著者
関本 美貴 島田 淳子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.1, pp.67-71, 2005-01-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
12

Rice was washed by using a whisk at three mixing speeds: one revolution per second, two revolutions per second and four revolutions per second. The rice was also washed by hand at two revolutions per second as a control. The proportion of rice granules broken when the whisk was used was higher than that when washed by hand under all the conditions examined, the higher the mixing speed, the higher the breakage ratio. The amount of solid material separated from the rice granules into the water during washing was also higher when a whisk was used than when washed by hand, although there was no effect from the mixing speed. The textural and sensory properties of the cooked rice that had been washed by using a whisk were not significantly different from those of the cooked rice that had been washed by hand. We conclude from these results that washing rice by whisking affects the integrity of the grains and offers no advantages over hand washing.
著者
関本 美貴
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.138-146, 2019-06-05 (Released:2019-06-21)
参考文献数
28
被引用文献数
1

ジャガイモは明治時代以降急速に普及が進んだ作物であり,現在はイモ類の中でもっとも多く食べられている。本研究では,ジャガイモの普及に関わる要因を生活者の視点から明らかにすることを目的に,大正末期から昭和初期の食生活におけるジャガイモの位置づけについて調査を行った。 資料として「日本の食生活全集都道府県別編纂全50巻」およびそのCD-ROMを用いた。資料よりジャガイモに関する記述を収集し,その特徴により分類を試みた。 ジャガイモの食生活上の位置づけは,洋風料理の材料,穀物の代用,小昼やおやつの材料,汁の実,煮物の材料と多岐にわたっていた。また地域によって位置づけは大きく異なり,自然環境やジャガイモ利用の歴史が関与していたことが示唆された。ジャガイモの優れた調理上の特性が各地の料理に生かされており,これが食品材料としてジャガイモが普及した要因の一つであると推察した。
著者
関本 美貴 大橋 きょう子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.28, 2016

【目的】演者らは先に、大正末期から昭和初期におけるジャガイモ調理の実態を調査し、農村部ではジャガイモが里芋の代替として広く和風料理の材料に用いられていたことを報告した。本研究では東京近郊の一農村を取り上げ、近現代における都市近郊農村の食生活の実態、およびその変化と要因について、イモ類を中心に検討することを目的とした。 【方法】調査対象地域は、旧神奈川県都筑郡中川村周辺(現横浜市都筑区・港北区の一部)とした。明治後期の食生活の実態を知る資料として「中川村村是報告書」、大正期~昭和40年代の実態を知る資料として「港北ニュータウン地域内歴史民俗調査報告(7巻)」を用いた。両資料よりイモ類の入手方法・調理法・料理に期待する事柄、および食事全般の内容・材料を精査し、これらに関与する地勢、交通、農業、流通等についても調査した。 【結果】①ジャガイモは明治後期にはまだ新しい作物であり、単独で小昼等に食べられていた。大正期以降には一般的な自給作物となり日常の煮物や汁物の材料に用いられていた。両資料ともに洋風料理は出現しなかった。一方里芋は明治後期から常に一定量が栽培され、晴れ食に欠かせない食品として行事の際食べられていた。両者の位置づけには明確な差が見られた。②明治後期、当該地域では麦混合飯と野菜類を中心とした自給自足の食生活が営まれていた。大正以降はさまざまな園芸作物を東京・横浜方面に出荷し、得られた現金収入をだし素材や魚、ごくたまに肉類等の購入に充てていた。しかし食事の内容は明治後期から大きな変化はなく、麦混合飯が昭和30年代まで食べられていた。 一農村の約60年の食生活を調査するなかで、ジャガイモが新しい食品から日常の和風料理の材料へと浸透していく過程を確認することができた。この結果は先の調査結果を裏付ける知見のひとつと考える。
著者
島田 淳子 関本 美貴
出版者
一般社団法人日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.113-119, 2010-04-05

明治時代初期からの日本の法律を,食文化との関連で解析した。明治時代から平成時代までに制定された全法律数は,日本で民主主義が確立された昭和20年(1945年)以降に激増した。食に関するキーワードを含む法律数も同様の傾向を示した。これらの法律を食文化との関連性の有無で解析した。「食文化」という表現は平成17年(2005年)に公布された食育基本法に初めて登場した。次にそれ以前に公布された法律について食文化との関連について調査したところ,食文化に関する表現は昭和29年(1954年)に公布された学校給食法に認められた。