著者
賈 露茜 平田 康 小林 明子 和気 裕之 木野 孔司 天笠 光雄
出版者
口腔病学会
雑誌
口腔病学会雑誌 (ISSN:03009149)
巻号頁・発行日
vol.73, no.1, pp.40-46, 2006-03-31 (Released:2010-10-08)
参考文献数
12
被引用文献数
13 15

The effect of acupuncture in sensory paralysis was evaluated in 43 patients. Thiry-two cases in the study group were after mandibular third molar extraction and 11 cases by postoperative injury of orthognathic surgery. Treatment was performed in four forms : needles only (A), A with moxibustion (AK), electrical needle stimulation (ESA) using LEP 4000 OhmPulser Ra direct current 6 V 5-100 Hz, and ESA+A : exercise therapy was also given 1 or 2 times weekly. There were, however, some variations depending on the patient's conditions.Visual analog scale (VAS) measurement was carried out in addition to the estimation of effectiveness.The group receiving ESA+A seemed to improve better than those receiving other forms of treatment.The results indicated that young patients less than 40 years old tend to improve with fewer treatment times of shorter duration.With respect to the relationship between the effect and the time of starting treatment, we noticed that the earlier the treatment is started, the better the improvement.In summary, the study indicated that acupuncture is useful in treating sensory paralysis.
著者
和気 裕之 小見山 道
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.183-190, 2014-12-20 (Released:2015-02-20)
参考文献数
49

顎関節症診療における歯科医師と精神科医の連携について述べた。顎関節症診療では,有病率の高い精神疾患に遭遇する機会が少なくない。そして,心身症の概念は身体疾患と精神疾患の境界領域の病態を理解するうえで重要である。歯科心身症には定義がなく,臨床では狭義と広義の概念で用いられている。狭義の歯科心身症は,日本心身医学会(1991)の定義に該当する歯科領域の病態を指す。一方,広義の歯科心身症は,「臨床的に説明困難な症状」や,「心身両面からの評価と対応を要する患者」などに対して用いられているが,リエゾン診療では,その70%以上が身体表現性障害に該当する。顎関節症は多因子性の疾患であるが,そのなかの心理社会的因子には不安・抑うつなどの心理状態,性格傾向,ストレス,精神疾患などがあり,これらは診断と治療を行ううえで重要である。歯科医師は顎関節症診療で,傾聴,受容,共感,支持,保証を基本姿勢としてBio-psychosocialな評価を行い,精神科との連携を要する症例は,心身医学的な医療面接から検討する。また,特に診察と検査から他覚所見がみつからない症例,あるいは自覚症状と他覚所見に乖離のある症例では注意が必要であり,単独で診療が可能か連携して診療すべきかを判断することが重要である。
著者
和気 裕之 澁谷 智明
出版者
公益財団法人 国際全人医療研究所
雑誌
全人的医療 (ISSN:13417150)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.32-41, 2016-12-25 (Released:2019-04-19)
参考文献数
10

顎関節症は基本的には身体疾患であるが,その病態は生物心理社会的モデル(bio-psychosocial model)に該当し,各患者において程度の差はあるが,心理社会的問題の影響をうける心身症と捉えることが可能である.そのため,顎関節症の患者を診断する場合,AxisⅠ(Ⅰ軸:身体的評価)とAxisⅡ(Ⅱ軸:心理社会的評価)の2軸で評価する必要がある.特に周辺群のようにⅡ軸の要因が大きい顎関節症患者を診療する時には,「心身医学的な対応」に重点を置くことが大切である.それには心身医学的な医療面接と適宜心理テストを行い,またMW分類を用いて患者を判別することで,適切な対応が可能となる.その時一部の患者はリエゾン診療をはじめとする精神科医等との医療連携が必要となる.
著者
和気 裕之 小見山 道
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.256-266, 2012 (Released:2012-09-21)
参考文献数
62
被引用文献数
2 1

顎関節症の治療は,その病態や病因に関する研究や臨床経験などを基に日々発展しているが,未解明な部分も多い.本論文の目的は,顎関節症患者の心身医学的な治療の変遷をまとめることで,患者および研究者,臨床家に貢献することである.論文の検索は,医学中央雑誌,PubMedおよび出版されている書籍などを用いた.その結果,顎関節症の心身医学的な病因や,心身医学的対応に関する検討は少なく,またランダム化比較試験などのエビデンスの高い研究はほとんど認めなかった.しかし,その重要性を示唆する論文や書籍は多く,今後,さらに基礎的・臨床的な研究を進めることが,顎関節症患者の健康につながると考えられた.
著者
和気 裕之 小見山 道
出版者
一般社団法人 日本顎関節学会
雑誌
日本顎関節学会雑誌 (ISSN:09153004)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.183-190, 2014

顎関節症診療における歯科医師と精神科医の連携について述べた。顎関節症診療では,有病率の高い精神疾患に遭遇する機会が少なくない。そして,心身症の概念は身体疾患と精神疾患の境界領域の病態を理解するうえで重要である。歯科心身症には定義がなく,臨床では狭義と広義の概念で用いられている。狭義の歯科心身症は,日本心身医学会(1991)の定義に該当する歯科領域の病態を指す。一方,広義の歯科心身症は,「臨床的に説明困難な症状」や,「心身両面からの評価と対応を要する患者」などに対して用いられているが,リエゾン診療では,その70%以上が身体表現性障害に該当する。顎関節症は多因子性の疾患であるが,そのなかの心理社会的因子には不安・抑うつなどの心理状態,性格傾向,ストレス,精神疾患などがあり,これらは診断と治療を行ううえで重要である。歯科医師は顎関節症診療で,傾聴,受容,共感,支持,保証を基本姿勢としてBio-psychosocialな評価を行い,精神科との連携を要する症例は,心身医学的な医療面接から検討する。また,特に診察と検査から他覚所見がみつからない症例,あるいは自覚症状と他覚所見に乖離のある症例では注意が必要であり,単独で診療が可能か連携して診療すべきかを判断することが重要である。
著者
木野 孔司 片岡 弘一 塩田 重利 鄭 勲 仲井 義信 和気 裕之 泉 祐幸 大村 欣章 鹿島 健司 渋谷 寿久 折原 二郎
出版者
特定非営利活動法人 日本口腔科学会
雑誌
日本口腔科学会雑誌 (ISSN:00290297)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.242-263, 1988

Tendernesses and mouth opening pains at the region of temporomandibular joints and/or in masticatory muscles are very common on temporomandibular joint disorder patients.<BR>We usually give these patients anti-inframmatory analgesics or muscle relaxants until the treatment plan is decided, or when the splint therapy is ineffective for removing the tenderness or pain.<BR>Recently we have had an opportunity to use a new anti-inframmatory analgesic of arylacetate derivatives, Amfenac Sodium (AMF) to the patients who have temporomandibular joint disorders, and have evaluated the analgesic efficacy, side effect and usefulness of this analgesic.<BR>27 patients aged from 16 to 71 years (severity: mild 11, moderate 14 and severe 2) were given AFM (200 mg/day for 14 days) and evaluated symptoms were spontaneous pain, tenderness, mouth opening pain, interincisal opening range, clickin sound and crepitus at the 7th day and at the 14th day.<BR>As a result, total improvements were as follows: excellent 4 (14.8%), moderate 13 (48.1%), little 9 (33.3%), no change 1 (3.7%).<BR>6 side effects (22.2%) were reported, but those were mild (5 cases), or moderate (1 case). No severe side effect was found.<BR>Consequently, we concluded the usefulness of AMF as followed: very useful 4 (14.8%), luseful 12 (44.4%), relatively useful 10 (37.0%). Total usefulness including very useful, useful and relatively useful was 96.2%.
著者
神山 裕名 西森 秀太 飯田 崇 内田 貴之 下坂 典立 西村 均 久保 英之 小出 恭代 大久保 昌和 成田 紀之 和気 裕之 牧山 康秀 小見山 道
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.9, no.1, pp.33-39, 2016-12-25 (Released:2017-04-12)
参考文献数
33

目的:本研究は口腔顔面領域の慢性疼痛疾患である顎関節症患者,舌痛症患者,三叉神経痛患者における病悩期間と質問票を基にした主観的な睡眠感との関連を検討した.方法:被験者は日本大学松戸歯学部付属病院口・顔・頭の痛み外来を受診した患者3,584名を対象とした.診断が確定した顎関節症患者1,838名,舌痛症患者396名,三叉神経痛患者108名の質問票における主観的な睡眠感を検討した.病悩期間は症状発現から3か月未満,3か月から6か月,6か月以上をそれぞれ急性期群,中期群,慢性期群に分類した.睡眠に関する自己申告の質問は入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒とした.各病悩期間における入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の睡眠スコアをそれぞれ比較した.結果:顎関節症患者における慢性期群の入眠障害,中途覚醒,早朝覚醒の睡眠スコアおよび舌痛症患者における慢性期群の入眠障害,中途覚醒の睡眠スコアは急性期群,中期群と比較して有意に高い値を示した(p<0.05).三叉神経痛患者における各睡眠スコアは急性期群,中期群および慢性期群の間に有意差を認めなかった.結論:顎関節症患者および舌痛症患者における病悩期間の長期化と睡眠感との間に関連性を認めることが示唆された.
著者
岡安 一郎 達 聖月 鮎瀬 卓郎 和気 裕之
出版者
日本口腔顔面痛学会
雑誌
日本口腔顔面痛学会雑誌 (ISSN:1883308X)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.15-20, 2018 (Released:2019-12-04)
参考文献数
25

症例の概要:患者は50代女性(主婦).X年11月,左側のこめかみと左上臼歯部の痛みを自覚し,近医歯科を受診した.「非定型歯痛」との診断で治療を受けるも症状変わらず,翌12月,「長崎大学病院オーラルペイン・リエゾン外来」紹介受診となった.口腔顔面領域の診察と検査結果から,器質的異常所見は認められなかったが,国際頭痛分類第3版beta版に準じ,「前兆のない片頭痛」とそれに起因する「神経血管性歯痛」が疑われた.また,「緊張型頭痛」,「パニック障害」の既往もあり,当院・総合診療科(内科)ならびに精神神経科と連携した.結果,「緊張型頭痛」に加え,「前兆のない片頭痛」,「不安障害」と診断された.治療は医療連携の下,病態説明と生活指導,心身医学療法,漢方治療にて,歯痛と頭頸部痛,めまいやふらつきなどの随伴症状が軽減し,良好な疼痛管理が維持できるようになった.考察:本症例は,MW分類(心身医学・精神医学的な対応を要する患者の分類)Type C(身体疾患・精神疾患併存ケース)に該当する.このようなケースにおいては,医科身体科ならびに精神科との医療連携が必要不可欠となる.本症例のように,痛み以外の種々の症状が伴うケースに対しては,漢方治療が有効となり得る.結論:口腔顎顔面領域の症状を主訴とする患者は歯科外来を受診するが,医科の身体疾患・精神疾患も考慮して,総合的な判断の基で対応することが必要となる.
著者
和気 裕之
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.49, no.10, pp.1093-1100, 2009-10-01 (Released:2017-08-01)
参考文献数
14

歯科患者の一部は,歯科医師および医師による心身医学・精神医学的な対応を要するが,その認知度は比較的低い.はじめに,歯科心身医療の現状を把握するため『日本歯科心身医学会雑誌』の11年間の論文を総覧した.その結果,主な対象疾患は舌痛症,顎関節症,口臭症(口臭恐怖症)であり,また,それらの"いわゆる歯科心身症"は,主に大学病院や総合病院の口腔外科で対応されており歯科の心療科は少数であった.現在,歯科心身症は明確な定義が示されておらず,臨床では広義の心身症の概念が用いられていると考えられた.今回,心身医学・精神医学を専門としない医療者にも応用可能な患者の分類と対応法を提示し,また,医療連携のあり方を述べた.
著者
渋谷 智明 木野 孔司 和気 裕之 儀武 啓幸 吉増 秀實 天笠 光雄
出版者
Japanese Society of Oral and Maxillofacial Surgeons
雑誌
日本口腔外科学会雑誌 (ISSN:00215163)
巻号頁・発行日
vol.45, no.9, pp.566-570, 1999-09-20
被引用文献数
2

Total RNA extracted from human temporomandibular joint (TMJ) discs of patients with temporomandibular disorders (TMD) were examined by RT-PCR. The expressions of decorin, biglycan and aggrecan mRNA in the disc were demonstrated. These results suggest that human TMJ discs of patients with TMD contain decorin and biglycan. The expression of aggrecan mRNA was confirmed in calcified disc tissue.