著者
鎌倉 友男 酒井 新一
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review (ISSN:18820875)
巻号頁・発行日
vol.1, no.3, pp.3_37-3_43, 2008-01-01 (Released:2011-03-01)
参考文献数
17
被引用文献数
2 2

例えば,交通バリアフリー関連での音による注意喚起や的確な歩行誘導に,また展示会場における各ブースごとの個別案内に適用でき,その周囲の静音化が達成できる超指向性パラメトリックスピーカの開発に取り組んだ.このスピーカは超音波の非線形現象を積極的に応用するところにアイデアがあるが,これを実現するには,物理をはじめとして,音場解析を目的とした数学,ひずみの少ない可聴音を得るための最適な超音波変調方式や電子回路技術など,多方面からの検討が必要である.音環境の改善や整備を目的としたパラメトリックスピーカの開発過程の一端を紹介したい.
著者
鎌倉 友男 阿比留 巌 熊本 芳朗
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.802-809, 1990-10-01
被引用文献数
2

音波の吸収、回折、非線形効果を集約したKZK放物形波動方程式を数値解析することで、1周期の正弦波パルスが伝搬するに際し発生する波形歪を追跡した。初期波形、特に符号のみ異なる正及び負で立ち上がるパルスに対して、波形の変化のみならずパワースペクトルの変化についても言及した。広帯域なパルス波においては1次波と2次波のスペクトルが重畳し、周波数成分間の非線形相互作用や回折効果の違いにより複雑な波形変化をする。初期信号の符号のみを変えることでこのような歪んだ波形から1次波と2次波を分離することができ、この手法について実験結果を加えて議論した。
著者
谷嵜 徹也 上田 浩次 村部 敏彦 野村 英之 鎌倉 友男
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.133, no.5, pp.558-565, 2013-05-01
参考文献数
12
被引用文献数
1 1

Traffic regulations mandate the use of winter tires in the interests of smooth traffic flow during heavy snow days. In this situation, road administrators must visually inspect vehicles to ensure summer tires are not being used on expressways. However misjudgment is unavoidable only by visual inspection and heavy traffic jams eventually occur. To avoid such traffic jams, an automatic tire discrimination system is required. In this report, we propose a simple method of discrimination between summer and winter tires using tire/road noises emitted by running vehicles, and evaluate the relationship between road surface roughness and the impact noise patterns of winter tires. Additionally, we consider the influence of road surface conditions such as dry and wet surfaces on the proposed discrimination method. Finally, we confirm the effectiveness of the discrimination system in the field using a number of vehicles with different tires.
著者
鎌倉 友男
出版者
社団法人 日本流体力学会
雑誌
日本流体力学会誌「ながれ」 (ISSN:02863154)
巻号頁・発行日
vol.16, no.3, pp.226-231, 1997-06-30 (Released:2011-03-07)
参考文献数
8

It is commonly remarked that the theory of acoustics is based on an infinitesimal theory and the linear relation between sound pressure and particlevelocity is well understood for a description of sound propagation in a fluid. The relation does not hold when the amplitude of sound wave is increased to be finite. A brief survey on 'Nonlinear Acoustics' is presened here which forms a bridge between the linear acoustics and the theory of shock wave. Nonlinear acoustics is concerned with a study of the second order phenomena generated in sound beams due to the inherent nonlinearity of the medium. The main topics described here are waveform distortion, acoustic streaming, and acoustic radiation pressure. Other interests such as cavitation are included but not presented in this survey.
著者
越智 寛 渡邊 佳孝 志村 拓也 鎌倉 友男
出版者
一般社団法人 日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.63, no.10, pp.593-599, 2007-10-01 (Released:2017-06-02)
参考文献数
13

画像等のデータを数百メートル離れて高速に水中音響通信するための基礎実験を行った。まず,広帯域伝送を行うため,中心周波数80kHz,帯域幅25kHzのコーン型指向性の送波器を試作した。この送波器を用いて水深1,300mの海域において,深度1,100mに受信機を吊下し,更に90m下に吊降ろした送信機から伝搬させた音響信号を記録した。変調方式に32値直交位相振幅変調を適用することにより,伝送速度100kbpsのデータ伝送に成功した。また,2チャンネル受信方式を適用することにより,シングルチャンネル時に比較して約3dBの性能改善が見られ,水中通信における有効性を示した。そして,23dB程度のSNRにおいて,ほぼ誤りのない通信が可能という結果を得た。
著者
鎌倉 友男
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1997, pp.282-283, 1997-08-13

本来, 音波の伝搬過程は非線形であるが, 日常経験する音の大きさでは大気圧のせいぜい1O^<-5>程度で, 線形化して記述しても十分である. しかし, 音圧が高くなり音響マッハ数が増すと, 音速は媒質の密度とともに速くなるので, 波面は伝搬につれて次第に急峻化し, 衝撃波が形成されるようになる. ことに, 爆発に伴うような大きな圧力変化では, 急峻な波面が容易に形成され, その波面を境に圧力, 密度が急激に変化する極限領域ができる. このような強い衝撃波と, 微小振幅の仮定から出発し, 線形理論に立脚した従来の音響学を補完する橋渡し的存在が, 非線形音響学(Nonlinear Acoustics)の位置づけである. ここで, 非線形音響現象の中でも, 波形歪み, 音響放射圧, そして音響流について, システムへの入出力特性との関連性を交えながら紹介する.
著者
三浦 聡一郎 塚田 隆裕 野村 英之 鎌倉 友男 谷嵜 徹也 上田 浩次 宇佐見 順二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. US, 超音波 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.387, pp.53-57, 2013-01-17

降雪や路面凍結によるスリップ事故は絶えることがない.これを防ぐために冬タイヤ規制が各路面で展開されているが,人員による目視判断によって行われているため,作業員の肉体的負担に伴う誤判定,車両の一時停車による渋滞等が発生している.そこで,我々は車両走行時にタイヤ/路面の接触に伴って発生する路面振動を収集し,周波数解析などから夏/冬タイヤの判別を行った.この結果,両タイヤの識別が可能という指針を得た.
著者
愛甲 英寿 野村 建太 青木 健一 鎌倉 友男 酒井 新一 JOLY Vincent
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. EA, 応用音響 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.107, no.470, pp.35-40, 2008-01-22
被引用文献数
3

オーディオ信号で振幅変調された有限振幅超音波の自己復調効果を利用したパラメトリックスピーカは,超指向性音響システムへの応用が有望である.いままでに,このスピーカは技術開発されてきたし,実用に供してきている.しかし,まだいくつかの課題が残っている.特に,音質の不十分さや電気から音響への低変換効率についての改善は,更なるパラメトリックスピーカの応用に是非必要である.われわれは,前者の課題に対して,ウィーバ(Weaver)のSSB方式を用いたダイナミックなキャリヤ変調を提案する.本レポートは,プロトタイプのウィーバ変調器を用い,歪みとリニアリティの観点から,理論的および実験的に,差音など2次波の音場特性を議論する.