著者
野崎 泰伸
出版者
大阪府立大学
雑誌
人間社会学研究集録 (ISSN:1880683X)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.3-19, 2006-03-31

What determines the content of justice? The consensus among subjects, justified by social contact, is one answer to this question. Current liberalism maintains that consensus is constructed by social contract - but does the principle of consensus among subjects really lead to the theory of justice? It is important to notice that the current theory of consensus implies that those who cannot satisfactorily participate in consensus are no longer subjects. This article insists that justice should not be based on consensus, but understood as a process of falsification, implying that justice should also remain provi sional.
著者
立岩 真也 田中 耕一郎 田中 恵美子 深田 耕一郎 土屋 葉 長瀬 修 山下 幸子 渡辺 克典 廣野 俊輔 天田 城介 堀 智久 岡部 耕典 荒井 裕樹 野崎 泰伸 杉野 昭博
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2017-04-01

◆インタビュー調査を行った。石田圭二、佐藤一成、堀利和、斎藤縣三、本間康二、古込和宏、Gudion Sigurdsson、Conny Van der Mejiden、Danny Reviers、坂川亜由未、高橋咲緒、平井誠一、近藤秀夫、樋口恵子、奥平真砂子、小林敏昭、他。「共同連」関係者については公開インタビューとした。音声記録を文字化した。◆1980年代からの聞き取りの録音記録、文字記録を整理し、リストを作成した。一部の録音記録については文字化した。◆手をつなぐ親の会、りぼん社等から雑誌、機関紙、書籍、等の寄贈を受け、整理・配架した。◆『共生の理論』、『にじ』、『バクバク』、『ノーマライゼーション研究』、『障害児を普通学校へ』等の、既に収集してある機関紙・書籍、また新たに購入・入手したものについて、整理し、必要なものについてはデータベースを作成した。一部についてHPに書誌情報他を掲載した。◆1970年代から2011年の東日本大震災前後の東北・福島における障害者運動の推移をまとめる本の準備作業を行った。◆韓国、中国、台湾、アイスランド、ノルウェー、オランダ等における運動の動向について、韓国で開催された障害学国際セミナーにおいて、また研究代表者・分担研究者が韓国(光州・ソウル他)、ボストン、中国(武漢)等を来訪し、講演・学会参加した際に、運動や運動史に関する情報を提供し、また入手した。◆立岩真也編『リハビリテーション/批判――多田富雄/上田敏/…』(2017)を刊行した。その他、論文を公刊し、学会報告・講演等を行った。◆海外の難病に関わる運動を担う人について英語のHP頁を作成した。立岩『ALS』の関係する章を英訳してHP掲載した。◆以上すべての作業履歴・業績についてhttp://www.arsvi.com/d/hsm.htmに詳細な作業履歴・業績についての情報がある。
著者
野崎 泰伸
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.202-209, 2005-09-19 (Released:2017-04-27)
参考文献数
28

生命の価値をめぐる議論は、規範倫理学上における義務論と功利主義との対立に並行する形で、しばしば二つの陣営に分かたれ、対立してきた。一方は生命の神聖性という立場であり、他方は生命の質という立場であるとされる。しかし、この二つの対立図式は完全には重なり合わないことをまず主張する。次に、選好功利主義の立場から「人格なき生命」を「生きるに値しない生命」であると断じ、そのような生命を殺すことを正当化するピーター・シンガーの論理を批判的に検討する。けれども、功利主義のある側面は、まさに生存を守っていくためにこそ使われる可能性があり、その可能性を示唆する。そのために、アマルティア・センが行った功利主義の内在的批判を検討する。そして、生存のための必要を擁護し、生存のための有意味なコストの社会的分配を擁護する。それは、生命を選別するための負担にはつながらない。