- 著者
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都築 政起
若杉 昇
- 出版者
- Japanese Association for Laboratory Animal Science
- 雑誌
- Experimental Animals (ISSN:00075124)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.2, pp.137-144, 1988-04-01 (Released:2010-08-25)
- 参考文献数
- 9
- 被引用文献数
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ニホンウズラの新しい突然変異「back-drawer」は, 腹部を覗き込むようにして首を腹側に強く曲げ, しゃがみ込んだ姿勢で, 常時後ずさりをする行動を示し, 時折前方に回転する。この異常は, 孵化時から8週齢の間に発症し, 症状は一時的な発作として出現するのではなく, 一定期間持続した。発症個体は3つのタイプに分けられ, 1つは, 孵化時既に症状を示しており5日齢以前に死亡するもので, 他の2つは2週齢時以降に発症し, 発症後早期に死亡するもの, および長期間生存するものであった。後者では, 症状が漸次軽減し, やがて正常個体との区別が困難となるものもあった。雄は, 外見的に性成熟に達した後も, 異常行動を示す期間は繁殖力をもたないが, 回復後は繁殖力をもつようになる。一方, 雌はほとんど産卵せず早期に死亡する傾向がある。後ずさり形質は, 常染色体性の2対の劣性遺伝子によって支配されていると考えられる。