著者
五味 二郎 光井 庄太郎 工藤 康之 赤坂 喜三郎 小野 康夫 木村 武 川上 保雄 野口 英世 宮本 昭正 牧野 荘平 可部 順三郎 石崎 達 中島 重徳 熊谷 朗 野崎 忠信 富岡 玖夫 伊藤 和彦 斧田 太公望
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.22, no.9, pp.599-612,614-61, 1973

気管支拡張剤ST1512(S群)の成人気管支喘息に対する薬効につき, metaproterenol(A群)およびinactive placebo(P群)を対照として, 頓用, 連用効果につき, 9施設による2重盲検試験を行った.open trialの結果から, Fisherの直接確率計算法により, 1群につき36例となり, 並列3群にあてはめれば3倍の108例前後の症例数でよいと考えられたため, 105例に達した時点で中間点検を行った.全例104例であり, S群34例, A群36例, P群34例で, 3群間にはback groundにおいて有意差はなかった.試験方法は, S群1錠(1mg), A群1錠(10mg), placebo1錠を投与し, 前および1時間後の自他覚症状, 肺機能を検した.医師の総合判定につき, H-test, U-testを行い, S群とP群間に危険率0.5%以下の高度の薬物差を認めたが, 危険率5%でS群とA群とP群間には有意差は検出されなかった.ついで薬効差につき, 詳細な3群判別分析を行い検討も行った.
著者
鶴井 一純 野崎 忠 佐藤 朗好 長谷部 昭雄 前田 貴 渡部 一郎 丸山 進平
出版者
日本食品化学学会
雑誌
日本食品化学学会誌 (ISSN:13412094)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.120-129, 1998-11-30

プロピオン酸は、香料及び保存料として使用できる食品添加物であるが、独特の香気のため添加使用量は少い。食品添加物であるプロピオン酸の純度試験の一つである易酸化物試験について、第6版食品添加物公定書(Japanese Standards for Food Additives (JSFA))及びFAO/WHOによるConpendium of Food Additive Specification (CFAS)では「本品2.0mlを量り、水10mlを加えて溶かし、0.1N過マンガン酸カリウム溶液0.10mlを加えるとき、液の紅色は、30分以内に褐色に変わらない。」とされている。この試験法においては「液の紅色が褐色に変化しない限り無色であっても合格」としばしば誤って判定されるケースが起こっている。過マンガン酸カリウムが速やかに消費され反応液が無色透明になることは逆に「易酸化物」が多いということを示すものであり、石綿等は、「易酸化物」含量がより明確に測定できるFCC試験法への転換を提案している。本研究では、プロピオン酸の純度試験として、より適した易酸化物試験法を検討することを目的に、日本国内及び広く海外で食品添加物として流通しているプロピオン酸を試料としてJSFA、CFASおよび米国Food Chemicals Codex(FCC)に収載されているプロピオン酸の「易酸化物」測定法について比較検討を行った。同時に「易酸化物」を特定することも試みた。検討の結果、食品添加物として日米欧で流通しているプロピオン酸において含量の多い不純物は、プロピオン酸エチル、エタノール、酢酸等であり、「易酸化物」に相当すると考えられるギ酸やアルデヒド類、ケトン類等の含量は極めて少ないことが判った。なお、本検討からは原料であるプロピオンアルデヒドの存在をGC分析によって確認することができなかった。一方「易酸化物」を測定する方法の検討結果からは、臭素法(FCC)はプロピオン酸中の「易酸化物ギ酸」を定量的に測定できる方法であるが、一方アルデヒド類に対しては定量性が全くない方法であること、これに対し過マンガン酸カリウム法(JSFA, SFAS)は、ギ酸以外の「易酸化物類」を測定できる方法であるが、ギ酸は全く測定できない方法であること等が判った。