著者
難波 和彦
出版者
岡山大学
雑誌
岡山大学農学部学術報告 (ISSN:04740254)
巻号頁・発行日
vol.85, pp.115-117, 1996-02

This paper describes the effect of alternating magnetic fields on plant germination. Experiments were conducted utilizing various frequencies and two states of polarity.Electromagnetic coils were used to generate the fields and 'Komatsuna' plants were chosen as subjects. The frequency was varied from 1 to 1000 Hz,at a fixed intensity of 5 Gauss. The magnetic polarity was controlled by reversing the current direction. Measured parameter was the germination rate. The results indicated that magnetic fields do influence plant germination, and that frequency of the fields is a more important factor in germination rates than polarity. Maximum germination rates,which were 20% higher than control rates,were obtained at around 10 Hz.戦後日本の農業は、農業機械の導入と化学薬品の投入により飛躍的にその生産性を高めてきた。今や、米の単位面積当たりの収量は世界有数であるといえる。しかしながら、多量のエネルギを圃場に投入し続けてきたことによるひずみは、農業生産の場のあちこちに現れてきており、環境問題の観点からも早急な対策を講じる必要がある。そこでまず検討すべき点は、現在の収量を維持しつつ、いかにして圃場への投入エネルギ量を低減していくかということである。そのため数々の手法が研究されているが、著者が注目しているのは微少エネルギの有効利用である。磁場を含む微少な環境因子の植物の生長に与える影響は、活発な論議がなされている。光、温度、水、栄養や大気環境等の環境因子と植物生長の相関についてに比べ、研究テーマとしてはそれほど大きく取り上げられてはこなかった。一方、篤農家を始めとする現場においては、例えば植物栽培に音楽を取り入れて生長促進を図るなど、微少環境の効果が決して小さくないことが実証されている。著者の現在までの研究でも、磁場等微少環境が植物の生長に対して何らかの影響を及ぼすことが確かめられており、これを定量化していくことがこれからの課題となっている。微少エネルギを植物の栽培に適応していくメリットとしては、安全かつ安価に植物の生長をコントロールできることがあげられる。現在の農業は大量のエネルギを植物に提供することで、増収や生長促進などの効果をあげてきた。確かに、作れば売れた時代はそれでもよかった。しかし、供給が需要を上回り、農家そのものが自由競争の原理の中での生き残りを迫られている今、新たな視点に立った農業生産方法の確立が必要とされている。高すぎる生産コストは市場での競争に不利であるし、化学薬品を大量に投入しての農産物は社会的に敬遠されつつある。ただし、値段が高いにも関わらず有機農法が社会的に支持を受けているのは、安全性を消費者がより重要視していると考えてよいだろう。したがって、微少エネルギの農業への導入は人に環境に優しいことを目指す、これからの農業大系に不可欠であるといえる。
著者
近藤 直 飯田 訓久 難波 和彦 栗田 充隆 谷脇 滋宗 河野 靖 西 卓夫
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

生産物の品質、環境保全、安心安全な「食」情報に貢献する農業を展開するため、西日本で多くの面積を占める階段畑等のカンキツを対象とし、移動型選果ロボットを開発すると同時に、フィールドサーバおよび衛星画像等からの情報を表現できる2次元および3次元マッピング手法の開発を行った。これらの成果により、カンキツ生産における精密農業が推進されるものと考えられた。
著者
門田 充司 難波 和彦
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

農産物の生育環境から品質に至るまでの一貫したトレーサビリティを構築するために,収穫と同時に品質評価を行うロボットシステムを開発した。ロボットの操縦と果実収穫は人間が行い,果実の品質評価をロボットに搭載されたマシンビジョンで行う。各株に装着されたICタグの番号から果実収穫が行われた株の特定を行い,品質評価結果と共に保存される。これにより,生産者にとっての情報となる圃場内の果実品質や収穫量に関するマップが生成される。