著者
翁長 正道 仲宗根 哲 石原 昌人 平良 啓之 比嘉 浩太郎 上原 史成 当真 孝 東 千夏 西田 康太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.38-41, 2021

<p>【症例】54歳女性.ステロイド関連の両大腿骨頭壊死症に対し前方アプローチで左人工股関節全置換術(THA)を行った.自宅退院後2日目,自宅のトイレに座っている際に左股関節痛が出現し,歩行不能となり救急外来を受診した.単純X線像で前方脱臼を認め,全身麻酔下に整復した.整復後3日目に院内のトイレで再脱臼し,再整復を行った.座位の骨盤側面単純X線像で深く座ると骨盤は23°後傾,浅く座ると骨盤はさらに39°後傾していた.再整復後は股関節可動制限装具を装着し,脱臼なく経過している.【考察】THA後に座位姿勢で前方に脱臼することは稀である.しかし,立位から座位で骨盤の後傾が大きくなる症例では,座位でカップの前方開角が増大し,前方脱臼のリスクがある.本症例は座位姿勢で骨盤が後傾し,カップの前方開角増大のため前方脱臼したと考えられた.</p>
著者
水田 康平 比嘉 浩太郎 西田 康太郎 高江洲 美香 宮田 佳英 仲宗根 哲 石原 昌人 翁長 正道 平良 啓之 東 千夏 上原 史成
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.54-57, 2021

<p>51歳男性.6年前に自己免疫性下垂体炎でステロイドパルス治療を受けた.その後,ステロイド補充療法をしていた.3年前に両股関節痛が出現し,MRIで両側大腿骨頭壊死症と診断し,人工股関節置換術を予定した.3週間前より間欠的に発熱を認め,両股関節痛が増悪し,近医より当院紹介され,精査目的に入院した.採血ではCRPは10.3mg/dlと炎症反応が高値であった.CTで股関節に液貯留を認め,化膿性股関節炎が疑われた.股関節穿刺で細菌培養が陰性であり,内科にてステロイド減量中であったため,副腎不全が疑われ,ステロイド内服増量を行った.その後,発熱や炎症反応は改善した.ステロイド内服を継続し,5か月後に人工股関節置換術を行った,術後半年,発熱や人工関節の緩みなく,独歩可能で仕事にも復帰し経過良好である,本症例では,発熱や炎症反応高値,股関節痛,関節液貯留を認め,化膿性股関節炎との鑑別に股関節穿刺が有用であった.</p>
著者
橋本 雄太 西田 康太郎 石原 昌人 仲宗根 哲 翁長 正道 平良 啓之 東 千夏 当真 孝 上原 史成 比嘉 浩太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.30-33, 2021

<p>31歳女性.コラーゲンタイプ2異常症による骨系統疾患あり.5年前より股関節痛認め,3年前に歩行困難となり,他院より紹介された.身長124cm,34kgと低身長で著明な可動域制限を認めた.単純レントゲンでは,両股関節とも関節裂隙は消失していた.CTでは,寛骨臼の低形成および大腿骨は短く,髄腔は扁平化していた.変形性股関節症の診断で右人工股関節置換術(THA)を行った.手術は側臥位後方アプローチで行った.Zimmer trabecular metal cup 38mmにオフセットライナーを用いて28mm骨頭を使用した.大腿骨はWagnar coneステムを用いた.術翌日よりリハビリテーションで歩行訓練を行った.術後1週目にステムの沈下を認めたが,進行はなかった.術後半年で左THAを行った.現在,術後2年経過し,カップやステムの緩みなく経過良好である.骨系統疾患に対するセメントレスTHAの際には,適切なインプラント選択には注意が必要であると思われた.</p>
著者
藤本 泰毅 西田 康太郎 東 千夏 比嘉 浩太郎 翁長 正道 松田 英敏 石原 昌人 仲宗根 哲 神谷 武志 當銘 保則
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.4, pp.864-866, 2020

<p>両側同時TKAは1回の入院・麻酔,医療コストの削減といった長所がある一方で,手術時間の延長,合併症の報告がある.当科における両側同時TKAの臨床成績を報告する.対象は2011年1月から2018年6月までに両側同時TKAを行った9例(男性4例,女性5例),原疾患は変形性膝関節症4例,関節リウマチ4例,特発性骨壊死1例,手術時年齢は63歳だった.調査項目は,平均手術時間,平均入院日数,術前後のJOA score,大腿骨脛骨角,膝関節ROM,術後の合併症とした.手術時間は平均251分,入院日数は34.6日だった.術前後でJOA scoreは43点が77点に,FTAは184°が177°に,ROMは伸展/屈曲-17°/102°が-2°/108°に改善した.術後の合併症は,表層感染1例,深部静脈血栓症2例,術後貧血1例等6例に認めた.両側同時TKAを安全に行うには年齢や合併症などを考慮しなくてはならない.</p>
著者
翁長 正道 仲宗根 哲 石原 昌人 平良 啓之 金谷 文則 高江洲 美香 宮田 佳英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.223-227, 2020

<p>【はじめに】THAにおいてナビゲーションを使用できない施設では,正確なカップ設置のために工夫をこらしている.今回,仰臥位前方アプローチTHA(DAA-THA)において3次元術前計画を行い,術中カップ設置支援デバイスと術中イメージを用いたカップ設置精度を検討した.【対象と方法】DAA-THAを行った125例159関節,平均62歳を対象とした.3次元術前計画では,カップは外方開角40°,前方開角10°,15°,20°のいずれかとした.術中イメージでカップの内方,上方位置を確認し,カップ設置支援デバイスを用いてカップを設置した.【結果】カップ外方開角(平均±SD)は40.5±3.1°で,前方開角は16.1±3.6°であった.カップ設置誤差は外方開角2.4±2.1°,前方開角2.5±2.2°であった.内外,前後,上下の設置位置誤差は,それぞれ2.7±1.9mm,3.2±2.4mm,2.9±2.4mmであった.【考察】ノンナビゲーションでもカップ設置角度は正確であったが,カップ設置位置の誤差は大きかった.</p>
著者
仲宗根 哲 石原 昌人 翁長 正道 金谷 文則 高江洲 美香 宮田 佳英
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.233-236, 2020

<p>【はじめに】転位の少ない骨盤輪・寛骨臼骨折に対するハイブリッド手術室の2D/3Dナビゲーションを用いた経皮的骨盤スクリュー固定術を検討した.【対象】対象は,49例(男性22例,女性27例),平均年齢66歳であった.全身麻酔後に術中CTを撮影し,既存の針生検用のアプリケーションでスクリュー軌跡の三次元術前計画を立てた.術中リアルタイムイメージ像にスクリュー軌跡を重層させ,軌跡に沿ってガイドワイヤー,スクリューを挿入した.【結果】平均手術時間115分(42~277分),出血量9.2 g(5~30 g),術中透視時間は平均15.5分であった.合計132本の経皮的スクリューを挿入した.血管,神経孔,関節内穿破はなかった.【考察】ハイブリッド手術室における2D/3Dナビゲーションによる経皮的骨盤スクリュー固定術は有用であった.一方,手術時間や放射線被爆に課題があると思われた.</p>
著者
山下 正文 橋本 隆寿 平川 俊彦 福島 武雄 朝長 正道 原 泰寛 河野 彬 田中 睦子
出版者
The Japan Neurosurgical Society
雑誌
Neurologia medico-chirurgica (ISSN:04708105)
巻号頁・発行日
vol.25, no.8, pp.613-619, 1985-08-15 (Released:2006-09-21)
参考文献数
17
被引用文献数
1 2

To evaluate the usefulness of 5'-deoxy-5-fluorouridine (5'-DFUR) therapy for brain tumor, the pharmacokinetics of 5'-DFUR and 5-fluorouracil (5-FU) in the tumor, in the white matter surrounding the tumor and in the serum were investigated, and the thymidine phosphorylase, the main activating enzyme of 5'-DFUR in human tissues, was also studied. Materials were obtained from 24 cases of primary brain tumors and from 4 cases of metastatic carcinoma. During the operation 500 or 1, 000 mg of 5'-DFUR was administrated intravenously, and blood, tumor tissue and white matter were taken mainly within 60 minutes and partly within 180 minutes after intravenous administration of 5'-DFUR. In some cases samplings were performed serially. Concentrations of 5'-DFUR and 5-FU were measured by high performance liquid chromatography, and thymidine phosphorylase activity in tissue extracts was obtained against d-thymidine and/or 5'-DFUR as substrates. The concentrations of 5'-DFUR and 5-FU in serum decreased immediately in an exponential mode after intravenous administration of 1, 000 or 500 mg of 5'-DFUR. High concentrations of 5'-DFUR and 5-FU in the tumor tissues were noticed in malignant tumors, such as glioblastoma, ependymoma and chondrosarcoma, and 5-FU concentrations in the tumor in two cases of glioblastoma and one of ependymoma were higher than that in their sera. An important characteristic of 5'-DFUR was that it was converted to 5-FU in various tissues predominantly in malignant neoplasms. Thymidine phosphorylase activity was more prominent in glioblastoma, metastatic carcinoma and chordoma. Although the 5'-DFUR concentration in white matter was considerable, the 5-FU concentration was negligible suggesting low enzyme activity. An effect of 5'-DFUR therapy on malignant brain tumor should be expected from the high concentration of 5' DFUR and 5-FU in the tumor tissue. However, these high concentrations rapidly decreased, therefore, the appropriate mode of prescription of 5'-DFUR should be considered in clinical practice.
著者
今永 正明 長 正道 吉田 茂二郎 中島 ネルソン 上杉 基
出版者
鹿児島大学
雑誌
鹿児島大学農学部演習林報告 (ISSN:03899454)
巻号頁・発行日
vol.23, pp.177-185, 1995-10-20

ブラジル3都市で住民の森林観について調べた。調査はすでに原生林のほとんどを失ったサンパウロ州とパラナ州と原生林の豊かなアマゾナス州の州都,サンパウロ市,クリチバ市とマナウス市で行った。調査対象者は一般市民1,195人,高校生477人である。調査の結果以下の点が明らかになった。1.ブラジル人の好む旅行先は「広い砂浜」である。2.彼等の森林への関心はヨーロッパのドイツ人やフランス人ほどではないが,日本人より少し高いと思われる。3.ほとんど9割のブラジル人が大きな古い木をみたとき,神々しい気持をいだき,深い森へ入ったとき神秘的な気持をいだく。従ってブラジル南部でそうした木や森を失った痛手は大きく,今後の樹木や森林の取扱いは十分慎重に行わなければならない。4.都市間の差はサンパウロ市,クリチバ市間では少ないが,この両市とマナウス市との間には差が認められる。