著者
佐々木 豊史 宮崎 浩一 野村 哲史
出版者
応用統計学会
雑誌
応用統計学 (ISSN:02850370)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, pp.113-128, 2006-12-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

本研究は,ヨーロピアン・コール・オプションの評価において,次の2つの問題にアプローチするものである.第一の問題は,原資産収益率プロセスが生成する確率分布として正規分布以外の分布を採用した場合に,その確率分布を仮定したオプション価格を,正規分布と高次キュムラント(3次,4次)を用いた確率分布を仮定したオプション価格によってどの程度近似できるか?第二の問題は,ジャンプ成分を含む原資産収益率プロセスが生成する確率分布(MertonのJump-Diffusionモデル,以下MJDモデル)に基づくオプション評価においてどの程度の強さで中心極限定理が働くか?について高次キュムラントの観点から考察することである.第一の問題に対しては,MJDモデルが生成する確率分布を,4次までのキュムラントを用いたEdgeworth展開によるオプション評価近似式を導いたうえで,正確なオプション価格との比較を数値実験によって試みる.第二の問題に対しては,MJDモデルによる一日の原資産収益率を表す確率分布をN回畳み込んだ確率分布がN日の原資産収益率の確率分布であることに着目して,オプションの残存期間Nが大きくなるに従って中心極限定理が働き,MJDモデルによるオプション価格がBS価格に近づくスピードを数値実験により確認する.また,このオプション価格の収束において3次,4次のキュムラントの影響がどの程度であるかも合わせて検討する。数値実験結果からは,本オプション近似評価モデルの精度は,オプション満期がごく短い場合を除いて相応に高いこと,また,オプション評価において中心極限定理が働くものの,オプションの満期が100日以下の場合には,高次キュムラントの影響を無視することはできないことがわかった.
著者
野村 哲郎 祝前 博明
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

自然選択は、生物の適応的進化を説明する上で中心的な役割を果たしてきた。しかしながら、野外で実際に自然選択が働いたことを示す実例は極めて少ない。本研究では、ナミテントウの鞘翅斑紋多型における地理的勾配ならびにその年代変化を全国規模で調べ、環境変化とくに気候の温暖化との関係について調査した。本州、四国および九州のほとんどの採集地において、過去60年の間に黒化型(二紋型、四紋型、斑型)の遺伝子頻度が上昇し、非黒化型(紅型)の遺伝子頻度が低下していた。遺伝子頻度に見られた変化は、採集地に近接した気象測候所における繁殖季節の気温の上昇と呼応する傾向を示した。これらの結果は、自然選択による小進化の一例になり得るものと考えられた。
著者
勝矢 淳雄 藤井 健 河野 勝彦 山岸 博 野村 哲郎 宇戸 純子
出版者
京都産業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

1.京都におけるバイオリージョナリズムの展開:地域との連携を通じて、小学生の社家屋敷の見学会、火星や月の観望会、シンポジウム、社家屋敷の特別公開を実施した。賀茂文化研究会を設立し、会誌「賀茂文化」を創刊した。(1)環境資産の保全・継承のための環境バンクの必要性、(2)リーダーの育成の困難さと方策、(3)活性化の方策としての新行事の意義を明らかにした。社家屋敷の見学会は上賀茂探検クラブに移行し、地元の行事として定着させた。バイオリージョナリズムの精神から地域との連携には研究者と地域住民の信頼関係が重要であり、実証的に明らかにした。環境学習の基礎調査も意図して、ナミテントウ集団の翅紋多型に関する調査を上賀茂などで行った。小進化が一定方向に変化しており、気候の温暖化が最も重要な原因である。上賀茂の中位、低位段丘上には、腐植に富む厚い暗色土層が分布し、非アロフェン黒ぼく土で、母材は非火山性物質である。上賀茂特産のスグキナなどに、マイクロサテライトDNAの変異による類縁関係の解析を行い、2つのグループに大別されスグキナはカブ、ハタケナなどと同一グループに属する。環境白書を素材に、環境問題への対処における環境倫理の役割を考察した。2.京都の風と降雨の特性と鴨川への意識:京都地域における風速と降雨量の年最大値を、その発現の原因となった気象擾乱を調べ、発生する線状降水帯の特性を明らかにした。鴨川について、上、中、下流の9つの小学校の6年生と保護者にアンケートを行い、子供たちはもっと鴨川で遊びたいと思っているなど鴨川への意識を明らかにした。3.川にかかわる生活文化と環境の調査:高齢者への聞き取り調査を実施し、過去の明神川への関わり、生活での利用実態を明らかにした。現在の明神川の上流から末端までの水辺空間構成と利用実態の調査および住民意識を調査した。明神川を舞台に「アートプロジェクト」の企画をたてた。
著者
吉水 守 野村 哲一 粟倉 輝彦 木村 喬久
出版者
北海道さけ・ますふ化場
雑誌
北海道さけ・ますふ化場研究報告 (ISSN:04410769)
巻号頁・発行日
no.42, pp.p1-20, 1988-03
被引用文献数
2

From September 1976 to November 1986, we collected 5,068 ovarian fluid specimens from 5 species of 10,028 females and 21 seminal specimens from 2 species of 155 males of mature salmonid fish, including to masu (Oncorhynchus masu), chum (O. keta), pink (O. gorbuscha), kokanee salmon (O. nerka) and rainbow trout (Salmo gairdneri) from 26 catching stations located in Hokkaido and 5 places in Honshu (the main island of Japan), 6 hatcheries in Hokkaido and 7 in Honshu and 10 fish farms and 1 lake in Hokkaido. Also, 161 mixed kidney and spleen specimens were taken from 805 of these fish. Furthermore, 139 tumor tissues observed among 4,288 fish were employed for virus inspection. Blood smears prepared from 660 fish were employed in microscopical examination for evidence of VEN, and thin sections of blood of these were observed by electron microscopy. Four viruses have been isolated during the course of this investigation. IHNV was found in ovarian fluid of chum salmon from Abashiri River in 1976. During the period from 1976 through 1986, IHNV has been recovered 9 times from fish at 7 collection sites. OMV was first discovered in 1978 from masu salmon at Otobe Salmon Hatchery. At all sites permitting collection of 60 specimens with the exception of 3 hatchery, OMV has subsequently been isolated from ovary fluid or from epithelial tumor tissue around the mouth of mature masu salmon. It has not been found in the other species of fish. Incidence of OMV has decreased since we suggested iodophore treatment at the eyed egg stage. CSV was isolated from the kidney of healthy chum salmon at Tokushibetsu Hatchery in 1978 but during the period from 1979 through 1986, CSV has not been found from mature fish. IPNV was isolated from tumor tissue of masu salmon at Aomori Prefectural Fisheries Experimental Station in 1981, at this time IHNV and OMV were isolated from the same tumor tissue.1. IHNVは頻度こそ低いものの広い範囲で時折分離された。本ウィルス検出時には早期に有効な対策を講じる必要のあることが示唆された。2. OMVは1978年の発見以来調査が進むにつれサクラマスあるいはヤマベを中心に広範囲での分布が明らかとなり,サクラマスの増養殖を計るに際し無視し得ないウィルスであることが明らかとなった。3. CSVは従来オルファンウィルスとされてきたが,1986年にサクラマスの全滅被害が発生し,本ウィルスに対しても今後十分注意を払う必要があると考える。4. 道東のシロサケ,カラフトマス中心にVENウィルス感染が明らかとなり,冷後本ウィルスの分布およびサケ科魚類に及ぼす影響についても検討する必要があると考える。