著者
野下浩平 飯田 崇仁
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.43, no.3, pp.708-713, 2002-03-15

本論文は,ゲームにおける解手順の定義を一般化し,その応用としてある形の詰将棋問題をすべて数え上げた結果を示す.この問題は,$3?times 3$ の矩形の中に玉のほか金と銀の8枚を配置した「金銀図式」である.これは,詰将棋の専門家によって長年数え上げの対象として研究されてきたが,その完成にはほど遠い状態にあった.ここで提示した方法に基づいて数え上げを実行し,その結果,詰手数の長い問題を含む多くの新しい問題を発見することができた.ここで最も難しい点として,解手順の標準的な定義を用いると,人間(専門家)がほぼ正しいと認める問題が数え上げの中で捨てられることがある.そこで,解手順の定義を一般化して,軽微な不完全さを持つ問題も許すようにする.金銀図式の数え上げは次のように進む.将棋盤で可能な28個の位置における問題図をすべて数え上げる.その中から王手でない図,玉が詰む図を選択し,さらにその中から,別解(余詰)のないという意味で完全な図を求める.最後に,完全でない図の中から,不完全さが軽微な問題で,専門家が正しいと見なすようなものを選ぶ.
著者
飯田 崇史
出版者
筑波大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2022-04-01

ニュートリノを放出しない二重ベータ崩壊が発見出来れば、ニュートリノの粒子-反粒子同一性(マヨラナ性)が判明し、物質優勢宇宙の謎に決着がつく。二重ベータ崩壊は、通常のベータ崩壊がエネルギー、スピンにより禁止・抑制されている特定の原子核でのみ観測可能である。核種による遷移確率(核行列要素)の理論的不定性もあるため、様々な原子核で実験することが必要となる。本研究では、既存の技術を応用して大型かつ高純度のCe:Gd3(Ga,Al)5O12(GAGG)結晶を開発し、それを用いてGd-160の二重ベータ崩壊探索の研究を高感度で行う。
著者
岸本 忠史 吉田 斉 能町 正治 玉川 洋一 小川 泉 硲 隆太 梅原 さおり 吉田 斉 飯田 崇史 中島 恭平
出版者
大阪大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2014-07-10

48Caの0ν二重ベータ崩壊(0nDBD崩壊)で、将来ニュートリノ質量で数meVの領域の探索のため、以下の3点の研究を進めた。①48Ca同位体濃縮技術の実用化:自然存在比0.19%の48Caで2%以上を目指した。高熱伝導率の絶縁物で電気泳動させる新しい濃縮法(MCCCE法)で、16%と目標の約10倍の驚異的な濃縮を達成した。更に改善できる。②高分解能蛍光熱量検出器の開発:極低温でCaF2結晶の熱と蛍光を測定して、高分解能化を粒子弁別と両立させる道を拓いた。③CANDLES装置で48Caの0nDBD崩壊の観測:遮蔽システムを建設し環境バックグランドを2桁減少させて、世界で一番良い感度を達成した。
著者
神山 裕名 西森 秀太 飯田 崇 内田 貴之 下坂 典立 西村 均 久保 英之 小出 恭代 大久保 昌和 成田 紀之 和気 裕之 牧山 康秀 小見山 道
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.33-39, 2016-12-25 (Released:2017-04-12)
参考文献数
33

目的:本研究は口腔顔面領域の慢性疼痛疾患である顎関節症患者,舌痛症患者,三叉神経痛患者における病悩期間と質問票を基にした主観的な睡眠感との関連を検討した.方法:被験者は日本大学松戸歯学部付属病院口・顔・頭の痛み外来を受診した患者3,584名を対象とした.診断が確定した顎関節症患者1,838名,舌痛症患者396名,三叉神経痛患者108名の質問票における主観的な睡眠感を検討した.病悩期間は症状発現から3か月未満,3か月から6か月,6か月以上をそれぞれ急性期群,中期群,慢性期群に分類した.睡眠に関する自己申告の質問は入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒とした.各病悩期間における入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の睡眠スコアをそれぞれ比較した.結果:顎関節症患者における慢性期群の入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の睡眠スコアおよび舌痛症患者における慢性期群の入眠障害,中途覚醒の睡眠スコアは急性期群,中期群と比較して有意に高い値を示した(p<0.05).三叉神経痛患者における各睡眠スコアは急性期群,中期群および慢性期群の間に有意差を認めなかった.結論:顎関節症患者および舌痛症患者における病悩期間の長期化と睡眠感との間に関連性を認めることが示唆された.
著者
淺野 隆 川良 美佐雄 飯田 崇 小見山 道
出版者
日本大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

健常男性9名にマウスガード装着・非装着の体感四肢の総仕事量と最大仕事量を計測し、比較した。また、同時に左右両側側頭筋、咬筋および顎二腹筋の筋活動量も計測した。筋活動量は側頭筋と咬筋は随意的最大噛みしめ時の筋活動量、顎二腹筋は随意的最大開口抵抗時の筋活動量を基準とした。体幹四肢運動時の各咀嚼筋筋活動量を相対比率で算出した。結果、マウスガード装着時、非装着時の総仕事量および最大仕事量に有意な差は認められなかった(P<0.05)。しかし、マウスガード装着時の咀嚼筋筋活動量は非装着時と比較して有意に減少した。よって、同じパフォーマンスを得るときにマウスガードは有効であることが明らかとなった。
著者
飯田 崇
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.75-78, 2014 (Released:2014-01-31)
参考文献数
3

症例の概要:歯科恐怖症に起因した多数歯の歯冠崩壊による咀嚼障害,および審美障害に対して,保存不可能な歯を抜歯して治療用義歯を製作,その後に最終義歯に移行し良好な予後を得た.考察:初診時に適切な医療面接を行い,歯科治療に対する恐怖の原因を正確に把握し,患者に無用な恐怖感を与えず治療を遂行できた.さらに早期に審美性の向上を図り,患者の治療に対する関心を高めた.今回は,これらの対処により継続的な補綴治療が可能になったと考えられる.結論:歯科恐怖症を有する患者においても,恐怖の原因を正確に把握し,それに対応して治療を行い,口腔内の改善を認識させることで,全顎的な補綴治療が可能である.