著者
望月 廣 山之内 博 東儀 英夫 朝長 正徳
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.382-387, 1980-12-25 (Released:2009-09-03)
参考文献数
5
被引用文献数
1 1

1017剖検例を用いて脳底部動脈のvariationを検討し, 下記の結果を得た.1) 前大脳動脈に左右差を示すvariationは57例 (5.6%), 左優位型38例 (3.7%), 右優位型19例 (1.9%) であった.1側の中大脳動脈から前交通動脈までが痕跡で血流に関与していないものは57例 (5.6%), 左12例 (1.2%), 右45例 (4.5%), と高頻度にみられた.2) 前交通動脈のvariationは従来の本邦での報告に比して少なく, 欧米の報告に近似していた.3) 後大脳動脈のvariationは胎児型307側 (15.1%), 移行型214側 (10.5%) であった.両側胎児型を77例 (7.6%) と高頻度に認めた.4) 椎骨動脈に左右差をみるvariationは282例 (27.7%) で, 左優位型 (187例, 18.4%) が右優位型 (64例, 6.3%) に比し有意に多かった.椎骨動脈の低形成7例 (0.7%, 左3例, 右4例) と, 椎骨動脈が後下小脳動脈を分枝した後に痕跡となり脳底動脈の血流に関与しないnonunion14例 (1.4%, 左6例, 右18例) の頻度をあきらかにした.
著者
朝長 正徳
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.23, no.3, pp.259-263, 1986-05-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
7

ヒトが他の動物とことなり長寿を獲得した背景にすぐれた脳の働きがある. 実際に, 高齢でも知的機能のよくたもたれた人もすくなくない. この様な優秀高齢者の脳について検討し, 最近の研究成果をレビューした.1. 老年者では結晶性能力はよくたもたれる.2. 脳重を体重比にすると他臓器とことなり加齢による減少が少ない.3. PETによる脳の左右半球および局所のブドウ糖利用に加齢による減少がない.4. 海馬における神経細胞の樹状突起の計測では若年者よりも老年者でよく発達していた. 老動物の神経細胞でも突起を伸す能力がある.5. 知的能力のたもたれた超高齢者では脳の老年変化は著しいが, その神経突起は同年代のものに比して極めてよくたもたれていた.6. しかし, 一般に知能のたもたれた老人では老人斑や軟化巣などはすくない.7. 視神経萎縮例 (高度の視力異常) では, そうでない例に比して脳重が軽い. したがって, 脳血管障害, 老年痴呆, 感覚器障害などの脳の老化を促進するリスクを制御することにより, 高齢まで知能はたもたれると考えられる.
著者
下手 公一 朝長 正徳 葛原 茂樹 山之内 博 吉村 正博 小林 祥泰 木谷 光博 山下 一也 村田 昭博 藤原 茂芳 恒松 徳五郎
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.24, no.6, pp.513-518, 1987-11-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
10

小脳の加齢に伴う萎縮に関する報告はいくつかあり, すでに我々も, 20歳代から70歳代の正常人でCTにおける小脳の加齢性萎縮は, 大脳に比べて軽度認められることを報告している. 今回は, 臨床的及び病理学的に痴呆, 中枢神経系の病変を有さない60歳から102歳の正常老年者の剖検脳142例を対象として, 小脳の加齢性萎縮及び動脈硬化と小脳萎縮との関係について検討した.脳切時に小脳虫部, 小脳半球断面をコピーし, パーソナルコンピューターに接続した Digitizer で断面積を計測し, さらに, 小脳半球のプルキンエ細胞数や脳重量, 小脳重量も計測して, それぞれ年齢との関係を検討した. また, 椎骨脳底動脈系の動脈硬化を(-)から(2+)に分類して, 小脳萎縮との関係を検討した. 結果は, 脳重量, 小脳重量, 小脳虫部断面積, 小脳半球断面積のいずれにおいても年齢と有意の負の相関を示し, 特に80歳を越えてから小脳の萎縮が著明になった. プルキンエ細胞数は, 小脳萎縮よりも早期から加齢に伴い著明に減少した. また, 椎骨脳底動脈系の動脈硬化が強くなるにつれて, 小脳萎縮も強くなり, プルキンエ細胞数も著明に減少した.以上より, 老年者において加齢及び動脈硬化は, 小脳萎縮の重要な因子であることが示唆された.
著者
朝長 正徳
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.16, no.6, pp.545-550, 1979-11-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
12
被引用文献数
6 8

青斑核は, 脳幹におけるメラニン含有神経細胞よりなる核であり, 呼吸調節, 排尿反射, 循環調節, 睡眠覚醒の調節, 情動, 記憶などと関連した機能が考えられている. 本報告では, 老人脳につき, 青斑核の加齢に伴う変化を検討し, 種々な老年期変性神経疾患の際の青斑核の病変とその意義について考察を加えた. 対象は東京都養育院附属病院連続剖検脳より抽出し, 光顕・電顕的に検索した.1) 神経細胞数の変化: 変性神経疾患を有しない60歳より105歳までの老人脳60例について, 青斑核のほぼ中心部での横断面でみられた神経細胞数を計測し, 60歳未満の12例のそれと比較した結果, 60歳以上, 神経細胞数は漸減し, 80歳以上では54%の減少を示した.2) 神経原線維変化および Lewy 小体: 神経原線維変化は, 60~90歳代では10~20%にみられ, 100歳以上では100%にみられた. 電顕的には, 大脳皮質にみられるものと同じ twisted tubule 構造を示した. Lewy 小体は, 90歳以上で33%にみとめられた. Lewy 小体出現例では, 神経細胞数の減少の著しいものが多かった.3) 変性神経疾患における変化: パーキンソン病, 多系統変性症 (OPCA, SND), 老年痴呆で著明な神経細胞数減少がみられた. 神経原線維変化の多発する進行性核上性麻痺の2例では減数はみられなかった.4) 高血圧, 脳出血との関係: 神経細胞数と高血圧, 脳出血の有無との間に関連はみとめられなかった. Lewy 小体出現例では, 高血圧, 脳出血のないものが多かった.以上より, 老年者では青斑核の変化は著しく, また, 老年期の変性疾患で障害されることが多い. これらの事実は, 老年者および老年期変性疾患における, 睡眠異常を含めて, 種々の自律神経症状に関連して来るものと考えられる.
著者
長 正徳
出版者
崇城大学
雑誌
崇城大学研究報告 (ISSN:21857903)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.1-3, 2008-03-01

ゼラチン溶液の電気伝導率のゼラチン濃度および温度依存性をゾル-ゲル転移温度を含む温度領域で測定した。全てのゼラチン溶液において,電気伝導率の温度依存性はゾル-ゲル転移温度近傍で異常を示さなかった。溶液の電気伝導率は溶媒自身の電気伝導率とゼラチン濃度依存性を表す関数の積で表わされることを見出した。これより,溶液の電気伝導率には溶媒中の自由水の部分が寄与していること,および各ゼラチン濃度での溶媒中の自由水の割合の評価ができることを見出した。