著者
神戸 幸司 小田 佳史 宮地 裕之 細野 ひかる 小栗 早智 森 祐哉 丸岡 由衣 土井 麻由美 黒川 大樹 浦濱 善倫 大石 秀人 長谷川 俊典
出版者
特定非営利活動法人 日本急性血液浄化学会
雑誌
日本急性血液浄化学会雑誌 (ISSN:21851085)
巻号頁・発行日
vol.9, no.2, pp.121-124, 2018-12-01 (Released:2022-01-18)
参考文献数
6

今回偶発性低体温に対して血液透析にて復温した3症例を経験した。症例は,70~80歳代の男性。重症度は,軽度から重篤であった。軽度症例に対して,体外復温法を施行しながら早期改善を目的として,血液透析にて2.0℃/hr上昇を目安に体内復温法を併用した。2時間目にて全身発汗,不整脈,意識消失などのショックを生じた。この症例を踏まえ最重症例では,急速な復温による心室細動惹起などのリスクを避けるため透析液温を34℃,血液流量80mL/minから開始し直腸温30℃,意識改善を目安に終了した。サーモグラフィーFLIR i3(フリアーシステムズ社)を用いて脱血・返血側回路温を測定し,的確に透析液温を変更しながら管理した。復温による副作用の予防に,復温速度と慎重な体温管理が必要と思われた。
著者
原 正美 長谷川 俊史 松原 知代 山口 公一 百瀬 希美 古川 漸
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.155-160, 2013-04-25 (Released:2016-01-29)
参考文献数
3

Regardless of the consumption of the same amount of allergen-related foods, allergens were detected in some breast milk samples while not in the others. Breast milk is a secretory fluid. Therefore, concentrations of secretory fluid could potentially be linked with the concentration of allergens in the breast milk. Thus, the total protein and the levels of one particular protein, lactoferrin, in the breast milk were measured.The concentration of ovalbumin in breast milk was measured using an enzyme-linked immunosorbent assay (ELISA) kit, previously reported by us. The limit of ovalbumin level in breast milk is 312ng/ml. The Lowry method was used for measuring the total protein. A Lactoferrin Human ELISA Kit was used to measure the lactoferrin levels.Therefore, we investigated cases wherein the level of ovalbumin was below or above 312ng/ml. We found no significant difference when we compared the total protein level between breast milk with ovalbumin below 312 ng/ml and that above 312ng/ml.When we compared the lactoferrin level between breast milk with ovalbumin below 312ng/ml and that above 312ng/ml, a significant difference was observed.Consequently, if the ovalbumin level in breast milk is >312ng/ml, the lactoferrin level is high, while if the ovalbumin level is <312 ng/ml, the lactoferrin level is low (P<0.01).When evaluating the concentrations of ovalbumin in breast milk, the lactoferrin levels might be used as the point of reference.
著者
長谷川 俊勝 平野 徹
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.923-925, 1969-04-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
6
被引用文献数
1

NaHSO3水溶液中にDASを懸濁させると,両者の付加反応は進行するが,付加化合物の組成はDAS1molに対してNaHSO3は1molであった。このような付加物のうち,イオウ含有率6.25%の試料で240mμにおける紫外吸収極大は消失した。この吸収極大がDASのアルデヒド基に関係しているかどうかについて,n-ブチルアルデヒド,フルフラール,ベンズアルデヒド各水溶液にNaHSO3水溶液を添加し,その吸収極大の変化を追求した。その結果,それはアルデヒド基による吸収と考えられるが,RおよびK吸収帯への帰属については今後検討しなければならない。
著者
鈴木 恭平 我妻 浩二 有馬 慶美 長谷川 俊哉
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 第30回関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
pp.240, 2011 (Released:2011-08-03)

【はじめに】 踵骨脂肪体萎縮は,踵骨周囲の痛みを主症状とし床面の変化により疼痛が増減するのが特徴である.この疾患に対する理学療法介入例の報告は少なく,今回,歩行時の荷重痛緩和を目的とした理学療法を経験したので報告する. 【現病歴・既往歴】 症例は,45歳男性のダンス講師で,診断名は右アキレス腱炎・足底腱膜炎であった.昨秋,長距離歩行にて疼痛が出現し,他院で加療するも疼痛増強のため当院受診となった.既往歴としては,20年前,右アキレス腱断裂し再建術を行った. 【理学および検査所見】 右アキレス腱停止部から踵骨隆起にかけて荷重痛および圧痛を認め,踵骨下面は弾力性に乏しかった.歩行はInitial contact~Loading responseにかけての踵骨への荷重時間が左と比較して短縮し,その際,荷重痛を訴えた.また,荷重痛は床面によって異なり,硬い路面では痛みが増強した.超音波所見(エコー)として,踵骨脂肪体厚に左右差(右<左)が認められた. 【分析】 本症例は,荷重痛のため踵への荷重を避けて歩行しており,その結果,踵への荷重刺激が減少し,脂肪体萎縮を招き荷重痛が生じるといった悪循環を来たしていると推論した.この病態に対し,踵骨脂肪体へ荷重刺激を与え,脂肪厚増加を図り,荷重痛軽減を理学療法の治療方針とした. 【PT経過】 踵骨脂肪体に対し漸増的荷重練習を行った.踵への荷重痛に応じて,軟らかい路面(クッション使用)から硬い路面へと移行し,漸増的に荷重量を増した.靴にも荷重量制御のためにインソールを作成した.また同時に歩容改善のための運動学習を行った.開始後3ヶ月で,エコーによる踵骨脂肪体厚の左右差は解消し,日常生活でも無痛歩行となったためPTを終了した. 【考察】 本症例の荷重痛は,疼痛回避動作の誘因であると推測される.この動作は踵部への適刺激を減少させ,右踵骨脂肪体萎縮を招き,更なる荷重痛を誘発していたと考える.今回の治療帰結については,漸増的に踵への荷重を促したことにより,脂肪体厚が増加した結果,荷重痛が減少したと推測される.今回の経験から,踵骨脂肪体が衝撃緩衝の役割を果たしており,荷重時に踵骨部の疼痛を訴える場合,脂肪体萎縮の病態を有する症例がそこに含まれる可能性が示唆された.
著者
市山 高志 長谷川 俊史 松重 武志 平野 玲史
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

山口大学医学部附属病院小児科では2010年夏以降エンテロウイルス68型(EV68)感染に伴う気管支喘息大発作、中発作入院症例を20症例以上経験した(Hasegawa S et al. Allergy 2011 ; 68 : 1618-1620)。今まで本ウイルスによる気管支喘息発作増悪の報告はない。大阪市でも2010年6~8月にEV68感染症が少数例報告され、今後流行する可能性は否定できない。気管支喘息発作を増悪させるウイルスとして、ライノウイルスやRSウイルスなどが知られているがEV68は今まで報告がなく、そのメカニズムの研究は皆無である。EV68感染による気管支喘息発作増悪のメカニズムを気道上皮細胞を用いて明らかにすることを目的とした。方法:気道上皮培養細胞(A549)を用いて、2010年夏に当科入院患児咽頭ぬぐい液から山口県環境保健センターで分離保存されているEV68を感染させ、感染細胞の培養上清を用いてtumor necrosis factor-α(TNF-α),interleukin-2(IL-2), IL-4, IL-6, IL-10, interferon-γの濃度をELISA法やcytometric bead arrayで検討した。結果:EV68がA549細胞に感染することを確認したが、測定した6種類のサイトカイン産生はみられなかった。考察:当教室では新型インフルエンザウイルス(H1N1 pdm2009)で同様の実験を行い、IL-6などの産生を確認しており、EV68は感染細胞におけるサイトカイン産生が新型インフルエンザウイルス(H1N1 pdm2009)と異なることが示唆された。
著者
前川 宏一 長谷川 俊昭
出版者
公益社団法人 日本コンクリート工学会
雑誌
コンクリート工学 (ISSN:03871061)
巻号頁・発行日
vol.32, no.5, pp.13-22, 1994-05-01 (Released:2013-04-26)
参考文献数
44
被引用文献数
2 8

本稿は, コンクリート構造物の有限要素解析などで必要とされる連続体コンクリートおよび鉄筋コンクリートの構成則 (応力-ひずみ関係) に関する研究動向と今後の課題について解説したものである。ここでは, 骨材最大寸法の数倍のコントロールボリューム内で空間的に平均化された応力とひずみの関係として定義される連続体コンクリートの構成則のうち, 塑性論的アプローチ, 損傷理論, 塑性・損傷の組合せ理論, 微細構造に立脚したモデルについて述べた。分散ひびわれを有する30~50cm四方のコントロールボリュームに関する鉄筋コンクリート構成則は, ひびわれの密度や本数, 鉄筋比などの影響要因が相互に関連をもって変動するため, 見かけ上, ひびわれの分散性には強く依存しないことを説明した。鉄筋が交差する1本のひびわれを対象とする鉄筋コンクリート離散ひびわれ構成則は, 鉄筋の構成則とひびわれ面の応力伝達構成則を組み合わせたものであり, 単独では表現されない経路依有牲を記述することができる。今後は構成則の論理の明快さと精度や適用範囲のバランスをとり, 部材レベルから構成モデルと解析手法を系統的に検証していく段階にきている。