著者
平井 智也 上出 直人 重田 暁
出版者
一般社団法人 日本地域理学療法学会
雑誌
地域理学療法学 (ISSN:27580318)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.31-38, 2023 (Released:2023-03-31)
参考文献数
40

【目的】日常生活動作(以下,ADL)障害を有する地域在住高齢者における入院および死亡イベント(以下,イベント)発生を識別する運動機能のカットオフ値を算出し,イベント発生との関連を調査した.【方法】当院通所リハビリテーションに通所する65歳以上かつBarthel indexが100点未満の利用者143例(81.4±6.7歳,女性102例)を対象とし,最大3年間追跡した.イベント発生を識別する運動機能(握力,膝伸展筋力,快適歩行速度)のカットオフ値を算出し,イベント発生に関連する運動機能を調査した.【結果】追跡期間中に,65例(44%)の利用者にイベントが発生した.イベント発生を識別する握力のカットオフ値は 15.6 kg,膝伸展筋力は 15.2 kgf,快適歩行速度は 0.89 m/sと算出され,握力 15.6 kg未満および快適歩行速度 0.89 m/s未満であることはイベント発生に関連することが示された.【結論】ADL障害を有する地域在住高齢者におけるイベント発生の識別には握力と快適歩行速度の評価が有用であることが示唆された.
著者
平井 智也 上出 直人 重田 暁
出版者
一般社団法人 日本地域理学療法学会
雑誌
地域理学療法学 (ISSN:27580318)
巻号頁・発行日
pp.JJCCPT22002, (Released:2022-12-07)
参考文献数
40

【目的】日常生活動作(以下,ADL)障害を有する地域在住高齢者における入院および死亡イベント(以下,イベント)発生を識別する運動機能のカットオフ値を算出し,イベント発生との関連を調査した.【方法】当院通所リハビリテーションに通所する65歳以上かつBarthel indexが100点未満の利用者143例(81.4±6.7歳,女性102例)を対象とし,最大3年間追跡した.イベント発生を識別する運動機能(握力,膝伸展筋力,快適歩行速度)のカットオフ値を算出し,イベント発生に関連する運動機能を調査した.【結果】追跡期間中に,65例(44%)の利用者にイベントが発生した.イベント発生を識別する握力のカットオフ値は 15.6 kg,膝伸展筋力は 15.2 kgf,快適歩行速度は 0.89 m/sと算出され,握力 15.6 kg未満および快適歩行速度 0.89 m/s未満であることはイベント発生に関連することが示された.【結論】ADL障害を有する地域在住高齢者におけるイベント発生の識別には握力と快適歩行速度の評価が有用であることが示唆された.
著者
重田 暁彦
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.66, no.7, pp.312-317, 2016-07-01 (Released:2016-07-01)

知的財産の中でも技術関係の情報が中心となる特許関係の特許庁の審査・審判,更には訴訟に見る最近の動きを把握し,特許調査や発明を捉える際の影響などで考慮すべきことを述べる。特許庁の判断と裁判所の判例には微妙な違いが見られる。特許庁の審査は,ある程度の技術内容の開示があれば,比較的広い範囲での請求項が認められる。しかし,権利解釈などの裁判になると具体的な実施態様に限定される傾向が見られる。特許調査や発明を捉える際の影響を考えると,技術的内容を何処まで細かく,必要十分な範囲または観点で取り組むべきかが重要になる。調査であれば技術用語による全文検索を,発明開示であれば出来得る限りの下位概念をしっかりと実施態様に述べることが求められる。
著者
津村 一美 渡邊 裕之 橋本 昌美 嘉治 一樹 高橋 美沙 重田 暁 千葉 一裕 月村 泰規 見目 智紀 高平 尚伸
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.41 Suppl. No.2 (第49回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0965, 2014 (Released:2014-05-09)

【はじめに,目的】棘上筋の筋活動を高める方法として,従来からEmpty can training(ECT)が実施されている。ECTは棘上筋が働きやすい肢位で実施されるため,棘上筋に対して効果的なトレーニング方法であり,他の棘上筋トレーニングと比較しても,棘上筋のより高い筋活動が得られると報告されている。しかし,これらの報告の多くは横断的研究に基づいており,ECTの介入効果を検証した縦断的研究は少ない。そのため臨床現場では,経験則に基づいた治療方法として対象者に施行しているのが現状である。従来,棘上筋の機能評価として肩甲骨面挙上筋力の測定が実施されてきたが,近年では棘上筋の正確な評価が困難であると報告されている。一方で高橋らの報告より,棘上筋筋活動と棘上筋筋厚との間に相関関係があり,筋厚測定が筋活動を反映することが明らかになっている。そこで,本研究は筋厚を測定することにより,ECTが棘上筋筋活動に及ぼす影響を検証し,介入効果を明らかにすることを目的とした。【方法】対象は肩関節疾患の既往がない成人男性15名(年齢20.8±0.9歳)の30肩とした。対象者の年齢,身長,体重,利き手,スポーツ歴を聴取した。トレーニング介入前に棘上筋筋厚,最大等尺性肩甲骨面挙上筋力を測定した。対象者は週5日,6週間にわたりECTを実施した。トレーニング介入後にトレーニング介入前と同様の項目を測定した。棘上筋筋厚測定は超音波画像診断装置(SSD-4000,ALOKA)を用いて行った。肩甲棘長を100%とし,肩甲棘基部から外側へ10%の部位を測定位置とした。測定位置において,プローブを肩甲棘に対して垂直に固定し,棘上筋の短軸画像を描出した。浅層筋膜と深層筋膜との最大距離を棘上筋筋厚として測定した。棘上筋筋厚は各2回測定し,平均値を採用した。測定肢位は座位とした。測定条件は肩関節内旋位,肩甲骨面挙上30°にて他動保持時とセラバンド負荷時の2条件とした。なお,2kg負荷はセラバンドを用いて手関節近位部に負荷した。最大等尺性肩甲骨面挙上筋力測定は肩関節内旋位,肩甲骨面挙上30°での肢位にて測定した。検者はHand-held dynamometer(μ-tas F-1,ANIMA)のセンサーを手関節近位部に固定し,対象者は3秒間の最大等尺性収縮を肩甲骨面上で2回発揮し,平均値を採用した。ECTは,手関節近位部にセラバンドを固定し,肩関節内旋位にて肩甲骨面0°~30°挙上位までの反復運動を実施した。1回の運動を2秒で完遂し,20回を1セット,インターバルを1分として,1日に3セットを実施した。検者は週2日,代償動作が生じずに適切な肢位でトレーニングを実施できているかを確認した。統計学的解析にはWilcoxonの符号付順位検定を用い,棘上筋筋厚および最大等尺性肩甲骨面挙上筋力をトレーニング介入前後で比較した。なお,すべての解析において有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮,説明と同意】本研究は同学研究倫理審査委員会の承認を得て実施した(承認番号:2012-014)。なお,対象者には書面にて同意を得た。【結果】棘上筋筋厚は他動保持時,セラバンド負荷時の条件において,トレーニング介入前と比較し,トレーニング介入後に有意に増大した(p<0.01)。最大等尺性肩甲骨面挙上筋力はトレーニング介入前後で有意な変化を認めなかった(p>0.05)。【考察】先行研究より,筋厚は筋活動を反映すると報告されていることから,トレーニングによる棘上筋筋厚の増大は棘上筋筋活動の増加を示唆していると考えられた。しかし,最大等尺性肩甲骨面挙上筋力に変化は認められなかった。最大等尺性肩甲骨面挙上は,運動時に三角筋による張力加重が生じるため棘上筋の筋張力に対する寄与は少ないと報告されている。そのため,最大等尺性肩甲骨面挙上筋力測定は,棘上筋の機能向上を反映する指標としては不十分であり,トレーニング介入前後で変化が認められなかったと考えられた。今回の研究では,対象者を健常成人男性とし,ECTの介入効果を検証した。しかし,実際に臨床で棘上筋トレーニングを実施する対象は,腱板断裂や反復性脱臼等の疾患を有する者である。そのため,今後は,実際に棘上筋の機能を高める必要のある対象者に対しトレーニングの効果を検証していく必要がある。また,ECTと同様に,従来から実施されてきたFull can trainingとの比較を検討し,臨床現場において,それぞれのトレーニングをどのような特徴のある患者に適応させるのかを検討していく必要がある。【理学療法学研究としての意義】ECTによる治療介入に対して,棘上筋筋活動量の向上が認められ,理学療法としてのエビデンスを構築する一助となった。
著者
梶原 栄二 重田 暁子 堀内 浩幸 松田 治男 古澤 修一
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.607-614, 2003-05-25
被引用文献数
21

鶏ではファブリキウス嚢(BF)がB細胞の分化に重要な組織であるが,一部の哺乳動物では回腸バイエル氏板(PP)などのgut-associated lymphoid tissue(GALT)が嚢相当組織であると考えられている.鶏GALTにはPPも存在するし,また盲腸扁桃(CT)などの存在も知られている.しかしながら,これらの組織とBF濾胞でのB細胞発生の関係は検討されていない.そこで本研究では胚発生におけるPP,CTとBF濾胞形成を免疫組織化学的染色により比較した.その結果,BFでは13日胚でMHC class II陽性細胞のリンパ濾胞への移入開始と少数のB細胞の集族が,15日胚以降でB細胞のさらなる濾胞移入が観察されたが,同じ13日胚でMHC class II陽性細胞の集族,Bu-1陽性細胞およびIgM陽性細胞の出現(PPとCTの原基)が腸管で初めて観察された.15日胚ではMHC class II陽性細胞,Bu-1陽性細胞およびIgM陽性細胞の数も増加した.これらの胚発生時期のPPの出現は,メッケル憩室付近と盲腸・回腸分岐部付近の2箇所に限定されていた.さらに,BF濾胞形成を完全に阻害させた場合でもPPとCTの原基が観察された.本研究により,鶏のPPやCTの形成はBF濾胞形成や外来抗原の刺激に依存することなく,胚発生の段階でBF濾胞形成と平行して行われている事が明らかになった.