著者
鈴木 有美 木野 和代
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.487-497, 2008-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
35
被引用文献数
49 34

本研究の目的は, 共感性の多次元的アプローチに従い, 他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度 (MES) を作成し, その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し, 質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果, 5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数, I-T相関係数, 再検査信頼性係数などの結果から信頼性を検討した。また, 既存の共感性尺度および共感性との関連が予想される概念を測定する尺度との相関から妥当性を検討した。今後, 自我発達との関連など認知・情動反応傾向の指向性を規定している要因の検討を進めることが, 共感性に関する応用研究において有益と考えられる。
著者
鈴木 有美 速水 敏彦
出版者
日本感情心理学会
雑誌
感情心理学研究 (ISSN:18828817)
巻号頁・発行日
vol.23, no.1, pp.23-31, 2015-09-30 (Released:2015-10-08)
参考文献数
38
被引用文献数
1 1

Focusing on the argument of which assumed competence was derived from the motivation of self-enhancement for the ego-threatened person, the present study elucidated its relationship to anxiety, defense mechanism, subjective well-being, and hopelessness. In the first study, 354 undergraduates were classified into 4 competence types based on crossing scores of the Assumed Competence and Self-Esteem scales: atrophic, self-esteemed, omnipotent, and assumed. Those who were categorized in assumed competence type rated the highest on anxiety and coped with their ego-threat on immature defense level. In the second study, a self-report questionnaire was administered to 300 undergraduates to examine the relationships among assumed competence, self-esteem, subjective well-being, and hopelessness. The results clarified that their mental health varied not solely with a tendency of undervaluing others but with self-esteem. Discussed were some issues for future research in terms of training programs exerted to cope with ego-threats on mature defense level, to protect self-esteem, and then to improve well-being for adolescents.
著者
鈴木 有美 木野 和代
出版者
日本グループ・ダイナミックス学会
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.125-133, 2015 (Released:2015-03-26)
参考文献数
39
被引用文献数
1 3

本研究は,ウェルビーイングの検討において共感性を考慮する重要性に着目し,特に共感性の感情的側面である共感反応の他者指向性―自己指向性の違いに焦点を当ててウェルビーイングにおける差異を検討した。大学生210名を対象とした相関分析の結果から,他者指向的な共感反応傾向および社会的スキルの高い者ほど日常生活や対人関係で満足している一方,自己指向的な共感反応傾向が高く社会的スキルの低い者ほどディストレスの多い傾向が明らかとなった。また,他者/自己指向的な共感反応および社会的スキルにより分析対象者を4クラスタに分類し,ウェルビーイングの差異を検討した分散分析では,他者指向的な共感反応傾向が高く,自己指向的な共感反応傾向が低く,社会的スキルの高いクラスタのウェルビーイングが良好であった。これらにより,自身のウェルビーイングを維持するためには,社会的スキルが高いというだけでなく,他者指向的に共感すると共に自己指向的に共感しない重要性が示された。
著者
鈴木 有美 木野 和代
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.487-497, 2008-12-30
被引用文献数
17

本研究の目的は,共感性の多次元的アプローチに従い,他者の心理状態に対する認知と情動の反応傾向をそれぞれ他者指向性-自己指向性という視点から弁別的に測定しうる多次元共感性尺度(MES)を作成し,その信頼性と妥当性を検証することであった。先行研究における概念定義の議論および既存尺度の構成を概観し,「他者指向的反応」「自己指向的反応」「被影響性」「視点取得」「想像性」の5つの下位概念を設定した。これらを測定する項目を作成し,質問紙調査を実施した。大学生871名から得られた回答について因子分析を行った結果,5つの下位概念に対応する5因子が得られた。α係数,I-T相関係数,再検査信頼性係数などの結果から信頼性を検討した。また,既存の共感性尺度および共感性との関連が予想される概念を測定する尺度との相関から妥当性を検討した。今後,自我発達との関連など認知・情動反応傾向の指向性を規定している要因の検討を進めることが,共感性に関する応用研究において有益と考えられる。
著者
鈴木 有美
出版者
名古屋大学
雑誌
名古屋大学大学院教育発達科学研究科紀要. 心理発達科学 (ISSN:13461729)
巻号頁・発行日
vol.49, pp.145-155, 2002-12-27
被引用文献数
1

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