕著に増加していた.EN-4株を定着させた菌根苗では,菌根の生残は認められたが,菌根量の増加は殆ど見られなかった.インキュベータ内での順化の結果,供試した全ての苗で菌根の生残が認められたが,菌根量の増加は必ずしも顕著ではなかった.順化後の菌根の形態観察では,タマゴタケとキタマゴタケの菌鞘構造が酷似していたが,ドウシンタケでは異なっていた.ITS領域の塩基配列をもとにNJ法により系統解析した結果,タマゴタケ3株はいずれも同一クレードを形成した.キタマゴタケでは,EN-4株とEN-62株(大分県産)が同一クレードを形成したが,茨城県産標本は異なるクレードを形成した.