- 著者
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須永 修通
- 出版者
- 首都大学東京
- 雑誌
- 基盤研究(C)
- 巻号頁・発行日
- 2006
学校施設の環境配慮型転換を進めるには,環境配慮型施設としての目標値を設けること,また,その目標値を達成するような新たな設計基準・指針を策定することが必要である。本研究の目的は,その第一段階として,実態や効果が皆目不明なエコスクールモデル事業認定校の実態を把握し,エコスクール化のための各手法の効果や問題点を明らかにすることである。そこで,本研究では,省エネルギー型のエコスクール認定校を中心に,アンケート調査と実測調査を行い,建物の特徴やエネルギー消費量,夏期の室内環境を気候区分ごとに検討した。平成18年度までのエコスクール認定校609校のうち省エネルギー型を中心に246校にアンケート調査を行い,147校分のデータを得て解析した。また,全国の主要都市で実測調査も行った。以下に得られた知見の一部を示す。1)省エネ手法には,太陽光発電,省エネ型設備,雨水利用などが全地域において数多く採用されているが,エコスクール認定校であるにもかかわらず,校舎に断熱の無い学校が約2割あり,窓は一重ガラス,アルミサッシの学校がほとんどを占め,断熱性の向上が大きな課題であることが示された。2)エコスクールの方が一般小学校よりも,エネルギー消費が多い傾向がみられた。IV地域では,エコスクール27校の平均が540MJ/m^2,一般校3校の平均は390MJ/m^2であった。この原因として,一般校の施設水準が低いままであること,また,エコスクールはオープンスペース型であることから校舎の奥行きが深くなり照明などの設備が増加することなどが原因と考えられた。3)夏季の教室は35℃程度にもなるが,下校時に窓を閉め切ることが教室温度の高温安定を助長していることが明らかになった。また,暑さ削減対策として行われている植栽による日射遮蔽,夜間通風は効果のあることが示された。