著者
高 永才
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.62-73, 2006-12-20 (Released:2022-08-19)
参考文献数
38

本研究は,温度補償型水晶発振器市場における競争分析を通して,技術知識の蓄積に起因して形成される認知枠組みが,既存企業による技術転換を阻害するだけではなく,それが技術転換後も慣性として働くことによって,適切な競争上の対応を妨げることを示す.そこでは,技術の限界を深く理解するために技術転換後も既存の製品開発経路を維持しようとする既存企業と,技術限界への理解が乏しいためにむしろ積極的な開発を推進する新規企業との対比が示される.
著者
三木 朋乃 高 永才
出版者
特定非営利活動法人 グローバルビジネスリサーチセンター
雑誌
赤門マネジメント・レビュー (ISSN:13485504)
巻号頁・発行日
vol.10, no.11, pp.775-788, 2011-11-25 (Released:2017-10-10)
参考文献数
13

本稿は、医療機器市場に参入したことのない富士フイルムが、なぜ、世界に先駆けてデジタルX 線画像診断システムを開発し、普及させることができたのかを明らかにしていく。事例分析の結果、富士フイルムは既存のアナログX 線画像診断装置をモジュール化し、世代を超えて共通利用していたことが分かった。さらに、既存顧客の声を聞き入れ、レントゲン写真の診断に使われていた知識やノウハウがデジタルX 線画像診断システムに使えるように製品開発を行っていたことが明らかになった。こうした製品開発プロセスは、顧客の移行コストを削減し、富士フイルムのデジタルX 線画像診断システム (Fuji Computed Radiography) の普及につながった。
著者
高 永煥 四方 卓磨 中嶋 敏宏 三宅 宗隆 林 鐘声
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.21, no.8, pp.987-993, 1989-08-15 (Released:2013-05-24)
参考文献数
11

近年,ウイルス性心筋炎後に拡張型心筋症病態を呈する症例が散見される.今回,うっ血性心不全として発症し,拡張型心筋症様病態を呈するも,2年後には改善し,その約5年後に再びうっ血性心不全の型で発症した再発性ウイルス性心筋炎と思われる症例を経験し,ウイルス性心筋炎と拡張型心筋症の関連について考える上で,興味ある症例と思われ報告する.症例は18歳,男性10歳時,感冒症状を前駆症状としてうっ血性心不全の型で発症.心エコー上著明な左室腔の拡大と左室駆出率の低下を認めた.心不全症状改善後の左心機能の低下は続き,発症後3カ月目に行った右室心内膜心筋生検では著明な間質の線維化を認めた.また,ペア血清にて,コクサッキーB4ウイルスの有意の上昇を認めた.2年後,左心機能は回復,順調に経過していたが,約5年後(昭和62年4月)再び感冒症状を前駆症状として,うっ血性心不全の型で発症.前回同様著明な左室腔の拡大,左室駆出率の低下を認めた.右室心内膜心筋生検ではリンパ球の浸潤が主体で,問質の線維化は軽度であった.左心機能の回復は緩徐であったが,徐々に回復し,1年2カ月後の現在,左室駆出率の軽度の低下を残すのみとなった.免疫学的には,OKT 8の低下,OKT 4/OKT 8の上昇を認めた.
著者
奥村 武信 佐々木 康次 松本 茂登 虞 毅 高 永 韓 太平 胡 小龍 李 錦栄
出版者
日本緑化工学会
雑誌
日本緑化工学会誌 = Journal of the Japanese Society of Revegetation Technology (ISSN:09167439)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.247-250, 2009-08-31
参考文献数
1

乾燥砂地での緑化は,流動的砂丘の固定が前提となる。カーボン・ニュートラルな素材,ポリ乳酸糸を袋編みしたものに現地で砂を詰めて砂面に方格状に敷設することにより,砂丘砂面を固定し風来種子の定着を図ることを目途とした工法を,中国ウランプフ沙漠吉蘭泰塩湖地区の流動砂丘地域等で試験施工している。ここでは,麦草を使用した方格工と裸地duneを対照として,地表部の砂輸送量,風砂流(砂を含んだ風)の構造,風速低下比率,砂面の侵食堆積,植被回復状況を対比して,サンドソーセージ方格工と草方格工の防風,砂固定,植被回復への効果を比較した。また,サンドソーセージ方格工と他の方格工との歩掛の比較を述べる。